Mikiko Yano
released a photo book as is

ありのままの自分に還る、モデル・矢野未希子の自然体

Mikiko Yano
released a photo book as is

model: mikiko yano
photography: shota kono
styling: makiko ito
hair & make up: mikako suzuki
edit & text: shiyori kawamura

誰もが知るさまざまな女性誌で表紙を飾り、同年代の女性から圧倒的な人気を誇り続ける、モデル・矢野未希子。15歳でデビューして以来、モデル歴20年の中で見てきた雑誌の裏側の世界。これまでは被写体としての立場から表現してきた写真を、写真家の東京祐氏と共に新たな視点で見つめ直した写真集『as is』を発売する。そんな彼女の新たな挑戦を、これまでとは異なる表情と共に切り取った。

Mikiko Yano
released a photo book as is

ありのままの自分に還る、モデル・矢野未希子の自然体

流行りや時代の流れに左右されない
いつ見ても飽きない写真が撮りたかった

 

長年携わってきた雑誌はもちろん、現在はSNSやYouTubeなどで発信するライフスタイルに注目が集まる、矢野未希子。これまでもスタイルブックや写真集などは出版してきたが、今回の写真集『as is』は、自費出版という形での発売となる。「15歳から雑誌のモデルとして仕事をしてきましたが、本だったり雑誌を作る経験はなくて。雑誌作りの裏側に関わってきた経験を活かして、いちから作って見たかった思いがありました。」写真家の東氏と国内を巡り、1年かけて撮影を行ってきたが、スタイリストやヘアメイクは毎回別のスタッフをアテンド。彼女が一番リラックスできるという自然を舞台に、自分を解放できる瞬間をさまざまなシチュエーションの中で切り取っている。

トップス ¥64,900、スカート ¥107,80/ともにGIA STUDIOS (ジア・ストゥディオス)、ブーツ ¥178,200/Gianvito Rossi (ジャンヴィト ロッシ)

—今回、実費出版という形をとっていますが、以前から写真集を作る構想はありましたか?

昔からモデルとして慣れ親しんできた雑誌とか、紙媒体を作ることには興味があったんです。ずっと写される側でしたが、写す側の考えとかも知りたいなと思っていて。長く携わっていた雑誌の専属モデルを卒業するというターニングポイントを迎えたときに、自分でディレクションした写真が撮りたいな思いました。そこで、写真家の東さんと出会い、1年かけていろいろな写真を撮り溜めていきました。実は撮影自体、2019年に行っていたんですよ。写真がある程度形になってきた時に、写真集にしようと決めたんです。

—写真集の発売以外にも写真展も行いますが、写真展を開催することは決まっていたのでしょうか?

せっかく写真で自分の好きなものを表現できたのだから、その写真を好きな空間で見てもらいたいな、という思いが生まれて。空間全体を通して、五感でテーマを感じてもらいたかったんです。今回の展示は「KARIMOKU COMMONS TOKYO (カリモクコモンズトーキョー) で行わせていただいていますが、空間プロデュースはこのカリモクさんを繋いでいただいた建築家の芦沢啓治さんにご協力いただきました。入り口にはガラスにプリントされた写真が出迎えてくれますが、そのほかのスペースも、岩や石を置いたり、写真を撮影した環境を再現しています。会場の香りにもこだわりがあって、撮影で訪れた高知産のゆずや北海道産のハッカを使ったアロマを、アットアロマさんに作ってもらいました。

—撮影の中で、一番記憶に残ったことは何かありましたか。

自然の中で撮影しているので、基本はすべてロケ撮影です。雪のシーンは本当に雪が降る北海道で撮影しているので、ものすごく寒かったです。中でも海のシーンは、二度と同じことはできないかもしれない、と思うくらい大変でした(笑)。髪の毛に約5m弱の毛糸を結んだまま海中で撮影しているんですが、水を含んだ毛糸が美しく動く瞬間を狙うのが大変で。重いので上手に動かせないんですよ。水中での長時間の撮影は身体もどんどん冷えるし、水中で目を開けてきれいに見せるのがとても難しくて……。でも仕上がりを見て、苦労して頑張ってよかった!と思える、素晴らしい写真になりました。

—今回、自然体・ありのままがテーマですが、矢野さんにとってのありのままはどんな姿なのでしょうか。

私自身、自然溢れる場所が一番リラックスできると感じています。海が大好きで、旅行先にも海のある場所は選びがちですね(笑)。自然を感じられる場所に行くと、自分が解放されて表情も柔らかくなるんですよ。もちろん自分だけじゃなく、一緒にいる友人や家族とか、みんなの気持ちが解放されると、ありのままの自然体に還る感じがします。その瞬間が一番美しいなと思える。美しいの価値観っていろいろありますが、流行りだったりその時に流されてしまうものではなく、例えば3年後とか、いつ見ても普遍的に美しいと思えるもの。だから、今回の写真も自然の中でそれを表現したいと考えていました。

—そんな矢野さんが自然体でいられる服装はありますか。

ライフステージが変わるにつれ、着る服が変化している実感はあります。例えば、ヒールの高い靴はあまり選ばなかったり。デザインが気に入っても、実用的かを考えて折り合いをつけることが増えました。また最近は自然が多い場所に出掛けることも増えたので、リラックスできるアイテムが多いかも。でもパーティーに出掛けるときは、モードな雰囲気の洋服が好きです。ドレスアップするとき、ボディのラインも出るし、ある意味でありのままの自分が映し出されてしまう。大胆なカットが入った服を着るために、前々から保湿を念入りにするとか、身につけるための準備をするんですよね。だから着るだけで背中がシャンとして元気をもらえるので、モードな服はずっと憧れだし好きです。

—今回は表現者として写真集・写真展を選びましたが、今後の展望などありますか。

例えば自分が心地いいと思える服を提案したり、普段のライフスタイルが仕事に繋がっていけたらいいなと思っています。もちろん、仕事として発信はするけれど、それだけじゃなく、自分そのものを伝えていきたい。リアルな自分の生活はもちろん、ファッションやこれから出会うさまざまなご縁を通じて、新しい仕事の形を見つけていけたらいいなと思っています。まさに、ありのままの自分を仕事に繋げていけたらいいですね。