"The Death of Stalin" Is Now Showing

ロシア史上最もドス黒い実話に基づくブラック・コメディ『スターリンの葬送狂騒曲』が公開

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ロシア史上最もドス黒い実話に基づくブラック・コメディ『スターリンの葬送狂騒曲』が公開

"The Death of Stalin" Is Now Showing

by Daisuke Yokota

1953年の独裁者スターリンの死後、権力に取り憑かれた後継者たちの卑劣で滑稽な争いの様子をブラック・ユーモアたっぷりに描いた問題作『スターリンの葬送狂騒曲』が公開中。

『スターリンの葬送狂騒曲』

1953年の独裁者スターリンの死後、権力に取り憑かれた後継者たちの卑劣で滑稽な争いの様子をブラック・ユーモアたっぷりに描いた問題作『スターリンの葬送狂騒曲』が公開中だ。

原作は、フランスで出版されるや「驚くべき物語が、さらに驚くことに、ほとんど事実」であるために、物議と人気がヒートアップしたベストセラー・グラフィックノベル『La mort de Staline』。ロシア (旧ソビエト連邦) では、「社会の隆起を引き起こしてロシアを不安定化させる西側の陰謀」の一部となる可能性があるとして公開前に政府から上映禁止令が出されてしまったが、皮肉なことにイギリス、フランス、スペイン、ギリシャ、デンマーク、スウェーデン、ウクライナにエストニアやクロアチアなど、ヨーロッパほぼ全土、さらにはアメリカにオーストラリアまでスマッシュヒットを記録。第42回トロント国際映画祭に出品され、プラットフォーム部門でプレミア上映された。

©︎2017 MITICO – MAIN JOURNEY – GAUMONT – FRANCE 3 CINEMA – AFPI – PANACHE -PRODUCTIONS – LA CIE CINEMATOGRAPHIQUE – DEATH OF STALIN THE FILM LTD

©︎2017 MITICO – MAIN JOURNEY – GAUMONT – FRANCE 3 CINEMA – AFPI – PANACHE -PRODUCTIONS – LA CIE CINEMATOGRAPHIQUE – DEATH OF STALIN THE FILM LTD

監督は、スコットランド生まれの Armando Iannucci (アーマンド・イアヌッチ)。イギリスの無能な大臣の失言から始まる大混乱を追った『In the Loop』でアカデミー賞®脚色賞にノミネートされ、アメリカの女性副大統領の悪戦苦闘を描いたTVシリーズ「Veep/ヴィープ」でエミー賞を受賞するなど、“政治と黒い笑いのマリアージュ” に恐るべきセンスを発揮してきた逸材だ。スターリンの腹心だったマレンコフ、中央委員会第一書記のフルシチョフ、秘密警察警備隊長のベリヤなど人物名そのままに、アクの強いキャラクターたちを演じるのは英国、米国から集まったベテラン個性派俳優陣たち。フルシチョフにはタランティーノやコーエン兄弟、ジャームッシュといったクセの強い監督作品に数多く出演する Steve Buscemi (スティーヴ・ブシェミ)、ベリヤにはシェイクスピアの舞台俳優として知られる Simon Russell Beale (サイモン・ラッセル・ビール)、マレンコフには『ザ・コンサルタント』(2016) の Jeffrey Tambor (ジェフリー・タンバー) と名役者たちが良心をかなぐり捨てた圧巻の熱演を披露した。さらに、スターリンの娘のスヴェトラーナに『バードマン あるいは (無知がもたらす予期せぬ奇跡)』(2014) の Andrea Riseborough (アンドレア・ライズブロー)、スターリンを憎むピアニストのマリヤには『007/慰めの報酬』(2008) の Olga Kurylenko (オルガ・キュリレンコ) が扮し、麗しき女性キャストたちもまた毒も棘もある花を添えている。

©︎2017 MITICO – MAIN JOURNEY – GAUMONT – FRANCE 3 CINEMA – AFPI – PANACHE -PRODUCTIONS – LA CIE CINEMATOGRAPHIQUE – DEATH OF STALIN THE FILM LTD

©︎2017 MITICO – MAIN JOURNEY – GAUMONT – FRANCE 3 CINEMA – AFPI – PANACHE -PRODUCTIONS – LA CIE CINEMATOGRAPHIQUE – DEATH OF STALIN THE FILM LTD

制作するにあたり Armando Iannucci は本作を “悲劇的なコメディ” にしたかったと語っている。その狙い通り、本作はブラック・ユーモアをふんだんに搭載し、観る者をずるずると引き込みながらも「はたして、これは歴史映画で片付けられるのだろうか。」と疑問を植え付ける。壮大なのに姑息、大真面目なのに可笑しくて、卑劣で残忍なのにひき込まれる、史上最もドス黒い実話に基づくブラック・コメディ、ぜひチェックしてみてほしい。

<あらすじ>
1953年、ソ連の最高権力者スターリンが死亡。“粛清” という名の大量虐殺による恐怖で全てを支配してきた独裁者だ。 今こそ彼の後釜につくチャンスだと色めき立つ側近たちの、互いを出し抜く卑劣な駆け引きが始まり、権力バトル開始のゴングが鳴った!表向きは厳粛な国葬の準備を進めながら、スターリンの腹心だったマレンコフ、中央委員会第一書記のフルシチョフ、 秘密警察を牛耳るベリヤが3大トップとなり、各大臣、ソビエト軍の最高司令官ジューコフまでもが参戦し、嘘と裏切り、仕掛け合う罠。勢力地図は1秒ごとに目まぐるしく塗り替えられ、国を担うはずの男たちの “なんでもあり&やったもん勝ち” のゲスな本性が暴かれていく—。

作品情報
タイトル スターリンの葬送狂騒曲
原題 The Death of Stalin
監督 Armando Iannucci (アーマンド・イアヌッチ)
出演 Steve Buscemi (スティーブ・ブシェーミ)、Simon Russell Beale (サイモン・ラッセル・ビール)、Jeffrey Tambor (ジェフリー・タンバー)、Olga Kurylenko (オルガ・キュリレンコ)、Michael Palin (マイケル・ペイリン)
配給 ギャガ
制作年 2017年
制作国 イギリス
上映時間 107分
HP gaga.ne.jp
©︎2017 MITICO – MAIN JOURNEY – GAUMONT – FRANCE 3 CINEMA – AFPI – PANACHE -PRODUCTIONS – LA CIE CINEMATOGRAPHIQUE – DEATH OF STALIN THE FILM LTD
8月3日(金)、TOHOシネマズ シャンテほか、全国順次ロードショー