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【香料連載】 第7回 イランイラン

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【香料連載】 第7回 イランイラン

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photography: So Mitsuya
text: AYANA
edit: miwa goroku

フレグランスを構成する<香料>を軸に、ファッションフレグランスからニッチなメゾンフレグランスまでをピックアップ & アーカイブしていく本連載。ビューティライターの AYANA が香りの魅力を紐解きます。ヴィジュアルは、独自のデジタルコラージュで注目を集める写真家・三ツ谷想が担当。7回目のテーマは「イランイラン」。その官能性の高さから、人によって好みがわかれる香料のひとつかもしれません。今年は GUCCI (グッチ) をはじめ、注目新作のフレグランスにも使われていて、改めて気になる香料です。

 

TIFFANY (左): イランイランとアイリスによるポジティブな空気。Aēsop (中): スモーキーなローズの奥にバルサミックな余韻が。Perris Monte Carlo (右): バニラシロップのようにとことん甘いエレガンス

イランイランの香りは恐ろしい。

甘い言葉でうっとりと酔わされ、身も心もすっかりほぐされて、一度足を踏み入れたら戻ってこられない刹那的な楽園へと誘われるような危険を感じてしまうからです。

エキゾチックで太陽のように眩しく、絡みつくような甘い香りが魅力のイランイランは、細長い黄色の花びらをつける熱帯の高木。同じく濃密なフローラルノートを放つものにジャスミンがありますが、ジャスミンが高貴なイメージを持つのに対し、イランイランはかなりプリミティブ。バルサミックでスパイシーな要素が多分に含まれます。精神やホルモンのバランスに作用していくその催淫作用には、リラックスできる効果と、精神を高揚させる効果があります。

否が応でも本能が反応してしまう、だからイランイランの香りには抗えません。恐れや不安を抱いていたり、官能性を理性の奥に隠してしまっている人たちを、まろやかに艶かしく癒し解放するのです。これはもう、ある種の自白剤になり得るのでは。

GUERLAIN (左): ジャスミン、白檀を主役にしたオリエンタルな名香。GUCCI (右): チュベローズにイランイランがリッチな深みをプラス。多面的な魅力が広がる

原産は東南アジアで、現在の主な収穫地はマダガスカル島やレユニオン島などアフリカのエリア。精油はその花から抽出され、なんと品質が5段階に分かれています。夜明けから朝9時にかけて摘んだ花 (この時間帯がもっとも香りが強いため) を水蒸気蒸留にかけ、最初のわずか30分で抽出したものがもっとも高価な「エクストラ・スーペリア」と呼ばれます。

単体ではかなり香りが強いイランイラン。フレグランスにブレンドしても、個性をしっかりと主張し香調のアクセントとなってくれます。エレガントなフローラルにはバルサミックなツイストを。スパイシーな香りにはふくよかな官能性を。意外性を潜ませて、香りに奥行きをもたらしてくれるのです。

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