メキシコの新たな才能、マイケル・フランコによるカンヌ国際映画祭グランプリ作品『父の秘密』が公開

メキシコ映画界が生んだ弱冠31才の新鋭監督 Michel Franco (マイケル・フランコ) の第2作『父の秘密』が11月2日、日本公開された。第65回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門グランプリに輝いた、日常を静かに覆う「暴力」を透徹した眼差しで描いた作品である。

交通事故で最愛の妻を失ったロベルトと娘のアレハンドラは、その悲痛な記憶から逃げ去るようにメキシコシティにうつり住む。喪失感から何もうまくいかない父。一方アレハンドラも、ある出来事がきっかけとなり、学校でいじめの標的になってしまう。父に相談することもできず、ある日、彼女はこつ然と姿を消したー

父娘の感情は、妻であり母であったルシアの圧倒的な不在によって、遠く隔たれてしまった。ルシアはスペイン語で「光」を意味し、この映画の原題は『After Lucia』つまり「ルシアの亡き後」と「光の不在の世界」というふたつの意味をふくんでいる。

アレハンドラを演じたテッサ・イアは『あの日、欲望の大地で』(09) でデビューし、本作が長編映画2作目の新人女優。そして、彼女を取り巻くクラスメートは、ほとんどが演技経験のない実際のイアの友人てちによって 演じられた。

監督、マイケル・フランコは、安易な感傷や感情移入を廃し、残酷な現実を丸ごと提示する。このあまりに現代的な悲劇といかに向き合えるか、と問いかけるのである。

<映画情報>
『父の秘密』
公開日: 2013年11月2日 (土)
監督・脚本: マイケル・フランコ
主演: テッサ・イア (『あの日、欲望の大地で』)、ヘルナン・メンドーサ
配給: 彩プロ
宣伝: テレザ
2012年 / メキシコ / スペイン語 / 103分 / ビスタ / デジタル作品 / [R15+] / 英題: After Lucia / 後援: 駐日メキシコ合衆国大使館
Después de Lucía © 2012
URL: http://lucia.ayapro.ne.jp