sawako fujima

繊細なきらめきとともに。藤間爽子が堪能する、センシュアルな秋メイク〈前編〉

新しいコスメを使うときのわくわく感は何にも代えがたい。いつもより行動力が出たり、身につけるものが変わったり。メイクを新しくすると気分までも変わるものだ。

今シーズンはくすみカラーやダークトーンなど、この季節にふさわしい落ち着きのある色みが揃う。一方でそんな深みのあるカラーに抜けと華やかさをもたらすラメを取り入れた質感が多くラインナップ。そこで、軽やかなラメを使用することを前提とした、最旬カラーメイクをお届け。

まとうのは俳優と日本舞踊家という2つの肩書きを持つ、藤間爽子。異なるテクスチャーを巧みに組み合わせたメイクアップで、新たな秋色を楽しんで(全2回)。

sawako fujima

model: sawako fujima
photography: yusdai kusano
styling: lee yasuka
hair & make up: shiho sakamoto
text: yuko igarashi
interview & edit: manaha hosoda

HOW TO MAKE UP

CHANEL (シャネル) からこの秋に登場した鮮やかな発色が長時間続く、マットなリクィッド リップカラー。保湿効果と保護効果を備えたフォーミュラで、のせた瞬間に心地よくなじみ、ひと塗りでセカンド スキンのようにぴったりと密着。ピグメントが凝縮されたインテンスなシェードが揃う。ピックアップしたのは青みパープルのリクィッド リップカラー。重たい印象になりがちな色みだが、ふんわりとした発色と品のあるツヤで、マットでも強すぎない存在感に導く。

濃厚なリップの色みに反して、目元には BYREDO (バイレード)の新作アイシャドウ 5 カラーズの輝度の高いシルバーを。広範囲ではなくアイラインのように塗布し、口元とのコントラストで全体をほどよく引き締めて。アイホールと下瞼には同じくアイシャドウ 5 カラーズのオレンジカラーを仕込み、さりげなく陰影を演出。

ドレス ¥657,800、ブローチ(大) ¥115,500、ブローチ(小) ¥89,100、ブーツ ¥228,800/すべて JIL SANDER BY LUCIE AND LUKE MEIER (ジル サンダー バイ ルーシー アンド ルーク·メイヤ)

ITEMS USED

個性を確立できるパープルのリップカラー。透け感のある発色なので、何回か重ねることでさらに深みのある色に。唇の輪郭は指でぽんぽんとぼかすように塗れば、やわらかい印象を加算できる。 ルージュ アリュール リクィッド ヴェルヴェット 236 ¥5,940/ CHANEL (シャネル)
©︎CHANEL

見た目より軽やかな色づきが特徴のウォームトーンのアイパレット。使用したモハベア(左端)は粒子の細かいゴールドラメにより、メタリックなカラーでありながらあたたかみのあるムードを醸し出す。アイホールと下瞼に塗ったサンダルウッド(右から2番目)はシアーな質感で、マットでもすんなり肌に溶け込み、ナチュラルな立体感を作り出してくれる。 アイシャドウ 5 カラーズ デザート ロード ¥10,340/ BYREDO (バイレード)
©︎BYREDO

Q&A

—11月1日に公開を控える出演作『アイミタガイ』について、まずお伺いさせてください。本作のオファーがあった際、藤間さんはタイトルの「相身互い(あいみたがい)」という言葉をそもそもご存知でしたか?あまり聞き慣れない言葉のように思うのですが。

相身互いって言葉があること自体、今回初めて知りました。最初カタカナだったので、なおさらどういう意味かわかりませんでしたが、本を読んで、こんなに素敵な、美しい言葉があるのだな、と。すごく日本人らしい言葉ですよね。

—作中でも、「相身互い」についての解説がありましたが、藤間さんは撮影を経て時間が経った今、この言葉をどのように表現されますか?

思いやり、ですかね。人に何かをしてあげよう、ではなく、自然と生まれる人に対する思いやり、みたいなことなのかなと思いました。「お互い様だよ」というような。やっぱり人って、誰かに何かをしてあげたら、何か返ってくるんじゃないかって思ってしまうところがありますよね。でも、完成した映画を見たら、そういう損得とは関係ない、人とのつながりや助け合いが大事だということを改めて感じました。そうしたものは循環して、巡り合うものなのだと思います。

—作品でも心あたたかい人物がたくさん登場しますが、わざとらしくないですよね。

生きていれば、意図的でなくとも、自然といろいろなものが繋がっていく。そういうことだったんだって、後から気づくことがありますよね。

—藤間さんが演じた叶海(かなみ)は非の打ち所がない女性のように感じましたが、藤間さんにはどのように映りましたか?

確かに主人公の梓とは性格が違いますが、完璧な女性とは思いませんでした。正義感も強いし、芯のしっかりした強い女性のようにも思えますが、きっとすごく繊細な部分も持っている。梓の背中を押すことで、自分の背中も押されている。どちらか片方が押しているわけではなく、お互いに。カメラで日常のさりげない瞬間を写しているのも、日々のささやかな幸せを大切にしていたからですよね。ある意味、普通の女性だったんではないかと思います。

—実際に演じてみていかがでしたか?

そうですね。最初に、監督からこういうイメージと共有を受けたのが、実際にジャングルとかで撮影をしているフォトグラファーの女性でした。自分と比べてみた時に、ワイルドさに欠けるんじゃないかなという不安はありましたが、なるべく自分の等身大に近づけて、演じることを心がけました。強い女性を演じようとは思わず、無理することなく演技に臨みました。