海と空、ボーダーレスの旅する女性をイメージする Hermès (エルメス) 2019年春夏コレクション
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海と空、ボーダーレスの旅する女性をイメージする Hermès (エルメス) 2019年春夏コレクション
Hermès Spring Summer 2019 Collection
by Daisuke Yokota
2019年春夏パリ コレクションをファッションディレクター萩原照美がレポート。今回は Hermès (エルメス) 2019年春夏コレクション。
Hermès (エルメス) は、2年間リノベーションのために閉めていたロンシャン競馬場の新しい施設でコレクションを発表した。
ステージは馬が滑走するフィールドに砂を敷き、まさに駈歩で走り抜ける横長のスペースを観客席から見る。目の前には鏡が置かれ反射する光と雲が幻想的に映っている。アーティスティック・ディレクターの Nadège Vanhée-Cybulski(ナデージュ・ヴァンヘ=シビュルスキー) は馬に乗った女性が地平線から海へ渡って行くようなイメージの舞台を用意した。
乗馬と航海の世界から着想を受け、乗馬を髣髴させるディテールやフィッシャーマンのワークウェアから発想を広げたコレクション。ふんだんに使われたパンチングスエードのフレアースカートはゆったり広がり、布地のように軽やかに揺れる。リボン状のナッパで作る格子柄のメッシュアイテムはつなげることでボディのシルエットを打ち出す。まさに職人技だ。インナーには今季のキーカラー、ネオンオレンジのボディスーツを合わせてスポーツテイストにまとめている。
馬具職人などが身につけているエプロンがモチーフのレザータブリエドレスは、首にかけるマリンロープがアクセントになっている。バケツバッグを合わせて軽快に着たいアイテムだ。アウターにはセーラーカラー、フードなどのディテールも多く登場し、英国人アーティストに依頼した舵モチーフのボタンがインパクトを与える。
地平線から水平線へと色は白、ベージュ、ブルーと移る。
コットンとカシミアのダブルフェイス素材のコートは、カジュアルなアイテムにも隠れたラグジュアリーが潜む。海へ、空へと自由に飛び回る女性の心地よいコレクションが並んだ。