hana sugisaki

自然の中で自分に還る。高橋ヨーコが撮る杉咲花

ファッションは単なる衣服ではなく、新しい自分を見つける鍵だとしたら。装いが自身を語る言葉となった時、それは空気や感情をまとい、まだ見ぬ物語を紡いでいく。

繊細でありながら力強さを併せ持ち、スクリーンで唯一無二の存在感を放つ杉咲花。その透明感は、どんな役柄をも引き立てると同時に、彼女の個性をしっかりとかたちづくる。写真家の高橋ヨーコは、その本質を見逃さず、流れる時間や光の揺らめき、一瞬に宿る感情を切り取る。杉咲が高橋の視線の先にひろがる世界に踏み込んだ時、また新しい物語が生まれた(全4回)。

hana sugisaki

model: hana sugisaki
photography: yoko takahashi
styling: saki nakazawa
hair & make up: otama
text: manaha hosoda
edit: manaha hosoda & miu nakamura

ジャケット ¥304,040、パンツ ¥179,960/ともに Cristaseya (クリスタセヤ)、トップス、シューズ/ともにスタイリスト私物

広大な海原を目の間にすれば胸がときめき、まっすぐ伸びる水平線に心が穏やかになる。自然は本来の自分らしさを思い出させるように、余計な感情を洗い流してくれる。だから、どこまでも自然体でいられる服を選んで。杉咲が最後に袖を通したのは、デザイナーの Cristina Casini (クリスティーナ・カシーニ) がクリエイティブ・ディレクターを務める Cristaseya (クリスタセヤ) のセットアップ。もともと日本人のパートナーと2013年にスタートし、パリ9区にアトリエを構えるブランドは、ファッションだけでなく、アートや写真、家具を横断し、タイムレスなものづくりを追及している。コレクションではなく”エディション”という言葉を使い、シーズンにとらわれることなくアイテムを展開。イタリア国内でのサステナブルな生産にこだわられており、イタリア製のリネンを用いたジャケットの美しい仕立てにはうっとりせずにはいられない。オーバーサイズながら、軽やかな着心地は、自由な空気を纏い、自分自身を解放してくれる。