「ラ コレクシオン プリヴェ クリスチャン ディオール ジャスミン デ ザンジュ エスプリ ドゥ パルファン」*9月18日(金)発売予定 80mL ¥ 71,500/Parfums Christian Dior (パルファン・クリスチャン・ディオール)

DIOR
with Francis Kurkdjian

フランシス・クルジャンが語る、ディオールの新フレグランス「ジャスミン デ ザンジュ エスプリ ドゥ パルファン」に込めた夕暮れの記憶

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with Francis Kurkdjian

Dior – パルファン・クリスチャン・ディオール/03-3239-0618
HP: www.dior.com

Dior (ディオール) の物語を紡ぐ、22の香りのコレクション「ラ コレクシオン プリヴェ」。そのアイコニックな香りを、より凝縮したミニマルな形へと再構築する「エスプリ ドゥ パルファン」に、新たな一本「ジャスミン デ ザンジュ エスプリ ドゥ パルファン」が加わった。

9月18日(金)に発売される新作は2018年に誕生した「ジャスミン デ ザンジュ オードゥ パルファン」を、ディオール パフューム クリエイション ディレクターの Francis Kurkdjian (フランシス・クルジャン) が新たな濃度とコンポジションで再構築した一本だ。着想源となったのは、グラース地方の晩夏、ジャスミンの収穫期を迎えた夕暮れどき。日中の熱気がまだ残る空気のなか、満開を迎えたグランディフローラム ジャスミンの花畑から立ちのぼる芳醇な香りをとらえている。

発売にあわせて来日した彼に、香りの創作背景から、忘れられない香りについて話を聞いた。

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with Francis Kurkdjian

フランシス・クルジャンが語る、ディオールの新フレグランス「ジャスミン デ ザンジュ エスプリ ドゥ パルファン」に込めた夕暮れの記憶

「ラ コレクシオン プリヴェ クリスチャン ディオール ジャスミン デ ザンジュ エスプリ ドゥ パルファン」*9月18日(金)発売予定 80mL ¥ 71,500/Parfums Christian Dior (パルファン・クリスチャン・ディオール)

FOCUS ON

Jasmin des Anges Esprit de Parfum

やわらかく肌を撫でるような、夕暮れのジャスミン

本作の最大の特徴は、異なる産地の素材を組み合わせる伝統的な「コミュネル技法」を用いた、ジャスミンの緻密なブレンドにある。フルーティでわずかにアニマリック、重厚感のあるエジプト産ジャスミンと、デリケートで軽やかな空気を纏うフランス・グラース産ジャスミン。これらを融合させることで、両方の魅力を併せ持つ理想的なジャスミンを創り出した。さらに、ジャスミンティーの着香にも使われる爽やかなインド産サンバック ジャスミンを加え、香りに多彩な表情を与えている。

香水の世界において、天然の香りを抽出できる花はわずか10種類ほどしかないという。抽出できないピオニーやフリージアなどの花が「サイレント フラワー(言葉を持たない花)」と呼ばれる一方で、ジャスミンは強い個性を持ち、多様な表現が可能な極めて稀有な存在だ。Francis が目指した「センシュアリティ (官能性)」は、まるで極上のシルクが肌に触れたときのような柔らかさと深み。ジャスミンという雄弁な花が奏でる豊かなメロディを、かつてない高濃度で堪能できる至高の香りとなっている。

INTERVEW

Francis Kurkdjian

— Christian Dior (クリスチャン・ディオール) 自身も南仏グラースを深く愛していました。その歴史は、クリエイションにどのような影響を与えていますか。

Christian Dior は、自身のクチュールメゾンを設立するずっと前の1930年代から南仏と香料植物に強く惹かれていました。1950年にはグラース近郊のラ コル ノワール城を購入しています。Dior の調香を手掛ける以上、南仏や花々に対する彼の情熱を受け継ぐことは必然であり、私たちにとっての使命でもあります。

— あなたが創り出す香りは自然の豊かさを思い起こさせますが、ご自身にとって自然とはどのような存在なのでしょうか。

意外に思われるかもしれませんが、私は根っからの都会派で、東京やパリのような街のエネルギーに惹かれます。ブティックや博物館、美術館のような場所が好きなんです。香りを創るからといって、必ずしも自然豊かなグラースに住まなければならないとは思っていません。

とはいえ、自然と無縁だったわけでもないんです。子どもの頃、実家には庭があったのですが、両親から「花に触るな」「そこでサッカーをするな」と怒られてばかりで、庭仕事は罰ゲームのように感じていました (笑)。「大人になったら絶対に庭のないアパートに住むんだ」と思っていたほどです。

— それは意外なエピソードですね。そんなあなたが、今ではガーデニングを楽しまれていると伺いました。

コロナ禍のロックダウンの直前に、パリ市内の大きなテラスがあるアパートに引っ越したんです。そこで外に出られない2年間を過ごすうちに、自らの手で土をいじる時間を持ち、初めて自然に触れる喜びを感じました。実家の庭にあったものとは違う、香りのする花や果実を中心に育てましたね。テラスから始めて、今では少しずつ自然に触れるようになったというわけです。

— 日本の文化からインスピレーションを感じることはありますか。

日本とフランスが似ていると感じるのは、繊細なニュアンスの感覚が優れているというところです。真っ白な何もない空間や、それらが生み出す「間 (ま)」の美しさ。他にも、例えばここにある茶菓子の紙袋は、マットな質感でありがら、片側には光沢があったり、透かしの紋章が入っていたりする。こういった細やかな部分に、日本文化が持つ審美眼や美学を感じます。美しいものを目にすると、人生がより美しくなりますよね。日本でそういった感性に触れることは、香りをつくる私のクリエイションにも間違いなく影響を与えています。

— 日本の伝統芸道である「香道」にも興味を持たれているとか。

香道では「香りを聞く」という表現をしますが、言葉そのものが素晴らしい。食べ物を口にするように、香りを自分の中で消化し、取り入れていく。他の芸術とは全く次元が違います。ただ成分を混ぜるのではなく、何の香料を使ったのか、自分でも忘れてしまう程の感動を生み出す。私自身が調香する際も、そのような感覚を大切にしています。音楽に心惹かれる時、音符を気にする人はいませんから。

— ご自身にとって「忘れられない香り」はありますか。

子どもの頃によく遊びに行っていた、祖父母の家の地下セラー (貯蔵庫) の匂いです。木の床にワックスが塗られていて、階段を降りていくと少しカビ臭いような、けれどそれだけではない懐かしい匂いがある。私にとってはその香りが、フランスの小説家 Marcel Proust (マルセル・プルースト) の『失われた時を求めて』に出てくるマドレーヌのように、記憶を思い出させるものですね。

— 最後に、調香師としてのご自身の個性をどのように捉えていますか。

過去のパフューマーたちが歩んでこなかった、新しい道を切り拓いた人間として記憶されたら嬉しいです。自身のブランドを持ちながら大きなメゾンのクリエイション ディレクターを務めていることや、他のアーティストとのコラボレーションなど、香水という枠を超えた表現にも挑んできました。私が死んで50年も経てば、私が何をつくったのかなんて誰も覚えていないかもしれない。それでも、香りは人間の本質に深く関わるものです。だからこそ、50年先、100年先も、香水が人々の心に何かを感じさせ、感動をもたらす存在であり続けてほしいと願っています。