屈折した老い。向井山朋子が奏でる美の旋律 vol.2
tomoko mukaiyama
with loewe
model: tomoko mukaiyama
photography: yuki kumagai
styling: sumire hayakawa
hair: yu nagatomo
make up: nobuko maekawa
text: manaha hosoda
美しいとされているものに美を見出すことはたやすいけれど、歪みの中に美しさを見つけ、愛すること。それは、歳を重ね、美しいものを多く見てきたからこそ、気づけることかもしれない。
世界を舞台に活躍するピアニスト、そして美術家の向井山朋子は、既成概念にとらわれることなく、常に挑戦を続けてきた。1994年に発表されたアルバム『Women Composers』で鮮烈なデビューを果たして以来、ピアノに留まらないジャンルを超えた活動を精力的に行ってきた彼女が、今考える美しさとは。
一筋縄ではいかないその圧倒的な魅力に感銘を受けたのは、詩的な表現で幻想的な世界へと誘う写真家・熊谷勇樹と、ファッションだけでなく音楽や舞台にも造詣の深いスタイリスト・早川すみれ。向井山が口にした「屈折した老い」をテーマに、ただ美しいだけではない、心を突き動かす強烈ななにかを捉える。
グランドピアノの前に立つと、また表情が変化した向井山が第2回で着こなしたのは、Jonathan Anderson (ジョナサン・アンダーソン) による LOEWE (ロエベ) 2024年春夏プレコレクション。一見するとクラシカルなシャツドレスだが、LOEWE のアイコニックなドーナツチェーンが裾を持ち上げるようにあしらわれた、ひと癖あるデザインがよく似合う。
屈折した老い。向井山朋子が奏でる美の旋律 vol.2