Dries van noten
with Hio Miyazawa

宮沢氷魚とロマン薫る春

Dries van noten
with Hio Miyazawa

model: hio miyazawa
photography: masaki sato
styling: takanori akiyama
hair & makeup: takuma suga
edit & text: manaha hosoda

冬の澄み切った青空の下、本格的な寒さに向かいはじめた12月某日。都内のスタジオでは、そんな寒空を一瞬にして忘れてしまうぐらい、春のように麗らかな空気が満ちていた。その空気を作り出しているのが、旬の若手俳優として最近名前をよくみるようになった宮沢氷魚。気取らず自然体な様子の彼は、持ち前の明るさでそこにいる人々をリラックスさせている。モデルとして活動をスタートし、着実に支持を獲得してきたことも、彼の人柄ゆえだろう。

音楽家の父とタレントの母を持ち、抜群のスタイルと甘いマスク、カリフォルニア出身のバイリンガルと、天に二物も三物も与えられた彼の才能が今、新たな開花の時を迎えようとしている。モデル業はもちろん、最近ではドラマに舞台と俳優業も本格的にスタート。1月24日には初主演作となる映画『his』が公開。同性愛者の男性という難しい役を見事熱演している。

Dries Van Noten (ドリス ヴァン ノッテン) 2020年春夏コレクションでは「archi-fluidity (超流動性)」をテーマに、色とりどりの花々がパターンの上で咲き乱れた。クラシカルなブリティッシュ・チェックのテーラードジャケットにセンシュアルなフローラルパターンを大胆に組み合わせることで、Dries Van Noten 流のニューロマンティックが完成。マスキュリニティとフェミニニティの両方が共存するルックは、繊細で端正な彼の雰囲気にもうまくマッチしている。

Dries van noten
with Hio Miyazawa

宮沢氷魚とロマン薫る春

ジャケット ¥118,000、シャツ ¥63,000、パンツ ¥159,000、靴 ¥106,000/全て Dries Van Noten (ドリス ヴァン ノッテン)

『愛がなんだ』や『アイネクライネナハトムジーク』などを手がけ、恋愛映画の旗手と謳われる映画監督・今泉力哉が「これまで主題として使うことは避けてきた」という同性愛を題材にした意欲作『his』がいよいよ公開。ゲイであることを隠すために主人公・迅が移住した田舎町を舞台に、かつて恋人同士だった男性ふたりの8年ぶりの再会から物語は幕を開ける。

「本人が備えている品が、迅の純粋さやキラキラした佇まいに生かされるのでは」と見事主演に抜擢されたのは、テレビドラマ「偽装不倫」で注目を集めた宮沢氷魚。相手役を演じるのは、『全員死刑』(2017)や『止められるか、俺たちを』(2018)といった注目作に立て続けに出演を果たしている藤原季節。フレッシュな俳優を迎えた恋愛ストーリーをベースに、LGBTQの人々の葛藤と希望、新たな家族のかたちやシングルマザーの現状など恋愛を超えた人と人の繋がりを描いた人間ドラマは、2020年に押さえておきたい映画のひとつだ。