画家・松川朋奈と写真家・山谷佑介の二人展がユカ・ツルノ・ギャラリー にて開催中
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画家・松川朋奈と写真家・山谷佑介の二人展がユカ・ツルノ・ギャラリー にて開催中
Tomona Matsukawa & yusuke yamatani's exhibition
"OBJECTS IN MIRROR ARE CLOSER THAN THEY APPEAR"
at yuka tsuruno gallery
2016年の「at home」展に続き、2回目となる画家の松川朋奈と写真家の山谷佑介による二人展「OBJECTS IN MIRROR ARE CLOSER THAN THEY APPEAR」がユカ・ツルノ・ギャラリーにて開催中だ。会期は8月8日まで。
アメリカやカナダといった国で車のサイドミラーに貼られた安全警告で、“鏡にはまだ遠くに映って見えるものが実際には近くにある”という注意を促す「OBJECTS IN MIRROR ARE CLOSER THAN THEY APPEAR」を題した本展では、二人の作家による新作シリーズを通して、日常的には遠くにあると思っていたものが本当はすぐそばにあるという経験を描き出す。
同世代の女性とのインタビューを重ねることで絵画の主題やモチーフを選んできた松川朋奈。自身が年齢を重ねるにつれて同世代の「若い女性」であった彼女らが「妻」や「母親」といった今までとは異なる立場や社会的責任を持ち始めたことへの気づきから、近年は親という重圧や社会的な偏見に押し潰されずに自身を愛する営みを思索し、 母親と子どもの主題を多く描いたシリーズ「Love Yourself」を発表してきた。
本展では、George Sand (ジョルジュ・サンド) の小説『イシドラ』の主人公が一人の女性として社会が作り出す地位や女性の美に対する眼差しから逃れ、鏡に映った老いていく姿を受け入れ始める表現から着想を得た新作がお目見え。時間の経過を伺わせる身体や、自身へと手向けられるかのように鏡面に映し出された花を描いた作品が展示される。
一方、山谷佑介はコントラストが抑えられ全体的にグレーがかった風景写真で構成された新作シリーズを発表。 文芸誌『新潮』で連載されている磯部涼の「令和元年のテロリズム」の写真を担当している山谷は、令和になってから起きた事件の現場や加害者が育った街を取材することで、加害者が見ていた風景と自身が日常的に見る風景の違いについて考えるようになったという。
本展では、事件を追ったルポタージュとして撮影された風景と自身が日常的に見ている風景を撮影したものを同列に並べることで、社会から見落とされてきた問題とそこに介在する視線によって生み出される自己と他者の問題を浮き彫りにする。
「家」に象徴される私的空間や日常生活に残された痕跡、人間の営みの不可視な側面に焦点を当てた 「at home」から4年、日常というテーマをさらに掘り下げ、社会に向きあう二人の作家が織りなす化学反応をお見逃しなく。