N°5 CULTURE CHANEL Exhibition at Palais de Tokyo - The Truth Behind The Iconic Fragrance

時代を超え輝き続ける香り、シャネル N°5の本質にせまった「N°5 CULTURE CHANEL 展」

N°5 CULTURE CHANEL Exhibition at Palais de Tokyo - The Truth Behind The Iconic Fragrance
N°5 CULTURE CHANEL Exhibition at Palais de Tokyo - The Truth Behind The Iconic Fragrance
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時代を超え輝き続ける香り、シャネル N°5の本質にせまった「N°5 CULTURE CHANEL 展」

N°5 CULTURE CHANEL Exhibition at Palais de Tokyo - The Truth Behind The Iconic Fragrance

CHANEL (シャネル) のアイコンとして時代を超越して輝き続け、誕生から90年が経ったいまでも多くのファンに愛され続けている世界を代表するフレグランス「N°5」。現在、このアイコニックな香り「N°5」をひも解く展覧会「N°5 CULTURE CHANEL 展」がパリの Palais de Tokyo (パレ・ド・トーキョー) で開催中だ。この展覧会は現代美術とデザインの分野で活躍する Jean-Louis Froment (ジャン=ルイ フロマン) がキュレーターを務め、「N°5」のアートやカルチャーとの関わりをさまざまなアプローチから暗号を解読してその本質に迫っている。ここでは「N°5」が内包するさまざまストーリーを、過去の貴重なアーカイブ写真と共に紹介。また「N°5 CULTURE CHANEL 展」の展示の模様や、この展覧会のためにオランダのランドスケープ・アーティスト Piet Oudolf  (ピエト・オウドルフ) が手がけた庭園の写真をいち早くお見せします。

文: 編集部

 

ANONYMOUS Gabrielle Chanel and the Grand‐Duc Dmitri Pavlovitch 1920 Photograph COLLECTION CHANEL, PARIS © CHANEL/All rights reserved

 

CHANEL (シャネル) のアイコンとして時代を超越して輝き続け、誕生から90年が経ったいまでも多くのファンに愛され続けている世界を代表するフレグランス「N°5」。現在、このアイコニックな香り「N°5」をひも解く展覧会「N°5 CULTURE CHANEL 展」がパリの Palais de Tokyo (パレ・ド・トーキョー) で開催中だ。この展覧会は現代美術とデザインの分野で活躍する Jean-Louis Froment (ジャン=ルイ フロマン) がキュレーターを務め、「N°5」のアートやカルチャーとの関わりをさまざまなアプローチから暗号を解読してその本質に迫っている。ここでは「N°5」が内包するさまざまストーリーを、過去の貴重なアーカイブ写真と共に紹介。また「N°5 CULTURE CHANEL 展」の展示の模様や、この展覧会のためにオランダのランドスケープ・アーティスト Piet Oudolf  (ピエト・オウドルフ) が手がけた庭園の写真をいち早くお見せします。

 

< N°5 のヒストリー>

1921年、Gabrielle Chanel (ガブリエル・シャネル) が初めて発表した香水が、CHANEL「N°5」。彼女は調香師 Ernest Beaux に「世界中の女性たちのために、私は香りを贈りたい。そのような香りを創ってほしい」と、調香を依頼したという。

 

ANONYMOUS Boy Capel reading in his appartment circa 1911 Photograph Collection Edmonde Charles‐ Roux © All rights reserved
シャネルは1919年末に最愛の恋人 Arthur Capel (アーサー・カペル) の死に直面した。“ボーイ” の愛称で知られる Arthur Capel は、Gabrielle Chanel が初めて出会った真の恋人で、多くの面で彼女をサポートしたと言われている。また彼女に文学の世界など強い影響を与えたのも Capel であった。彼の死で悲しみに暮れている Gabrielle Chanel を、友人の Misia (ミシア) と Jose Maria Sert (ホセ・マリア・セール) はヴェネツィアに連れ出した。そしてGabrielle Chanel は、東洋と西洋の交差路に位置するこの華やかで神秘的なヴェネツィアに魅かれるようになるのだ。そしてヴェネツィアは、彼女のお気に入りの場所のひとつになり、その後も彼女に多くのインスピレーションをもたらす。

 

 

 

 

また「N°5」は、アートシーンが活気に満ちた時代に生まれた。1907年には Pablo Picasso (パブロ・ピカソ) の「アヴィニョンの娘たち」がキュビズム革命をもたらし、1908年にはイタリアで未来主義が誕生した。以来、アヴァンギャルドが勢いづき、1920年代の到来とともにモダニティが台頭した。絵画だけでなく、詩や文学、音楽などあらゆるジャンルの芸術に、抽象性が影響を及ぼした時代である。そして Gabrielle Chanel も、Jean Cocteau (ジャン・コクトー) や Picasso、Guillaume Apollinaire (ギヨーム・アポリネール)、Igor Stravinsky (イーゴリ・ストラヴィンスキー)、Salvador Dalí (サルバドール・ダリ)、Sergei Diaghilev (セルゲイ・ディアギレフ) などの前衛芸術家たちと親交があり、モダニティの時代に深く身を委ねていた。

 

MAN RAY Noire et Blanche 1924‐77 Black & white photograph 18 x 23.5 cm Collection FRAC Bourgogne © FRAC Bourgogne/ADAGP 2013

 

そのため当時の芸術家たちが表明し支持したように、「N°5」はキュビズムやダダイズム、あるいはシュルレアリズムを香りの世界で実現した作品ともいえる。バラやジャスミンなどある花の香りを再現するといった “比喩的” な香水作りが主流だった時代に、「N°5」の香りはきわめて “抽象的” な香りだったのだ。「N°5」を構築している80もの香りの成分の中には、識別できる支配的なノートはないのである。このある種の嗅覚革命は、「N°5」以外のすべてのフレグランスを時代遅れとしてしまうほどであった。

 

ANONYMOUS Pablo and Olga Picasso in the London Studio 1919 Musée Picasso, Paris © RMN‐Grand Palais / All rights reserved

 

また彼女は極めて意図的にこの「N°5」という名前を選んだと言える。調香師 の Ernest Beaux が5番目に提案した試作品ということで「N°5」と名付けられたこのネーミングは、当時の常識では考えられなかった。こうした厳格なミニマリズムは「N°5」のビジュアルデザインにも踏襲されている。スクエアなエッジとシンプルなラインを持つボトル、 研究室のサンプルを想わせるラベリング、黒で縁どられた白いグログラン (うねのあるシルク生地) 製のパッケージに収められた。これは彼女がファッションのクリエイションで用いたラインと呼応しているのだ。

 

PHILIPPE HALSMAN, The Essence of Dali, 1954, gelatin‐silver print PRIVATE COLLECTION © Philippe Halsman/Magnum Photos

 

左下の写真はルーマニア出身の20世紀を代表する彫刻家 Constantin Brancusi (コンスタンティン・ブランクーシ) の「Study for Mlle Pogany」。右下は「N°5」広告ビジュアルでモデルをつとめる女優 Catherine Deneuve 。そのポージングは Brancusi 作品との関連も考えられる。

 

 

「N°5」は発売初日から大ヒットとなった。パリ、ドーヴィル、カンヌ、ビアリッツにあるシャネル・ブティックで販売されるとすぐに注文が殺到し生産が追いつかなくなった。そして Gabrielle Chanel は、全世界で「N°5」を販売するために、化粧品会社ブルジョワ社のオーナーであったピエールおよびポールヴェルタイマー兄弟と契約し、1924年にパルファン シャネル社を設立した。

 

1937年、Gabrielle Chanelは「N°5」こそ自分自身を表現した香りだと語り、『Harpers BAZAAR (ハーパース・バザー)』誌の広告のためにカメラマンの Francois Kollar (フランソワ・コラー) のカメラの前でポーズをとった。下の写真がその時の広告ビジュアルである。

 

HARPER'S BAZAAR 1er November 1937 Gabrielle Chanel photographed by François Kollar in her suite at the Ritz hotel in Paris for the Chanel N°5 advertisement. For the first time, Chanel herself promoted her perfume.

 

「N°5」はアメリカでも大ヒットし、1945年には 米兵 たちがパリ・カンボン通りのブティック に、フランス的で世界で最も有名な香りを妻や恋人にプレゼントするために殺到。

 

SERGE LIDO American soldiers in front of 31 rue Cambon buying CHANEL N°5 perfume, 1945 Photograph Photo © Serge LIDO

 

ED FEINGERSH Marilyn Monroe, using CHANEL N°5 perfume before the first performance of Tennesse Williams' play "A Cat on a Hot Tin Roof" 1955 Photograph This fortuitous photograph became legendary and helped increase Chanel N°5's renown. Photo Ed Feingersh © Michael Ochs Archives / Getty Images
さらに1954年には Marilyn Monroe (マリリン・モンロー) が、寝るときに何を身に着けるかと質問されて、「N°5を数滴」と答えたのはあまりにも有名な話だ。1964年には Andy Warhol (アンディ・ウォーホル) が20世紀を代表するさまざまなアイコンのひとつとして、「N°5」のボトルを描くなど、様々な「N°5」の伝説が創られていった。

 

また「N°5」は広告の世界でもとても重要な存在だ。「N°5」の広告には Lauren Hutton (ローレン・ハットン)、Ali MacGraw (アリ・マッグロー)、Candice Bergen (キャンディス・バーゲン)、Catherine Deneuve (カトリーヌ・ドヌーヴ)、Suzy Parker (スージー・パーカー) 、Carole Bouquet (キャロル・ブーケ)、Nicole Kidman (ニコール・キッドマン)、また最近では Brad Pitt (ブラッド・ピット) などのスターたちが登場してきた。

 

 

 

 

 

2/3ページ: 「N°5 CULTURE CHANEL 展」の会場の模様を公開

 

 

 

N°5 CULTURE CHANEL

© CHANEL

 

キュレーターの Jean-Louis Froment は、Gabrielle Chanel がインスパイアされたクリエーションソースを「ラブストーリー」「アヴァンギャルドの広がり」「マニフェスト」「伝説」と大きく4つのテーマから、展示物同士を関連づけ、「N°5」が生まれた時代や当時隆盛を極めたアヴァン=ギャルド ムーブメントと再び結び付ける展示手法をとった。そして、すべての展示物は透明でスクエアなガラスケースの中に格納され、空間の中で左右対象に配置することで「N°5」の世界観を見事に表現している。

 

N°5 CULTURE CHANEL

© CHANEL

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3/3ページ: オランダ出身のランドスケープ・アーティスト Piet Oudolf が手がけた庭園

 

 

 

 

 

N°5 CULTURE CHANEL

© CHANEL

 

今回の「N°5 CULTURE CHANEL 展」のために、展示会の入口までの庭園をオランダのランドスケープ・アーティスト Piet Oudolf が担当した。ニューヨークのハイラインやロンドンのクイーンエリザベス・オリンピックパークなども手がける Piet Oudolf は、ニュー・ペレニアル (多年草) ムーブメントの中心人物でもある。彼の作品は、庭園の構成とレイアウトに絵画との関連性があるのが特徴で、選択した植物の色と高さが重要な役割を果たしている。この庭園は CHANEL の協賛により造られ、 展覧会終了後も成長し続ける。

 

N°5 CULTURE CHANEL

© CHANEL

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N°5 CULTURE CHANEL

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<展覧会情報>
N°5 CULTURE CHANEL
会期: 2013年6月5日まで
会場: Palais de Tokyo (パレ・ド・トーキョー)
住所: 13 avenue du Président Wilson, 75016 Paris
Tel: +33(0)1-81-97-35-88
時間: 12:00 – 24:00 (火曜日を除く)
料金: 入場無料
URL: http://www.palaisdetokyo.com

「N°5 CULTURE CHANEL 展」オフィシャルサイト
URL: http://5-culture.chanel.com