多彩な色が紡ぐドラマティックなストーリー。栗原颯人と日高由起刀がまとうネオンカラー〈前編〉
街中に金木犀の香りが立ち込め、涼やかな風の音に季節の移ろいを感じる。だんだんと深まる秋の気配に乗って、都内某所のスタジオに現れたのは、この秋銀幕デビューを飾った栗原颯人と日高由起刀。空音央監督による長編劇映画デビュー作『HAPPYEND』で主演を務める二人は、そう遠くない未来の日本を舞台に、離れ近づく高校生の複雑な感情を等身大の演技で表現。その存在感を充分に発揮していた。
刻々と変わっていく世界と友情、日常から噴出する反抗心…。近未来的でありながらどこかエモーショナル。そんな本作品にインスピレーションを受け、メイクアップアーティストの Tamayo Yamamoto が、ダイナミックなメンズメイクを提案。大胆なチーク、ステートメントなアイメイク、エッジの効いたカラーアイブロウなど。豊かな色から紡ぎ出される二人の物語を堪能して(第1回/全2回)。
Neon Color Makeup
model: hayato kurihara & yukito hidaka
photography: kodai ikemitsu
make up: tamayo yamamoto
hair: waka adachi
styling: peter gunn sho
text: miku oyama
edit: yuki namba & miku oyama
作中で栗原が演じるユウタと日高が演じるコウが忍び込んだナイトクラブのネオン、放課後の夕暮れ。キラキラと光るライトや夕陽が頬に反射する。そんなワンシーンを表現するために、NARS (ナーズ) の「ブラッシュ N」を4色用いて大胆にブレンド。こめかみから頬、さらには顎から首にかけてピンクやレッド、そして、オレンジのグラデーションが織りなす鮮やかなブラッシュは、どこかエモーショナルな雰囲気を漂わせる。耳元にはフューチャリスティックなシルバーとゴールドを乗せることで全体を引き締めて。個性を解き放つメイクは、リップをとことんヘルシーにするのがポイント。素の唇を美しく際立たせる PRADA BEAUTY (プラダ ビューティ) のリップバームでナチュラルなツヤを手に入れて。
「クラブのネオンが顔にチラチラと当たる様子や夕陽が頬に差し込む様子などからインスパイアされたメイク。ノスタルジーさを感じるようなロマンチックな光を表現したかったので、マット仕上げのチークを主役にダイナミックなグラデーションを作りました。一方で、耳はゴールドやシルバーのメタリックなカラーを塗って、コントラストを意識。作中に出てくるミラーボールや近未来的な都市の風景を反映させました。」(Tamayo)
ブルーと一口に言っても、その種類は様々。濃淡や質感の違いで多様な顔を覗かせる。今回は、彩度の違う3色のブルーを使って鮮烈なアイメイクを施した。アイホールの外側には深いブルー、内側にはライトなブルーを重ねて、深い海をイメージして。内側から外側にかけて色を濃くしていくことで、幻想的なグラデーションが完成。ブルーのアイシャドウを囲むように艶やかなイエローやグリーンのシャドウを塗れば、引き締まった目元を演出する。存在感のあるアイメイクだから、そのほかのパーツは色を押さえて。コンシーラーで眉毛の存在感をなくすことで、よりモードに引き上げてくれる。
「この作品を通して感じたのは、大人と子どもの狭間である高校生の複雑に絡み合う感情、そして不安を感じながらも今を誠実に生きている彼らの意志の強さ。これを表現するにはブルーがぴったりだと思いました。同じ目標や夢に向かっていても、そこには様々な葛藤や不安があるはず。そんな彼らの心情を3色のブルーを用いてメイクアップに落とし込みました。同じ色でも違うテクスチャーやトーンのアイテムを使うことで、目元に奥行きが生まれます。デイリーメイクにも使えるテクニックなので、ぜひトライしてみてください。」(Tamayo)