香りも一緒に衣替え。新たな季節に迎えたい新作フレグランス
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香りも一緒に衣替え。新たな季節に迎えたい新作フレグランス
new cosmetics trend in september
the 10 best fragrant for autumn 2023
text & edit: Yuko Igarashi & Miku Oyama
暑かった夏も過ぎ、だんだんと秋の訪れを感じつつある今日。気温が下がり、乾燥した空気を感じるようになると、爽やかで軽やかなものから重厚感のある香水に変えたくなる。そんな秋冬に向け、各ブランドから新しいフレグランスが続々と登場。寝るときやマインドリセットのために作られたものから、語りどころのあるストーリーが込められたものまで。これからの季節に備え、お気に入りの香水を探してみてはいかが?
プラダから初のアイコンフレングランスが登場
PRADA (プラダ) から誕生したのは、ブランドの DNA の一つである「矛盾(パラドックス)」をテーマにしたミステリアスな香りのフレグランス。ジャスミンやネロリなどのフローラルノートに、アバンギャルドなアンブロフィックスを加え、全体を包み込むホワイトムスクをブレンド。相反する香料を混ぜ合わせることで、フェミニンながらもマスキュリンな力強さを感じさせるように、香りの多面性を引き出した。また、ミニマルでラグジュアリーなボトルは、PRADA のアイコンであるトライアングルロゴがモチーフ。伝統的な香水瓶の作りとは異なる横置きのタイプながらも安定感があり、機能性とデザイン性を兼ね備えている。さらに、リフィルも発売されているので、ボトルを再利用できるサステナブル仕様なのも嬉しい。
いい夢を見るために作られた夜用香水
夜のリチュアル(儀式)を表した BYREDO (バイレード) の「ナイト ヴェールズ」コレクションから新作が登場。シリーズ初のウードグルマンフレグランスである本アイテムは、芳醇なグルマンの香りに、スパイスのアクセントを加えた魅惑の香り。トップノートは、フレッシュながらもスパイシーな複雑な香りで始まり、やがて重厚な甘さが生じる。そして沈香の官能的な芳香でフィナーレを迎え、対局にあるすっきりとしたパチュリやパピルスで調和を取った。少量でもしっかり香り、余韻が長時間持続するので、寝る前のリラックスタイムや夜のパーティーシーンにもおすすめ。
ジェンダーレスに使える限定フレグランスが復刻
GIVENCHY (ジバンシィ) のクリエイティブディレクター Matthew M. Williams (マシュー・M・ウィリアムズ) の感性とユニークな個性にインスパイアされた限定フレグランス「ド ジバンシイ MMW」が新パッケージで登場。爽やかさがありながらも甘いパロ サントの香りに、セダーウッドやベチバー、カルダモン、シトラスが加わり、ジェンダーフリーで使用できるフレッシュなウッディノートに仕上がった。単独での使用はもちろん、同シリーズの「ド ジバンシイ アコール パルティキュリエ」とレイヤリングすると、より深く官能的なウッディな香りが楽しめる。
イヴ・サンローランの香水「リブレ」で最もラグジュアリーな新作
YVES SAINT LAURENT (イヴ・サンローラン) の人気香水「リブレ」から、シリーズ最高峰の「リブレ ラプソリュ プラチナム」が登場。「リブレ」は、革新的で自由な発想を持つムッシュ イヴ・サンローランに敬意を表したアイコニックな香水だ。中心を成すマスキュリンなラベンダーと、フェミニンなオレンジブロッサムの香調にホワイトラベンダーを加えることで、センシュアルでありながらも深みのある芳香へと昇華した。また、「リブレ」シリーズの中で最も高い濃度で香るので、ひと吹きで香りが長時間持続する。さらに、宝石のようなラグジュアリーなボトルも魅力の一つ。ガラスには、プラチナムとシルバーのインナーラッカーを施し、氷のような冷たさを表現。ボトルの横に配されたカサンドラロゴのゴールドとのコントラストが、よりボトルの美しさを強調する。
イギリス上流階級の執事をイメージした贅沢な香り
イギリスの貴族や社交界の人物たちにオマージュを捧げた、PENHALIGON’S (ペンハリガン) の「ポートレート」コレクションに、新たな香水が仲間入り。本コレクションの舞台は、19世紀後半のイギリス。田園地帯にある大邸宅に住むジョージー卿とその一族の物語を香りで表現している。今回発売するのは、ジョージー卿の優秀な執事、ミスター・トンプソンのみが鍵を持つ「秘密の箱」をイメージ。ピンクペッパーやエレミなどの華やかなスパイスのトップで幕開けし、ゼラニウムやアイリスなどのパウダリーな香りが続く。ラストはミルキーなセサミが広がり、リッチで甘いバニラビーンズがセンシュアルな余韻を残す。アーティストの Kristjana S Williams (クリスティヤーナ・S・ウィリアムズ) とのコラボによるエキゾチックなパッケージと真鍮の像のボトルキャップは、インパクト大でプレゼントにもぴったり。
精油のみで香りが構築されたマインドリセットフレグランス
THREE (スリー) 初の香水「THREE エッセンシャルセンツ」は、オリジナルの国産ゼラニウム精油のみで香りを構築したプラントベースのオードトワレ。私たちが生きていく上で欠かせない「呼吸」に着目し、深呼吸したくなるようなみずみずしさとすっきり感のある香りが特徴だ。気になるラインナップは、「石」、「花」、「樹」、「果実」、「種」から着想を得た5つの香り。単体での使用だけでなく、「石」をベースにレイヤードすることで、自分だけのオリジナルの香りを楽しむことができる。また、持ち運びできるミニマムサイズなので、いつでもどこでも気分をリフレッシュさせたい時にさっと使えるのもポイント。
旅した国の記憶を香りに昇華したフレグランス
2010年にGiuseppe Imprezzabile (ジュゼッペ・インプレツァビレ) によって設立されたニッチフレグランスブランド Meo Fusciuni (メオ フシューニ) がついに日本に本格上陸。自身が世界中を旅する中で出会った人々や自然との記憶からインスパイアされた香水を作り出している。今回ご紹介する「トラベルノート」シリーズでは、世界中の国々からインスパイアされた香水がラインナップ。イスタンブールをイメージした「No.1 ノッタ ディビアーチョ」は、スパイスが香るエキゾチックな香り。モロッコを思わせる「No.2 ノッタ ディビアーチョ」は、モロッコで日常的に親しまれているミントティーのようなフレッシュな香りが特徴。Giuseppe Imprezzabile が子供時代を過ごした、シチリアの美しい風景を想起させる「No.3 ノッタ ディビアーチョ」は、フィグとウッディノートが織りなす芳香。嗅覚としての記憶を香りで表現した、ユニークで独創的なフレグランスはぜひ挑戦してみたいアイテムだ。
つける人によって香り方が変わる、ミステリアスでスモーキーな香り
TOM FORD BEAUTY (トム フォード ビューティ) の「プライベート ブレンド」コレクションから、アンバーウッディの新作がローンチ。古くから香水に使われてきた成分であるミルラ エッセンスに、サンダルウッドとジャスミンの香りが加わり、やわらかな甘さのウルトラ バニラが全体をまとめ、神秘的ながらも温かみのある香気に仕上げた。また、ウッドを思わせるブラウンボトルも魅力的。コレクションを象徴するラグジュアリーなデザインはそのままに、より洗練された雰囲気のボトルに仕上がっている。
旅の終焉と再生をイメージしたウッディでスパイシーな香水
現実と非現実の間の世界から着想を得た、Aēsop (イソップ) のフレグランスコレクション「アザートピアス」。この秋、シリーズ最終章となる「オラノン オードパルファム」が登場する。本アイテムは、時を超えてそびえ立つモノリスの姿からインスピレーションを得て作られたという。永遠に残り続けるものと朽ちてゆくものといった真逆の要素をカプセルの中に閉じ込め、物語の終幕と新たな章への予感を想起させる。香りは、プチグレンのシトラスの香りで幕を開け、徐々にスパイスやフラワーノートのアロマが広がっていく。ラストはアンバーのやさしい薫香や大地を思わせるミルラやパチョリでまとめられている。ウッディでスパイシー、そしてどこか愁いを感じる「オラノン」は、秋に使いたいフレグランスだ。
アン ドゥムルメステール初の香水が誕生
ベルギー発のファッションブランド ANN DEMEULEMEESTER (アン ドゥムルメステール) が、ブランドの真髄を捉えた香水「A」をローンチ。デザイナー自身のイニシャルであり、始まりを意味する「A」の名前を冠した本アイテムは、ブランドの創業者である Ann Demeulemeester (アン・ドゥムルメステール) が生涯をかけて研究し、作り上げたフレグランスだ。香りは、バラやジャスミンがもたらすロマンティックな香りとダークなレザーノートのコントラストによって、ジェンダーレスにも使用できる。また、モダンなラインでカットされた柱状のガラスボトルは、ブランドのアントワープ本店の内装をイメージした黒地のキャンバスが特徴。ボトルの角度によって、「A」文字が透けて見えるなど、香料と同様にデザイナーのこだわりが詰まっている。