【東京のいま】 10月 | ゼロ・ワン

いま、東京はどんな表情を見せるのか？ 足早に過ぎ去る季節の中、多くの人々が行き交い、常に輪郭を変えていくこの街で、ひとたび足を止めて、目を凝らせば日常の隙間に小さな物語が浮かび上がる。

本連載では、毎月4人の写真家が、その月ならではの東京の風景を、自らの視点で写し出していく。今回紹介するのは、中国出身の写真家 Zero Wang (ゼロ・ワン) の10月。繊細さの中に真剣さを宿したイメージを生み出し、柔らかな空気感やテクスチャー、温度の表現をすくい撮りながら、静かに作品を撮り下ろしている。

彼女の視線に導かれるように映し出されるのは、都市のリズムの中に潜む、かすかな揺らぎと確かな存在感。その瞬間は儚くもありながら、この街の鼓動と確かに響き合っている。