Paul Smith
with Tori Matsuzaka & Shim Eun-Kyung
The Fashion Post
The Fashion Post

ポール・スミスと描く、創造者たちの肖像。松坂桃李とシム・ウンギョン vol.2

クリエイティブな感性と、個性が息づく服。イギリスを代表するデザイナー Sir Paul Smith (サー・ポール・スミス) が生み出すデザインには、そんなポジティブなエネルギーが満ちている。幼少期からカメラを手にし、写真と共に歩んできた Sir Paul Smith は、2025年秋冬コレクションで「レンズの向こう側」をテーマに掲げ、20世紀を代表する写真家たちの個性やスタイルに焦点を当てた。トラディショナルな装いに、写真を愛する彼ならではのユーモアと創造性を融合させ、テーラリングをモダンに再解釈。いつの時代も、インスピレーションに満ちた世界を発信し続けている。

そんな Paul Smith (ポール・スミス) の精神に共鳴したのは、俳優の松坂桃李とシム・ウンギョン。『新聞記者』(2019) 以来、再びカメラの前で出会う二人。表現者として互いをリスペクトし、共に作品を生み出す歓びを知る彼らが導くのは、創造する者が見つめる、レンズの向こう側。さまざまな表現が混在する現代に、二人が織りなす化学反応と Paul Smith の精神が静かに呼応する。(第2回/全4回)

Paul Smith
with Tori Matsuzaka & Shim Eun-Kyung

Photography: Shun Komiyama
Stylist (Shim Eun-kyung): Yoshiyuki Shimazu
Stylist (Tori Matsuzaka): Akira Maruyama
Hair (Shim Eun-kyung): Shuco
Make up (Shim Eun-kyung): Tomohiro Muramatsu
Hair & Make up (Tori Matsuzaka): AZUMA
Edit & Text: Yuki Namba

上質なラムレザーを贅沢に用いたジャケットを主役に、モノトーンルックに身を包んだ松坂。ラムレザーならではの艶と柔らかな質感が身体にしなやかに寄り添い、マニッシュなスタイリングに色気を添えた、大人の佇まいを演出する。

松坂:レザージャケット ¥132,000、シャツ ¥24,200、中に着たシャツ ¥26,400、タイバー ¥9,900、パンツ ¥49,500、シューズ ¥77,000/すべて Paul Smith (ポール・スミス)、その他/スタイリスト私物

一方のシムが纏うのは、ボリュームのあるボックスシルエットが印象的なレザージャケット。Paul Smith らしい遊び心の効いた総柄シャツとタイを合わせ、ハンサムな中にさりげないウィットを宿した女性らしさを忍ばせる。

シム:レザージャケット¥205,700、シャツ¥40,700、タイ¥17,600、パンツ¥38,500、シューズ¥94,600/すべて Paul Smith (ポール・スミス)、その他/スタイリスト私物

interview
with Shim Eun-kyung

– 「レンズの向こう側」をテーマにした最新コレクションに袖を通してみていかがでしたか?

Paul Smith は以前から本当に大好きなブランドです。特に幼い頃に見た Paul Smith の2013年春夏コレクションをきっかけに、スーツの魅力やブランド特有の色使いに強く惹かれるようになりました。そんな憧れのブランドと一緒に撮影のお仕事ができて、とても嬉しかったです。撮影で着用した衣装は、日常でもスーツを気軽に楽しめるうえに、それぞれのアイテムの個性がしっかりと感じられる、とても素敵なものでした。

 

– シムさんご自身も写真が趣味とのことですが、普段どんな瞬間にレンズを向けたくなりますか?

私は光を生かした写真やモノクロ写真がとても好きです。特に日本の写真家である川内倫子さんと森山大道さんの作品には、いつも強く魅了されてきました。お二人の世界観は大きく異なりますが、「日常」を切り取る際の卓越した感性と独自の視点をお持ちだと感じます。その影響もあってか、私自身が写真を撮るときも、自然とこのお二人の作品を思い浮かべながらシャッターを切っている気がします。誰にでもあるごく普通の「日常」というものが、カメラの中ではさまざまな感情をまとい、新しい命のように動き出す。その瞬間こそが、写真を撮ることの魅力であり、私が捉えたいと思う一瞬です。

 

– 個性やスタイルはどのような部分に宿ると思いますか?

それぞれが持っている「心の奥の情景」から生まれてくるものなんじゃないかと思います。どんな芸術でも、アーティストが持つ本来の色や個性というものは、どんな形であれ自然と表に現れるものだと思います。

 

– 今の東京はどのように見えていますか?

東京は本当にさまざまな文化が集まる場所だと感じています。初めて東京を訪れたときのことを今でもよく覚えています。映画やアニメでしか見たことのなかった東京の姿を実際に目にしたとき、「東京には本当に何でもあるんだな」と思いました。そして、無数のネオンの光の中にある大都会ならではの孤独も感じました。特に、東京の夜景を眺めながらいろいろな思いにふけった時間が印象に残っています。私にとって東京は今も相変わらずなぜかいつも“夜”を思い浮かべるのですが、きっとそんな経験があるからだと思います。

東京という街は、多くの人にインスピレーションを与える場所だと思います。今、日本と韓国を行き来しながら東京でも生活している私は、これからこの街がどんなふうに変わっていくのか、そしてどんな形で自分の記憶に刻まれていくのかを、いつも楽しみにしながら見つめています。

 

▶︎Paul Smith 最新コレクションはコチラからチェック。