Interview with Union magazine

注目の新雑誌『Union (ユニオン) 』インタビュー

Interview with Union magazine
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注目の新雑誌『Union (ユニオン) 』インタビュー

Interview with Union magazine

今年3月に創刊された東京発のインディペンデントなバイリンガル・ファッションマガジン「Union」。タイムレスなうつくしさの追求という普遍的な世界観を、編集長の百々千晴とクリエイティブディレクターのHiroyuki Kuboのフィルターを通して表現。クールでエレガント、しかしガーリーなビジュアルセンスで話題となっている。第1号を発刊したばかりの彼らに話を聞いた。

取材・文・翻訳: 編集部

今年3月に創刊された東京発のインディペンデントなバイリンガル・ファッションマガジン「Union」。タイムレスなうつくしさの追求という普遍的な世界観を、編集長の百々千晴とクリエイティブディレクターのHiroyuki Kuboのフィルターを通して表現。クールでエレガント、しかしガーリーなビジュアルセンスで話題となっている。第1号を発刊したばかりの彼らに話を聞いた。

©Union Magazine #1

– まずお二人がファッションの仕事を志したキッカケを教えてください。

 Hiroyuki Kubo(以後:Hiro):僕は小さいころから洋服が好きだったんですけど、たぶん生まれたときからファッションが好きだったんだとと思います。中学生ぐらいからスタイリストになると決めていましたからね。でもロンドンでスタイリストアシスタントをして以来、洋服をスタイリングすることはエディトリアルページ全体を監督することだということをより深く学び、ファッションの世界だけに関わらず世界の写真家や写真で表現されること、写真の奥深さに非常に強い興味を抱くようになったのがいまにつながっています。

百々千晴(以後:百々):私も就職活動なんかは考えずに、もうスタイリストになるものだと思って東京に出てきました。私がファッションに目覚めたのは中学生のときで、当時「CUTiE(キューティ)」が流行っていて、すごくかわいかったんです。それを見てスタイリストっていう仕事があるんだと知ったんです。あとファッションが好きだとデザイナーになるっていう考え方が主流にあると思うんですけど、私は絵を描けないからデザイナーにはなれないなと思っていました。でもスタイリストという職業があることを知って、スタイリストはすでにあるモノを組み合わせて表現するという仕事だから、それなら私にもできるかもと思いました。それからはスタイリストになりたいと思って東京に出てきたんです。

Hiro:そういう雑誌を見てスタイリストになろうとして、いま自分がその雑誌を作っているっておもしろいよね。

百々:当時の「CUTiE」はお部屋に貼りたくなるようなかわいい写真のページがたくさんあって、そんな雑誌になればいいなっていうのもUnionを作った理由のひとつですね。いま「Union」で雑誌作りをしているおかげで、自分の中学生のころの気持ちとかを思い出せたりできてすごく楽しいんです。

2/4ページ:とにかく自分たちの好きなモノで美しい雑誌を作りたい。

– お二人の出会いと、「Union」創刊にいたったキッカケを教えてください。

Hiro:2004年に二人とも語学留学でロンドンに行っていたんですけど、たまたま友達のBBQパーティーで知り合って、お互いにスタイリストをやっているということも知って、それから家族みたいな感じで遊ぶようになりました。それから百々の方が先に日本に帰って、帰国してすぐに仕事もたくさんやっていました。そのころ僕はまだロンドンでスタイリストのアシスタントをやっていました。7年ぐらい前のことです。

百々:当時、私は中目黒に住んでいたんですけど、Hiroくんがロンドンからそろそろ帰ってくるということだったんで聞いてみたら、たまたま家が近所だったんですよね。徒歩30秒くらい。それでなにかあるたびにHiroくんの家に遊びに行ってました。仕事でストレスがたまったり、お腹空いたらとりあえずHiroくんの家に行っとこみたいな。そういう自然な流れで「雑誌を作りたいよね~」といつからか話すようになっていったんですよね。そしてHiroくんがいろいろと案を出してくれて、自分たちが美しいと思うモノを表現できる場所として雑誌を作ることにしました。

Hiro:構想6年、制作6ヶ月みたいな感じだよね。

©Union Magazine #1

-「Union」のコンセプトを教えてください。

Hiro:とにかく自分たちの好きなモノで美しい雑誌を作りたい。その中でもタイムレスというのがひとつのキーポイントで、つねに美意識とともに自分の頭の中にあるモノなんです。美しいモノというのはつねにタイムレスなんですよね。その名の通り、時代を超越したり、性別とか国境も超越する。美しいモノは古い時代に作られても古くさく感じさせない。そういうモノを作りたいなと思いました。なので絵だけじゃなくてフォントとかレイアウト、コンテンツとかも、これが「Union」らしくなっているかどうか疑問を感じはじめたら、原点に戻ってタイムレスかどうかを考えるようにしています。

– フォトグラファーを選ぶ基準を教えてください。

Hiro:直感です。「Union」はファッションフォトグラファーとかアーティストとかでカテゴライズしていないので、この人と写真を撮れば「Union」らしいかな、という方向性で選びます。だからあまりファッションシューティングばかりしている人が出ているわけじゃないんですよね。

©Union Magazine #1

3/4ページ:SNSが世界共通なように、雑誌だってそうなりえるはずだと思っていました。

– 今回、NYやロンドンといった海外のイラストレーターやアーティストとコラボレーションをしていますが、こういうクリエイターはどうやって探してくるんですか?

Hiro:百々と2人で本を作るんだったら、この人たちとやりたいなっていう蓄積がずっとあったんですよね。当然自分がロンドンいたときに一緒に仕事をやっていた人もいるし、雑誌を見てこの人とやりたいなと思っていた人には、会ったことはないですけど、メールでこんな感じでやりたいと熱く伝えました。そしたら9割ぐらいはいい反応をもらえましたね。だから今回、海外から参加してくれたアーティストたちとはまだあったこともない方がたくさんいるんです。来月ぐらいから次々と東京に遊びに来るみたいなので会うのが楽しみです。

©Union Magazine #1

– 国内の配本先はすでにたくさんありますね。海外にも置く予定というのはありますか?

Hiro:いまアプローチしていて、5月ぐらいには世界の各都市に置けるようになりたいと思っています。昨日もソウルからオファーがきて、美しい本だからぜひ置きたいと言ってくれました。そういうのはすごく嬉しいです。

– バイリンガルにした理由はなんですか?

Hiro:Twitter(ツイッター)やFacebook(フェイスブック)といったSNSが世界共通なように、雑誌だってそうなりえるはずだと思っていました。僕らはそこでもう一回、同じ趣味を持っている人たちに共通となるモノを提供しようと考えて、そう考えると日本語だけだと物足りないし、いまの女の子たちって生まれたときからインターネットがあって、ブログをチェックして、Tumblr(タンブラー)も見ていて、英語に全然抵抗がないなと思ったんです。ファッションが好きな人で英語に抵抗があると、なかなか情報を集められないじゃないですか。なので「Union」も見たら分かるとおり、はじめに英語がきているんです。そして日本語が補足的に後ろにきています。これはビジュアルでカッコいいとかではなく、とにかくフラットでみんなが見れる共通のモノにしたいという考えがあるからです。

– 日本のファッションのどこがおもしろいと思いますか?

百々:私は海外も好きでよく行きますけど、海外だといま熱いと言われている場所にロケとかで行っても、あまり原宿や渋谷みたいなところがないんですよね。あと東京らしいというのがすごく好きです。最近は韓国人とか中国人とかスタイルもよくてカワイイ子がいっぱい増えてきていますけど、あそこは大陸がつながっているからスタイルがいい子が多いんですよね。東京は外国にはないニオイであったり、全然違う感性があると思うんですけど、島国である日本人特有の体型とかを考えて、日本人なりのお洒落を考えたりするのがすごく好きです。

4/4ページ:もう自分の中では2号目も終わっていて、3号目の構想も頭にあります。

– お気に入りの日本ブランドありますか?

Hiro:ひとつだけあげるとしたらleur logette(ルル・ロジェッタ)が好きです。leur logetteのルックブックのクリエイティブディレクションとスタイリングをずっとしているんですけど、それはブランドが好きだからずっとやれるんですよね。

百々:私は自分でもBonnie Springs(ボニースプリングス)というブランドをやっているんですけど、好きなブランドはいっぱいあります。中学生とか高校生のときはCOMME des GARÇONS(コム・デ・ギャルソン)とかがすごい流行っていました。今回snidel(スナイデル)ともお仕事をしているんですが、snidelなんかはいま東京でとても人気があるブランドです。東京のファッションってすごくいろいろなパターンがあると思うんです。コレクションブランドとして海外に進出しているブランドもあれば、若い子に向けて価格も手頃なブランドもあるから。私はそういう価格が手頃なブランドも大好きで、moussy(マウジー)のジーンズとかも持ってます。そういうのも東京のファッションっぽくて好きで、それが「Union」の中に入っているのもおもしろいと思うんです。

Hiro:しかも今回のsnidelの撮影は、Gia Coppola(ジア・コッポラ)がロサンゼルスで撮ってくれたんですよね。その掛け合わせがすごくおもしろいと思います。モデルもNathalie Love(ナタリー・ラブ)だしね。GIAとNathalieは友達なので、すごくいい関係で撮影できたって言っていました。これは「Union」のためだけに撮ってもらったエクスクルーシブな写真なんです。

– 今後の予定を教えてください。

HIRO:もう自分の中では2号目も終わっていて、3号目の構想も頭にあります。どんどん作りたいと考えています。1号目でやれたことは、とにかく2人で創刊するということだったので、本当にやりたかった内容はまだまだ1%ぐらいしかできていないと思っています。次号ではどんどん読めるページも増やしていきたいし、もっともっと世界中で読めるような雑誌にしていきたいと思います。

©Union Magazine #1

– 最後に、東京のおすすめスポットを教えてください。

百々:

・Biotop(ビオトープ)

週末に家族で過ごす時間があるときは白金台にあるBiotopで買い物して、そのままランチしますね。ぶらぶらするのが好きなので車を運転してスポット的に行くことが多いです。

・伊勢丹新宿店

伊勢丹は女子から言わしたら尋常じゃないですよ。お金がいくらあっても足りない。伊勢丹ってとにかくパーフェクトなんですよ。私は伊勢丹が渋谷にできたら破産しますね。まだ新宿にあるからサクッと行けないからいいけど。

・JANTIQUES(ジャンティーク)

大好きな古着屋。JANTIQUESオーナーの内田ご夫妻も「Union」の創刊パーティーにきてくれましたけど、あそこの古着屋ははんぱないですね。尋常じゃなくかわいいアイテムがたくさんあります。

Hiro:

・Tower Books(タワーブックス)渋谷店

本屋さんばっかり行くんですが、基本はTower Booksです。あそこは本を読めるスペースがあるんですけど、いつもだれも座ってないないんですよね(笑)あと以外に誰とも会わないから長くいれますね。

・明治神宮

明治神宮はよく行きます。

・AJITO(アジト)中目黒店

とりあえずなにかあるとAJITOに行きます。ベジタリアンなんですが、ここは食べれるモノもたくさんあるし、僕用に特別に作ってくれたりするので重宝しています。もうAJITOが基準になっちゃっているので、タイ料理を食べに行ったらいつもAJITOと比べちゃうんですよね。ここはAJITOよりおいしくないなって。「Union」の打ち合わせもいつもAJITOです。この間、友達でヘアスタイリストのYuukちゃんに「打ち合わせどこにする?」って言われたんで、「中目黒のアジトね」っメール返したら、「Hiroくん、自分の家のことをアジトって言うのね」って言われてしまいました(笑)