mitsuki takahata & masaki okada

高畑充希と岡田将生、心地いい2人の距離感〈前編〉

穏やかで自然体な空気をまとう、高畑充希と岡田将生。2人は、6月14日(金)より Prime Video (プライム・ビデオ) にて世界独占配信開始された「1122 いいふうふ」で、結婚7年目の相原一子(いちこ)と二也(おとや)を演じている。セックスレスで子どもなしの二人は、夫婦円満のため、「婚外恋愛許可制」を選択する。やがて、夫の公認の恋が、2人の関係に変化をもたらす。現代の「結婚」かたちを問い、いびつに見えても自分たちらしいあり方を模索する夫婦を、痛いほどのリアリティを持って描き、高い評価を得た、渡辺ペコによる原作「1122」をもとに、今泉力哉が監督し、パートナーの今泉かおりが脚本を務め映像化した本作。赤裸々で繊細なテーマを、人間らしい柔らさで、愛すべき修復の物語へと昇華させた2人の透明なまなざし。

mitsuki takahata & masaki okada

model: mitsuki takahata & masaki okada
photography: rakuto makino
styling: ai suganuma (mitsuki) & yusuke oishi (masaki)
hair & make up: ai inuki (mitsuki) & reiko kobayashi (masaki)
text: tomoko ogawa
edit: manaha hosoda

コート ¥495,000、シャツ ¥108,900、パンツ ¥209,000、シューズ ¥165,000 *すべて予定価格/すべて PRADA (プラダ)

コート ¥568,700、つけ襟 ¥29,700/ともに Maison Margiela (メゾン マルジェラ)

—ドラマを観ながら、原作をとても大事にした映像化作品だなと感じました。お2人は、渡辺ペコさんの原作があり、今泉力哉さんが監督し、今泉かおりがさんが脚本を務めた本ドラマをどのように捉えましたか?

高畑(以下、T):私は原作を読んでいて、絶対にドラマ化してほしいと思っていました。でも、当時20代だった自分が演じられるとは全く思っていなくて。なので年月を経て、一子役のオファーがきたのはすごく嬉しかったですね。物語上、性的描写は絶対に避けられないと思っていましたし、そこは原作に忠実に描いてほしかったので、今回、配信というかたちで、原作の必要なセリフやシーンの魅力はそのままに、めちゃくちゃ面白いドラマのスタイルになっていて、今泉力哉さんとかおりさんご夫妻の凄さを実感しました。

岡田(以下、O):原作に忠実でありながら、いい意味で解像度が上がっているなと個人的には感じました。ただ、登場人物のセリフだけを見ていると、どうしても少しきつく聞こえてしまう可能性があったので、声色を若干柔らかくニュートラルにすることによって、伝わり方や印象は変わるだろうなと考えました。なので、自分の中で無理のない範囲でそれをやってみようと。

T:正直、二也がどんなふうになるのかなとワクワクしていたのですが、本読みで二也がすごくチャーミングに聞こえたんです。人間が演じることで、ますます愛せるキャラクターになるんだな、すごい!と思った記憶があります。それと、苦しい場面も多かったので、楽しいシーンでは二人の関係がほっこり見えるといいなと考えながら私もやっていました。

O:本読みの段階で、今泉監督が許してくれるのであれば、このトーンでやりたいというものを提案したら、監督が気に入ってくださって。その時点で、二也という人物が誤解されないように守ろうとしている自分がいるんだとは感じましたね。

T:本当に、おとやんの思考回路も、一子ちゃんの感情もすごくわかるというか。出てくる登場人物がみんな一生懸命で、みんな少しずつ間違えていて、どちらが正義で悪でという話じゃない。人間だから、矛盾したことをやってしまったり、後悔したり、立ち直ったりする。そうやって生きている彼らにすごく共感できたので、全員愛せるキャラクターです。そのキャラクターたちの豊かさが、今回、映像でも伝わったら嬉しいですね。

—今お2人がおっしゃったように、当たり前にダメな部分もあるし、現実の壁にぶつかりながら一生懸命生きている人間くさい人たちへの愛情が原作にも流れていますし、今泉監督作品が持つ魅力だとも思います。本作でご一緒して、お2人は、今泉さんってどんな人だなと感じましたか?

O:我々のことをものすごく見てくれていて、何一つ見逃さないんですよね。これはたぶんダメだろうなと思って演じていたら、「それはダメだ」と本当に正直に言ってくれるし、注意力と観察力がすごいなと。

T:それと、床にうつ伏せになってモニターを見ているから、いつもどこに居るのかわからない(笑)。

O:今泉さんにしか出せない、独特の空気感を全体的にまとっていますよね。そうすると、チーム全体でその空気感をまとうようになってくるのがすごく面白くて。それなのに、ご本人は常に中心じゃなく、端っこにいる。その感じが、僕はとても好きでした。

T:現場では、無口でしたよね。以前、ドラマ「東京センチメンタル」でご一緒したときにもそういう印象がありましたけれど、クランクインの前に3人で食事をしたら、今泉さんがものすごく饒舌だったんです。だから、私たち、ほぼ喋ってない(笑)。

O:4~5時間くらい一緒にいたはずだけれど、あれほどマシンガントークだとは(笑)。

T:100%。今泉さんは、こんなにしゃべる方だったのかと。別人だったよね、現場とは。

O:現場だと、気づいたらスッと横にいるんですよ。

T:確かにいるかも! 本当に独特のオーラがある方ですね(笑)。