mame kurogouchi
2023 pre fall collection

アルルの記憶を紡いで。マメ クロゴウチが2023年プレフォールコレクションを発表

©︎Mame Kurogouchi

mame kurogouchi 2023 pre fall collection
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アルルの記憶を紡いで。マメ クロゴウチが2023年プレフォールコレクションを発表

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2023 pre fall collection

Mame Kurogouchi (マメ クロゴウチ) が、2023年プレフォールコレクションを発表。南仏プロヴァンス地方、ローヌ川のほとりに佇む古都アルルを旅した記憶からインスピレーションを受け、モノトーンを中心に繰り広げられるコレクションが展開された。

アルルを象徴するロマネスク建築や古代ローマ遺跡に共通する、砂質石灰岩による白い建造物、そのすぐ脇に剥き出しになった石灰岩地層があらわにする太古の記憶、そして多くの芸術家を虜にした豊かな自然。デザイナーの黒河内真衣子がかつて訪れた、美しい都市の景色を彼女の記憶の中からデザインへと反映させている。まばゆい輝きに溢れた初夏のアルルでの日々は、生成りから灰白色、乳白色から純白へと移りゆく石灰岩にインスパイアされながら、これから始まる無数の新たな旅路を示唆する、ブランクのキャンバスのような可能性に満ちたワードローブへと生まれ変わった。

プロヴァンスの伝統的刺繍技法であるブティ刺繍を想起させる、草花のキルティング刺繍が全体に施されたコートやジャケット、ビスチェは、シルクの表地にシルクキュプラのライニング、シルクの中綿といった、贅沢な素材使いにより生み出された。アルルで目にした生き生きとした草花の記憶が、細やかで色彩豊かな刺繍としてあしらわれることで、まるで白昼夢を思わせるおぼろげなニュアンスに、凛とした静けさと力強さがプラス。シルク素材のドレスやオープンカラーのシャツは、腕を通すと命を与えられたかのようにトーンオントーンの刺繍が浮かび上がり、また別の顔を覗かせる。

今シーズン、日常からすくい取られたテクスチャーへのユニークな目線は、さらにミクロな単位まで落とし込まれた。アルルの街を舞う石灰石のパウダーが肌や洋服に付着することで、偶然に作り出される抽象的な景色があらゆるピースの質感に影響を及ぼしている。ニドム加工による滑らかな生地は、緻密なパターン設計によってメンズシャツのようなオーバーサイズのシャツとなり、ノンシャランな「アティチュードのデザイン」という Mame Kurogouchi が考えベーシックを表現。放射線状に入ったタックがウェスト周りに象徴的な陰影を作り出すトラウザーズは、近江晒(おうみさらし)という加工が施されたコットン素材が採用された。近江晒とは、滋賀県愛荘町にて培われた伝統的な技法である。木材などを燃やした灰を水で溶かした灰汁をかけながら半月ほど天日干しし、釜に入れて灰汁と焚き込み、再び日光に晒す工程を数回繰り返した後、最後に木臼でついて水で洗いげ、また数十日日光に晒して完成させるという加工法だ。麻の色調とタッチを再現したトリアセテートのセットアップなどと共に、ドライな質感で夏の終わりから秋に至るまで、その快適さを実感できるだろう。

ワイドパンツもまた、南仏のリラクシングなムードを体現。繊細なカットやモチーフに覆われた本コレクションにおいて、女性らしい力強さを有するシルエットを形作る。ブランドを象徴する優美なカッティングを備えたエレガントなヒールには、新たにスウェード素材が登場し、ランウェイを彩ったエッグヒールのローヒールパンプスも新たな定番ピースとしてラインナップされた。