時代を超え輝き続ける香り、シャネル N°5の本質にせまった「N°5 CULTURE CHANEL 展」
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時代を超え輝き続ける香り、シャネル N°5の本質にせまった「N°5 CULTURE CHANEL 展」
N°5 CULTURE CHANEL Exhibition at Palais de Tokyo - The Truth Behind The Iconic Fragrance
CHANEL (シャネル) のアイコンとして時代を超越して輝き続け、誕生から90年が経ったいまでも多くのファンに愛され続けている世界を代表するフレグランス「N°5」。現在、このアイコニックな香り「N°5」をひも解く展覧会「N°5 CULTURE CHANEL 展」がパリの Palais de Tokyo (パレ・ド・トーキョー) で開催中だ。この展覧会は現代美術とデザインの分野で活躍する Jean-Louis Froment (ジャン=ルイ フロマン) がキュレーターを務め、「N°5」のアートやカルチャーとの関わりをさまざまなアプローチから暗号を解読してその本質に迫っている。ここでは「N°5」が内包するさまざまストーリーを、過去の貴重なアーカイブ写真と共に紹介。また「N°5 CULTURE CHANEL 展」の展示の模様や、この展覧会のためにオランダのランドスケープ・アーティスト Piet Oudolf (ピエト・オウドルフ) が手がけた庭園の写真をいち早くお見せします。
文: 編集部
CHANEL (シャネル) のアイコンとして時代を超越して輝き続け、誕生から90年が経ったいまでも多くのファンに愛され続けている世界を代表するフレグランス「N°5」。現在、このアイコニックな香り「N°5」をひも解く展覧会「N°5 CULTURE CHANEL 展」がパリの Palais de Tokyo (パレ・ド・トーキョー) で開催中だ。この展覧会は現代美術とデザインの分野で活躍する Jean-Louis Froment (ジャン=ルイ フロマン) がキュレーターを務め、「N°5」のアートやカルチャーとの関わりをさまざまなアプローチから暗号を解読してその本質に迫っている。ここでは「N°5」が内包するさまざまストーリーを、過去の貴重なアーカイブ写真と共に紹介。また「N°5 CULTURE CHANEL 展」の展示の模様や、この展覧会のためにオランダのランドスケープ・アーティスト Piet Oudolf (ピエト・オウドルフ) が手がけた庭園の写真をいち早くお見せします。
< N°5 のヒストリー>
1921年、Gabrielle Chanel (ガブリエル・シャネル) が初めて発表した香水が、CHANEL「N°5」。彼女は調香師 Ernest Beaux に「世界中の女性たちのために、私は香りを贈りたい。そのような香りを創ってほしい」と、調香を依頼したという。
また「N°5」は、アートシーンが活気に満ちた時代に生まれた。1907年には Pablo Picasso (パブロ・ピカソ) の「アヴィニョンの娘たち」がキュビズム革命をもたらし、1908年にはイタリアで未来主義が誕生した。以来、アヴァンギャルドが勢いづき、1920年代の到来とともにモダニティが台頭した。絵画だけでなく、詩や文学、音楽などあらゆるジャンルの芸術に、抽象性が影響を及ぼした時代である。そして Gabrielle Chanel も、Jean Cocteau (ジャン・コクトー) や Picasso、Guillaume Apollinaire (ギヨーム・アポリネール)、Igor Stravinsky (イーゴリ・ストラヴィンスキー)、Salvador Dalí (サルバドール・ダリ)、Sergei Diaghilev (セルゲイ・ディアギレフ) などの前衛芸術家たちと親交があり、モダニティの時代に深く身を委ねていた。
そのため当時の芸術家たちが表明し支持したように、「N°5」はキュビズムやダダイズム、あるいはシュルレアリズムを香りの世界で実現した作品ともいえる。バラやジャスミンなどある花の香りを再現するといった “比喩的” な香水作りが主流だった時代に、「N°5」の香りはきわめて “抽象的” な香りだったのだ。「N°5」を構築している80もの香りの成分の中には、識別できる支配的なノートはないのである。このある種の嗅覚革命は、「N°5」以外のすべてのフレグランスを時代遅れとしてしまうほどであった。
また彼女は極めて意図的にこの「N°5」という名前を選んだと言える。調香師 の Ernest Beaux が5番目に提案した試作品ということで「N°5」と名付けられたこのネーミングは、当時の常識では考えられなかった。こうした厳格なミニマリズムは「N°5」のビジュアルデザインにも踏襲されている。スクエアなエッジとシンプルなラインを持つボトル、 研究室のサンプルを想わせるラベリング、黒で縁どられた白いグログラン (うねのあるシルク生地) 製のパッケージに収められた。これは彼女がファッションのクリエイションで用いたラインと呼応しているのだ。
左下の写真はルーマニア出身の20世紀を代表する彫刻家 Constantin Brancusi (コンスタンティン・ブランクーシ) の「Study for Mlle Pogany」。右下は「N°5」広告ビジュアルでモデルをつとめる女優 Catherine Deneuve 。そのポージングは Brancusi 作品との関連も考えられる。
「N°5」は発売初日から大ヒットとなった。パリ、ドーヴィル、カンヌ、ビアリッツにあるシャネル・ブティックで販売されるとすぐに注文が殺到し生産が追いつかなくなった。そして Gabrielle Chanel は、全世界で「N°5」を販売するために、化粧品会社ブルジョワ社のオーナーであったピエールおよびポールヴェルタイマー兄弟と契約し、1924年にパルファン シャネル社を設立した。
1937年、Gabrielle Chanelは「N°5」こそ自分自身を表現した香りだと語り、『Harpers BAZAAR (ハーパース・バザー)』誌の広告のためにカメラマンの Francois Kollar (フランソワ・コラー) のカメラの前でポーズをとった。下の写真がその時の広告ビジュアルである。
「N°5」はアメリカでも大ヒットし、1945年には 米兵 たちがパリ・カンボン通りのブティック に、フランス的で世界で最も有名な香りを妻や恋人にプレゼントするために殺到。
また「N°5」は広告の世界でもとても重要な存在だ。「N°5」の広告には Lauren Hutton (ローレン・ハットン)、Ali MacGraw (アリ・マッグロー)、Candice Bergen (キャンディス・バーゲン)、Catherine Deneuve (カトリーヌ・ドヌーヴ)、Suzy Parker (スージー・パーカー) 、Carole Bouquet (キャロル・ブーケ)、Nicole Kidman (ニコール・キッドマン)、また最近では Brad Pitt (ブラッド・ピット) などのスターたちが登場してきた。
2/3ページ: 「N°5 CULTURE CHANEL 展」の会場の模様を公開
キュレーターの Jean-Louis Froment は、Gabrielle Chanel がインスパイアされたクリエーションソースを「ラブストーリー」「アヴァンギャルドの広がり」「マニフェスト」「伝説」と大きく4つのテーマから、展示物同士を関連づけ、「N°5」が生まれた時代や当時隆盛を極めたアヴァン=ギャルド ムーブメントと再び結び付ける展示手法をとった。そして、すべての展示物は透明でスクエアなガラスケースの中に格納され、空間の中で左右対象に配置することで「N°5」の世界観を見事に表現している。
3/3ページ: オランダ出身のランドスケープ・アーティスト Piet Oudolf が手がけた庭園
今回の「N°5 CULTURE CHANEL 展」のために、展示会の入口までの庭園をオランダのランドスケープ・アーティスト Piet Oudolf が担当した。ニューヨークのハイラインやロンドンのクイーンエリザベス・オリンピックパークなども手がける Piet Oudolf は、ニュー・ペレニアル (多年草) ムーブメントの中心人物でもある。彼の作品は、庭園の構成とレイアウトに絵画との関連性があるのが特徴で、選択した植物の色と高さが重要な役割を果たしている。この庭園は CHANEL の協賛により造られ、 展覧会終了後も成長し続ける。
<展覧会情報>
N°5 CULTURE CHANEL
会期: 2013年6月5日まで
会場: Palais de Tokyo (パレ・ド・トーキョー)
住所: 13 avenue du Président Wilson, 75016 Paris
Tel: +33(0)1-81-97-35-88
時間: 12:00 – 24:00 (火曜日を除く)
料金: 入場無料
URL: http://www.palaisdetokyo.com
「N°5 CULTURE CHANEL 展」オフィシャルサイト
URL: http://5-culture.chanel.com