【ファッション写真連載】vol.03 森健人 × FACETASM
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【ファッション写真連載】vol.03 森健人 × FACETASM
FACETASM x Kento Mori
by Miwa Goroku
森健人 × FACETASM
今、東京コレクションのハイライトを飾っているのは、少し前まで新進気鋭と呼ばれていた30代のデザイナーだ。2007年春にデビューした FACETASM (ファセッタズム) の落合宏理もそのひとり。FACETASMは近年、吉井雄一がオーガナイズする「VERSUS TOKYO (バーサス トーキョー)」の中核ブランドとしてランウェイデビュー、以降ショー形式にて発表を続けており、今年1月にはパリメンズのファッションウィーク中に催された「ショールームトーキョー」にも参加するなど、国内外で注目度を高めている。テキスタイル畑出身のこだわりを感じる独自のグラフィックや刺繍、インクジェットプリントなど、オリジナリティのあるテキスタイル表現で群を抜く存在だ。
国内外のフォトグラファーにフォーカスを当てるTFPの新企画「FASHION PHOTOGRAPHY」。第一弾は、東京発のファッションブランドと蜜月関係にあるフォトグラファーたちが、自ら厳選したフォトストーリーを連載形式で紹介。彼らの目線から、2015-16秋冬コレクションの舞台裏に迫る。
森健人 × FACETASM
今、東京コレクションのハイライトを飾っているのは、少し前まで新進気鋭と呼ばれていた30代のデザイナーだ。2007年春にデビューした FACETASM (ファセッタズム) の落合宏理もそのひとり。FACETASMは近年、吉井雄一がオーガナイズする「VERSUS TOKYO (バーサス トーキョー)」の中核ブランドとしてランウェイデビュー、以降ショー形式にて発表を続けており、今年1月にはパリメンズのファッションウィーク中に催された「ショールームトーキョー」にも参加するなど、国内外で注目度を高めている。テキスタイル畑出身のこだわりを感じる独自のグラフィックや刺繍、インクジェットプリントなど、オリジナリティのあるテキスタイル表現で群を抜く存在だ。
今秋冬に向けて、FACETASMが新たに掲げるテーマは「LOVE」。ショーでは並行する2本のランウェイが用意され、同じ素材のウエアをまとった男女のモデルが対になって登場する。フェミニンとマニッシュの要素が、フォルムやディテール、カラーリングを介してクロスオーバーを重ね、ひいてはいつもよりクラシックな印象が冴えるコレクションに仕上がっている。とはいえ距離感や角度を変えてウエアに近づくと、そこには不規則なパッチワークやレイヤードがふんだんに施されているあたりはFACETASMならでは。落合が服づくりに注ぐ愛情が、ストレートに伝わってくるハッピーなラインアップだ。
今年3月に、FACETASMのショーの舞台裏を収めたドキュメント写真集 (※ 雑誌『STREET』の30周年企画の一環として制作) が出たのはまだ記憶に新しいだろう。この撮影を手掛けているのが、落合とほぼ同世代のフォトグラファー、森健人だ。「純粋で、美しいものへの愛情に溢れる落合さんの人柄とクリエイションに惹かれ、すぐにその世界観の虜になった」と話す彼は、2011年秋冬のルックブックとヴィジュアル撮影を皮切りに、以降すべてのショーのバックステージとドキュメント撮影を担当。また今年、FACETASMはInstagram経由のデジタルマガジン “Instagram Magazine” もローンチしており、ここでも森が捉えたFACETASMのさまざまなイメージがシェアされている。さらに落合に取材が入れば撮影カメラマンとして同行するし、雑誌などでのタイアップ撮影も多く手掛けるなど、密なコミュニケーションで信頼関係を築いてきた。
人と場所、人と服。森が捉えるイメージの軸には、いつも人の存在がある。そのカメラはギミックなしに被写体に向けられて、その瞬間に湧き上がっていた感情までも写し取るような、ストレートで開放的なアプローチが印象的だ。「制作の初期の段階からシーズンイメージやテーマなどに触れる機会が多く、やがてファッションの感情的で人間臭い部分に気づき始めた。と同時に、すごく親近感を感じるようになった。FACETASMは、家族のような空気感で結ばれたスタッフ間の結束力も魅力。表層的になりがちなファッションだが、FACETASMではその熱情をいつも肌で感じている」。
<プロフィール>
森健人 (もり・けんと)
1979年東京生まれ。高校生のときに母の影響で写真を撮りはじめ、その後サンフランシスコ、Academy of Art University にて写真を専攻。現在は東京を中心に雑誌や広告でフリーランスとして活躍中。昨年末、M.I.U.にて個展 “Somewhere You Belong” を開催。作品集に “In Between” (2009) などがある。東京ファッションブランドのヴィジュアルは、FACETASM以外に、soe (ソーイ)、nonnative (ノンネイティブ) などを手掛けている。今年はFACETASMの “Instagram Magazine” (@facetasmtokyo) ローンチを機に、自身のInstagram (@kentomori.insta) もスタート。愛用カメラはPENTAX 6×7 Ⅱ
HP: www.kentomori.com