Kenta Matsushige, A Japanese Designer Supernova Beloved By Haute Couture World

イエール国際モード&写真フェスティバル受賞、日本人デザイナー松重健太が打ち出す、ファッションのネクストジェネレーション

Kenta Matsushige, A Japanese Designer Supernova Beloved By Haute Couture World
Kenta Matsushige, A Japanese Designer Supernova Beloved By Haute Couture World
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イエール国際モード&写真フェスティバル受賞、日本人デザイナー松重健太が打ち出す、ファッションのネクストジェネレーション

Kenta Matsushige, A Japanese Designer Supernova Beloved By Haute Couture World

南仏イエールにて開催され、若手ファッションデザイナーの登竜門として知られる International Fashion and Photography festival of Hyères (イエール国際モード&写真フェスティバル)。今年で30回目を数える同フェスティバルにて、日本人デザイナー松重健太の新作コレクションが披露された。

南仏イエールにて開催され、若手ファッションデザイナーの登竜門として知られる International Fashion and Photography festival of Hyères (イエール国際モード&写真フェスティバル)。今年で30回目を数える同フェスティバルにて、日本人デザイナー松重健太の新作コレクションが披露された。

山口県出身、エスモード大阪在籍中に神戸ファッションコンテストを受賞した後、パリの Chambre Syndicale de la Couture Parisienne (パリ・クチュール組合、通称サンディカ) を卒業。これまでに Givenchy (ジバンシィ)、Dior (ディオール)、Nicolas Andreas Taralis (ニコラ・アンドレア・タラリス) など名門ブランドで経験を積んだ松重は、昨年開催された先のアワードにおいて Kenzo (ケンゾー) のクリエイティブ・ディレクター Humberto Leon (ウンベルト・リオン) と Carol Lim (キャロル・リム) をはじめとする業界のエキスパートによる審査のもと、栄えあるグランプリを受賞している。

4月に発表された2015-16年秋冬コレクションでは、Chanel (シャネル) 傘下のオートクチュール工房、通称メティエ・ダールの協力のもと、渾身のデビューコレクションを披露。次世代の日本人デザイナーに注目が集まる中、松重は次なる Sacai (サカイ) となり得るのか。はたまた未だ前例の無い新境地を開拓するのか。突如パリのファッションシーンに出現した “Supernova (超新星)” に、世界中の注目が集まる。

Kenta Matsushige 2015-16年秋冬コレクション | Courtesy of the designer

− 今回発表された2015-16年秋冬コレクションについて、インスピレーションや制作過程のお話を伺えますか?

コレクションは建築家のカルロ・スカルパの作品からインスピレーションを得て、幾何学的で構築的なカッティングを意識してデザインしています。昨年イエール国際モード&写真フェスティバルでグランプリを受賞したことで、今回のショーでは Chanel 傘下のアトリエの協力を得られました。刺繍工房の Lesage (ルサージュ)、羽飾りの Lemarié (ルマリエ)、シューズデザイナーの Massaro (マッサロ)、そしてロングブリムハットは Maison Michel (メゾン・ミッシェル) に制作を依頼しています。

 

− フランスの伝統と格式が色濃く反映されたオートクチュール工房とのセッションの中で、松重さん自身に新たな発見はありましたか?

それにあたってまず、刺繍や羽根などは自分の世界観とは合わないものという認識があったので、そこでなにか新しいものはできないかなと思いました。Lesage のスタッフは、僕が提案しなくても細やかに行き届いた仕事をしてくれたのが印象的でした。今回特に力を入れた靴やアクセサリーですが、これらを主体にランウェイの世界観を作ることで客観的な視点が欠けてしまったのが反省点です。とはいえ卓越した技術力で知られるオートクチュール工房とコレクションを制作することは、素晴らしい経験でした。

Kenta Matsushige 2015-16年秋冬コレクション | Courtesy of the designer

− 衰退が叫ばれて久しいオートクチュールですが、その一方で Franck Sorbier (フランク・ソルビエ) や Ralph & Russo (ラルフ&ルッソ)、Bouchra Jarrar (ブシュラ・ジャラール)、 Alexandre Vauthier (アレキサンドル・ヴォーティエ) など若手のクチュリエが活気を取り戻しています。

僕はオートクチュールデザイナーではありませんが、最近オートクチュール全体が少し活気を取り戻しつつあるのは事実です。値段が高い、手に入るのに時間がかかるという点だけでオートクチュールが衰退の道をたどったわけではなく、やはり歴史や伝統というものへの関心は常に多くの人が持っていると思います。ただ、今、伝統と呼ばれるものでも、そのように人々に認知されるまでには発展があっただろうし、時代によって、その時にあった発展をしてきたのだろうと思います。衰退してしまっていたのはただ、単純に時代に合った、発展を遂げていなかっただけなのかなとも思います。

 

− プレタポルテ、ひいてはファストファッションの台頭により衰退するオートクチュールですが、加速化するファッションサイクルの中でオートクチュールは今後どのような役割を果たしていくと思われますか?

オートクチュールをひとくくりにしてどうなっていくかと考えるのは少し難しいです。プレタとクチュール2つともやっているメゾンとクチュールのみのメゾンでは、クチュールが持つ役割も変わってくるでしょう。

 

− 松重さんはエスモードジャパン在学中にパリに移されていますが、何故クチュールの本場に拠点を移そうと思われたのでしょう? 

エスモード大阪に2年間在籍していましたが、卒業はしていません。神戸ファッションコンテストの賞でパリのサンディカ校に入りました。それ以降はずっとこちらにいます。エスモードを選んだ時から、パリで勉強したいという気持ちはありました。日本のファッションよりかはインポートブランドの方が当時から好きだったので。

 

− 日本とパリ、全く異なる文化的背景を持つ国を見て、ファッションの観点でどのような違いが見られますか?

ファッションの観点では、ブランドのマスへの認知度が大きく違うなとは思います。僕は東京に居たことはないので、しっかりとした2つの違いは見れないかもしれませんが、普通のTVを見ていてもビッグメゾンのニュース、パリコレのニュースなどは取り上げられますし、以前、仕事場でラジオがついていて、特にファッション専門というわけでもないのに、Nicolas Ghesquière (二コラゲスキエール) が Balenciaga (バレンシアガ) を去るニュースが流れました。日本だと、そういうニュースを取り上げるのは、ファッションメディアぐらいしかないんじゃないかと感じます。確かに、一般の方はそんなに興味のないことかもしれませんが、たとえ一般の方が、そこまで興味がない、手に入らないようなものを作ってるとしても、情報だけでもしっかり与えることで、ブランドビジネスの成り立ちやすさはだいぶ違うだろうとは思います。

 

− 現在ウィメンズプレタポルテを発表されていますが、今後メンズの展開などは考えていらっしゃいますか?

将来的にはやりたいと思っています。まだ、力不足は否めないので、ウィメンズウェアで自分にしかできない仕事がしっかりできるようになったら手がけていきたいです。

デザイナーの松重健太 | Courtesy of the designer

松重健太/Kenta Matsushige

エスモード大阪在学中に神戸ファッションコンテスト受賞後、パリのサンディカ校に留学。在籍中、卒業後 Givenchy、Nicolas Andreas Taralis、Dior 等で研修を積んだ後フリーランスデザイナー、パタンナーとして Gianfranco Scotti、Anne Valerie Hash にてデザインに携わる。2014年に開催されたイエール国際モード&写真フェスティバルでは、Kenzo の Humberto Leon、Carol Lim をはじめとする業界のエキスパートの審査のもとグランプリを受賞。同年に自身のブランド Kenta Matsushige を立ち上げている。