
心地のいい服とはじまる特別な1日の予感。高橋ヨーコが撮る杉咲花
ファッションは単なる衣服ではなく、新しい自分を見つける鍵だとしたら。装いが自身を語る言葉となった時、それは空気や感情をまとい、まだ見ぬ物語を紡いでいく。
繊細でありながら力強さを併せ持ち、スクリーンで唯一無二の存在感を放つ杉咲花。その透明感は、どんな役柄をも引き立てると同時に、彼女の個性をしっかりとかたちづくる。写真家の高橋ヨーコは、その本質を見逃さず、流れる時間や光の揺らめき、一瞬に宿る感情を切り取る。杉咲が高橋の視線の先にひろがる世界に踏み込んだ時、また新しい物語が生まれた(全4回)。
hana sugisaki
model: hana sugisaki
photography: yoko takahashi
styling: saki nakazawa
hair & make up: otama
text: manaha hosoda
edit: manaha hosoda & miu nakamura


英国の伝統的なアウトドアウェアからインスパイアされたというたっぷりとしたボリュームに心ときめく。ニットセーター ¥201,300/Maison Margiela (メゾン マルジェラ)


最初に袖を通したのは、Maison Margiela (メゾン マルジェラ) のピリングニットセーター。シェットランドウールとコットンの混紡素材が、まるで長年寄り添ってきたようにやさしく身体を包み込む。あえて毛羽立たせ毛玉のようにみせたピリング加工は、時の流れが持つ美しさを物語る。その着心地の良さと安心感は、自分だけが知っている、密やかな贅沢。バックスタイルに施された4本の白いステッチがさりげなくも主張し、スタイルに奥行きをもたらす。