伝統的なフォルムと手仕事の柔らかさ。片岡千之助が纏う、イタリアンスーツの哲学
近年は古典歌舞伎だけに留まらず、映画やドラマ、モデル業でも輝きを放つ片岡千之助。今年9月には、尊敬する祖父の代表作でもあるルネサンス音楽劇「ハムレット」の主人公を務めるなど、その表現の幅を広げている。そんな彼が「気持ちにスイッチを入れてくれる」と語るのが、サルトリアの伝統的な手仕事が特徴のイタリアンスーツだ。今回着用したのは、私物である ALFONSO SIRICA (アルフォンソ シリカ) のセミオーダースーツに加え、Brioni (ブリオーニ)、GIORGIO ARMANI (ジョルジオ アルマーニ) の3ブランド。数あるスーツブランドの中から片岡がイタリアブランドを選んだ理由とは。エレガント、そしてクラシカルに粋な心意気で袖を通して。
sennosuke kataoka
Model: Sennosuke Kataoka
Photography: Tomoaki Shimoyama
Styling: Shunsuke Okabe
Hair & Make up: Miki Marutani
Interview & Text: Daichi Kinoshita
Tailor: Azuna Saito
Edit: Manaha Hosoda & Minori Inoue
南イタリア・ナポリを拠点とするブランド ALFONSO SIRICA。伝統的なナポリ仕立ての柔らかな着心地を体現しつつ、「全ての服は型紙と裁断で決まる」という信念のもと、ナポリのサルトでは珍しいCAD (Computer Aided Design) を導入することで、クラシックでありながらブレのない正確なものづくりを徹底している。
スーツ、シャツ、シューズ /すべて本人私物
この夏に手に入れたという ALFONSO SIRICA のセミオーダースーツは、肩の立体的なフォルムが目を惹く。
「夏でも着られるシンプルなスーツが欲しくて、六本木の ESTNATION (エストネーション) で購入しました。お店で採寸して、手縫いで丁寧に仕立てていただいて。肩周りのステッチの雰囲気も含めてとても気に入っています」
身体に合わせ、部分的に仕上げてくれるセミオーダーは、半日ほどで受け取ることができるのも魅力の1つだ。オーダーの良さについて片岡は続けて話す。
「オーダーとかセミオーダーのスーツって出来上がった状態のスーツに比べて、最初から“自分のもの感”が強いじゃないですか。ガンダムでいうところのシャア専用みたいな(笑)。だから、最初から身体への馴染みやすさもありますし、それが高揚感にも繋がりますね」
20代を折り返した片岡にとって特別な一着。袖を通した片岡からは、粋な大人の柔らかさも感じられる。
「夏は『ハムレット』があったので、実はまだ着られてないんですよ。これを着て、行きたい場所か…。夜の銀座を歩きたいかな。イタリアのブランドだからイタリアって言いがちだけど、僕は銀座。カッコいい街を、カッコいいスーツで歩きたいからね」
1945年にイタリアのローマで創業した Brioni は、卓越したクラフツマンシップと精緻なテーラリングを誇る。素材の上質さに加え、軽い着心地と動きやすさも特徴だ。「25歳になって肩周りの骨格が変わってきたんですけど、それにフィットしたのがなんだか嬉しかった。本当に柔らかくて動きやすいです」(片岡)
スーツ ¥1,050,500、ニット ¥250,800/共に Brioni (ブリオーニ)
メイド トゥ メジャーコレクションは、テキスタイルや裏地、ボタンの種類など、細部までカスタマイズが可能。自分だけのこだわりの一着を作ることができる。「この生地の厚みもあると思うんですけど、身体を守ってくれている感じが強い。エレガントな雰囲気も好きですね」(片岡)
スーツ ¥621,500〜、シャツ ¥129,800~、ネクタイ ¥58,300〜/すべて GIORGIO ARMANI (ジョルジオ アルマーニ)











