Rebekka Bay

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interview with rebekka bay

マリメッコが、ジャズ喫茶「いーぐる」で期間限定イベントを開催。クリエイティブディレクターのレベッカ・ベイへインタビュー

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フィンランドのデザインハウス Marimekko (マリメッコ) が、ヨーロッパ以外では初となる「Bar Unikko Tokyo (バー ウニッコ トーキョー) 」を開催。東京を代表するジャズ喫茶「いーぐる」を舞台に、1週間限定でオープンした。今回のBar Unikko Tokyoは、Marimekko、スペインのインテリア誌・Apartamento (アパルタメント) 、ジャズ喫茶「いーぐるの」トリプルコラボレーションによる特別な空間が広がった。

開催を記念し来日した、Marimekko のクリエイティブ・ディレクターを務める Rebekka Bay (レベッカ・ベイ) に、今回のカルチャーイベントについて話を聞いた。

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マリメッコが、ジャズ喫茶「いーぐる」で期間限定イベントを開催。クリエイティブディレクターのレベッカ・ベイへインタビュー

Rebekka Bay

– 「Bar Unikko (バー・ウニッコ) 」について教えてください。

「Bar Unikko」は、私たちが「その土地に根付いた場所、ローカルな場所と深く関わりたい」という思いから始まりました。実は昨年のミラノデザインウィーク期間中に初めて紹介したコンセプトで、当初はミラノ限定の展開としていて、継続する予定はありませんでした。しかし、このアイデアには想像以上の反響があり、実際にミラノでは1万人以上の来場者が訪れました。その後、世界各地から「Bar Unikkoを体験したい」「自分の国でも開催してほしい」といった声が寄せられ、それを受けて、「Bar Unikko」を継続することを決めたのです。ただし、ミラノでのコンセプトをそのまま再現するのではなく、開催地ごとにその土地ならではのスタイルで展開していくことにしました。そして今回、日本での開催にあたっては、「Bar Unikko Tokyo」を日本独自の文化である“ジャズ喫茶”と組み合わせることにしました。

– イタリアで最初に開催された際は、ミラノのローカルなバー「Bar Stoppani (バー・ストッパーニ) 」を会場として選んでいましたが、なぜ今回日本ではジャズ喫茶「いーぐる」を選んだのでしょうか?

コラボレーション先を探す中で、日本らしい場所で取り組みたいと考え、日本独自の文化である「ジャズ喫茶」を開催の場として注目しました。私も元々ジャズに興味があり、というのも、ジャズ好きな父のもとで育ち、その影響を自然と受け継いだんだと思います。そこでジャズ喫茶「いーぐる」に出会い、その落ち着いた雰囲気と個性に強く惹かれ、このお店の持つ雰囲気が私たち Marimekko のブランドイメージととてもよく合っていると感じました。今回のプロジェクトで私たちが目指していたのはテキスタイルやパターンの魅力を存分に活かせる “学びの場” のような空間をつくることです。そしてもうひとつ、素晴らしいジャズのコレクションを持つ人と一緒に取り組みたいという想いもありました。

今回のコラボレーションは、ある意味「空間をやさしく乗っ取る」ようなイメージ。私たちは、Marimekko のプリントファブリックをアートのキャンバスのように捉え、その魅力を「いーぐる」の空間に自然に溶け込ませることを目指しました。できるだけ既存の空間を壊さずに、でも細部まで丁寧にデザインを施し、Marimekko らしさを繊細に表現しています。

また Marimekko の創業者のひとりである Armi Ratia (アルミ・ラティア) は、「マリメッコは何にでもなれた。モダンジャズでも、アイスクリーム屋でも、お花屋さんでも」という印象的な名言を残しています。つまり、Marimekko の根底には、「もちろんジャズバーにだってなれる」という柔軟で自由な精神がしっかりと息づいていると私は思います。

– 今後、日本やグローバルでのブランドイベントや限定商品などの予定はありますか?

今年は「Field of flowers(フィールド・オブ・フラワーズ)」という展示を初めて開催し、このために特別にデザインされた 5名のデザイナーによる、新作フローラルプリントを発表しました。大阪からスタートし、東京を経て再び大阪で開催することになり、日本の皆さんに大変好評でした。

実は現在も来年の日本での新たな展開を計画しており、日本チームと密に連携しながら進めています。海外で展開しているコンセプトが日本市場に合うのか、それとも日本独自の新しい企画を作るべきか、議論を重ねています。今後も「Celebrating flowers」というテーマは大切にしていく予定です。

– 最後に、東京で注目しているカルチャーは何ですか?

私は日本の文化に強い関心を持っており、長い間日本に深い愛着を感じてきました。最近特に感じているのは、日本の独自の文化が少しずつ海外へと広がり始めていることです。たとえば、「リスニングバー」というスタイルのバー。日本発のユニークな文化ですが、今ではヨーロッパや北米などでも見かけるようになりました。中でも私が特にワクワクしているのは、日本で今も進化を続けているストリートカルチャーの動きと、その影響が世界中に広がっていることです。これからの展開がとても楽しみです。