奇才エドガー・ライト最新作 『ラストナイト・イン・ソーホー』 が公開
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奇才エドガー・ライト最新作 『ラストナイト・イン・ソーホー』 が公開
‘last night in soho’
to launch in japan from december 10
『ベイビー・ドライバー』(2017)で知られる英国出身の映画監督 Edgar Wright(エドガー・ライト)の最新作 『ラストナイト・イン・ソーホー』 が12月10日(金)より全国で公開される。
本作はロンドンのソーホー地区を舞台に、「スウィンギン・ロンドン」 で知られるカルチャーの震源地であった60年代と現代が交錯するタイムリープ・サイコ・ホラー。田舎町から60年代への憧憬を募らせて上京してくるエロイーズ役を 『ジョジョ・ラビット』(2020)『オールド』(2021)の Thomasin McKenzie(トーマシン・マッケンジー)、60年代のロンドンで華やかな生活を送るサンディ役を Netflix の大ヒットシリーズ 「クイーンズ・ギャンビット」 で脚光を浴びた Anya Taylor-Joy(アニヤ・テイラー=ジョイ)がそれぞれ演じる。今をときめく二人のヒロインたちに加え、60年代に一世を風靡したTVドラマ 「おしゃれ㊙︎探偵」(1961-69)の主人公エマ・ピール役や 『女王陛下の007』(1969)のボンドガールで知られる Diana Rigg(ダイアナ・リグ)や、Terence Stamp(テレンス・スタンプ)、Rita Tushingham(リタ・トゥシンハム)といった60年代英国映画界を牽引した大物俳優たちが脇を固める。
前作の 『ベイビー・ドライバー』 にもみられたように、音楽と映像の見事なまでのマッチングはエドガー節全開と言えるだろう。幼いことから両親のレコードを聴き漁った彼ならではセレクトが光る劇伴では、イギリスで国民的な人気を獲得してきた純然たる 60’s UK ポップサウンドが次から次へとテンポよく切り替わってゆく。また、当時の女性シンガーたちの楽曲も多く使用され、歌詞の中に秘められたさまざまな心情も効果的に物語に奥行きを与える。今回は彼のキャリアの中でも初となる女性の物語ということで、ポップで明るい雰囲気だけでなくその裏に潜む翳りや繊細さもうまく落とし込み、エンターテインメント性の高いホラー作品として昇華した。
音楽だけでなく、ロケーションにもそのこだわりは詰め込まれている。当時の景色が残るストリートやパブなどを活用しながらも、当時を語る上で欠かすことのできない 「カフェ・ド・パリ」 など撮影の叶わなかった象徴的な建造物は緻密なリサーチを元に再現されたセットで撮影された。実際に当時を知る Diana Rigg はこのセットを目にした時に60年代のカフェ・ド・パリでの記憶が蘇ったという。また、劇中でサンディ着こなす当時のファッションにも注目してほしい。Mary Quant(マリー・クワント)がミニスカートや PVC 素材などを用いたデザインで、世の女性たちの開放をファッションによって促したのもちょうどこの時代だ。60年の時を経て、過去と現代をつなぐ女性たちのシスターフッドが物語の至るところに散りばめられた本作、監督の意向によりネタバレ厳禁となっているので、気になる物語の結末はぜひ劇場で目撃して欲しい。
<あらすじ>
ファッションデザイナーを夢見るエロイーズは、ロンドンのデザイン学校に入学する。しかし同級生たちとの寮生活に馴染めず、ソーホー地区の片隅で一人暮らしを始めることに。新居のアパートで眠りに着くと、夢の中で60年代のソーホーにいた。そこで歌手を夢見る魅惑的なサンディに出会うと、身体も感覚も彼女とシンクロしていく。夢の中の体験が現実にも影響を与え、充実した毎日を送れるようになったエロイーズは、タイムリープを繰り返していく。だがある日、夢の中でサンディが殺されるところを目撃してしまう。その日を境に現実で謎の亡霊が現れ始め、徐々に精神を蝕まれるエロイーズ。そんな中、サンディを殺した殺人鬼が現代にも生きている可能性に気づき、エロイーズはたった一人で事件の真相を追いかけるのだが……。