CALVIN KLEIN 205W39NYC (カルバン・クライン 205W39NYC) 2018年春夏コレクション、ラフ・シモンズが見つめるアメリカン・ナイトメアとは?
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CALVIN KLEIN 205W39NYC (カルバン・クライン 205W39NYC) 2018年春夏コレクション、ラフ・シモンズが見つめるアメリカン・ナイトメアとは?
Calvin Klein NYC Spring Summer 2018 Collection
Raf Simons (ラフ・シモンズ) による CALVIN KLEIN 205W39NYC 2018年春夏コレクションが7日、ニューヨークファッションウィークにて発表された。
“disillusion” という言葉をご存知だろうか?illusion (幻想) の対義語であり、「幻滅」や「本当のことを知る」といった意味を持つ。果たして、「本当のことを知る」ことは「幻滅」とイコールなのだろうか?その答えは、もしかしたら Raf Simons (ラフ・シモンズ) による CALVIN KLEIN 205W39NYC (カルバン・クライン 205W39NYC) のセカンドコレクションにあるかもしれない。
Raf Simons がアメリカに拠点を移してから早1年。7日に発表された CALVIN KLEIN 205W39NYC 2018年春夏コレクションで稀代の天才が描き出したのは、果てなきアメリカン・ドリームとその裏に潜むナイトメア (悪夢)。その中でも一際輝きを放つハリウッドの映画界、そしてその桃源郷から生み出された数々のホラー映画からインスピレーションを得たというコレクションは極めて危険ながらも、抗いがたいほど蠱惑的だ。
前回のデビューコレクションに引き続き、Raf Simons の長きにわたるコラボレーターであるアメリカ人現代アーティスト Sterling Ruby (スターリング・ルビー) が本コレクションのために制作したというインスタレーションも発表された。映画史に名を残す『シャイニング』や『キャリー』といった優れたスリラー作品を想起させるようなメタファーが随所に散りばめられたインスタレーションは、コレクションのテーマを如実に浮き上がらせている。
お馴染みのウエスタンシャツが新たに光沢感のある装いでアップデートされたファーストルックから幕を開け、ランウェイ上には好奇心を掻き立てるようなキャラクタリスティックなルックが続々と登場。ダメージの施されたイブニングドレスは、やはり悲劇のヒロインの必須アイテムか?はたまた、ランバージャックチェックのテイラースーツは、タフなヒーローの新たなユニフォーム?20世紀半ばのアメリカンオートクチュールのシルエットを採用しつつも、ラバーやナイロン、手塗りレザーなど一癖も二癖もあるマテリアルで思う存分遊び尽くしたコレクションは、まさに刺激的の一言に尽きる。
また、同コレクションでは Andy Warhol (アンディ・ウォーホール) 美術財団とタッグを組み、現実の恐怖やトラウマを表現した「死と惨禍シリーズ」や60年代アメリカのカウンターカルチャーを如実に描き出した映画『イージー・ライダー』で知られる俳優 Dennis Hopper (デニス・ホッパー) のポートレイトもフィーチャー。Raf Simons は、アメリカの現代アートを語る上で欠かすことの出来ない偉大なアーティストを通して、アメリカのカルチャーへこの上ない賛辞を送っている。
Raf Simons がまさに映画を制作するかのごとく「編集」したコレクションは、熱狂的なファンを持つカルト作へのオマージュを織り交ぜながらも、全く新たな物語を生み出すことに成功。「これはアメリカのホラーとアメリカの美を示したものである」と Raf Simons は同コレクションについて語っている。「ファッションはホラーを隠し、美だけを採用しがちであるが、これらは共に生活の一部である。当コレクションはそれを、すなわちアメリカの生活を讃えるものなのだ」きっと Raf Simons のとらえるアメリカン・ドリームとは、ナイトメアと決して対峙するものではなく、どちらも共生しているものなのだ。それは、まるで生と死が常に結び合っているかのように。
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HP: www.calvinklein.com