Let's Be Clear, What Actually Is Happening In Luxury Fashion Etailing Market Right Now?

Net-a-Porter (ネッタポルテ) の Natalie Massenet (ナタリー・マセネット) が辞職、ラグジュアリー eコマースのニュースを総ざらい

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Net-a-Porter (ネッタポルテ) の Natalie Massenet (ナタリー・マセネット) が辞職、ラグジュアリー eコマースのニュースを総ざらい

Let's Be Clear, What Actually Is Happening In Luxury Fashion Etailing Market Right Now?

Richemont (リシュモン) 傘下のラグジュアリー eコマースサイト、Net-a-Porter (ネッタポルテ) の創業者であり会長である Natalie Massenet (ナタリー・マセネット) が辞職することが明らかとなった。Net-a-Porter は今年上旬に、イタリアを拠点にするラグジュアリー eコマースであり、長年ライバルと目されていた Yoox (ユークス) との合併が発表されており、今回の発表は Yoox 社の創業者である  Federico Marchetti (フェデリコ・マルケッティ) による Yoox Net-a-Porter (ユークス・ネッタポルテ) の始動に先立っての表明となる。

Richemont (リシュモン) 傘下のラグジュアリー eコマースサイト、Net-a-Porter (ネッタポルテ) の創業者であり会長である Natalie Massenet (ナタリー・マセネット) が辞職することが明らかとなった。Net-a-Porter は今年上旬に、イタリアを拠点にするラグジュアリー eコマースであり、長年ライバルと目されていた Yoox (ユークス) との合併が発表されており、今回の発表は Yoox 社の創業者である  Federico Marchetti (フェデリコ・マルケッティ) による Yoox Net-a-Porter (ユークス・ネッタポルテ) の始動に先立っての表明となる。

なお、Natalie の今後について、『Vogue (ヴォーグ)』ウェブサイトの記事では以下のようにコメントが掲載されている。

「(Net-a-Porter を去った今なお) 起業家としてこれまで活動してきた原動力は変わりません。加えて、イノベーションに対する情熱は、これからも私のビジネスにおける最大の道標であり、(2000年に Net-a-Porter を始めてから) 15年という月日の中で私が経験してきたこと、思い出、そして共にビジネスに従事出来た仲間達は、これからも私にとってのインスピレーションとなるに違いありません。」

近年取り沙汰されることの多いラグジュアリー eコマース市場だが、『The Wall Street Journal (ザ・ウォールストリート・ジャーナル)』によると、2009年にはラグジュアリーファッションマーケット全体のうち2%ほどだったオンライン市場は、今年に入ってから3倍の6パーセントへと伸びており、今後更に成長が見込まれるとのことだ。

そんな中発表された、ラグジュアリー eコマースサイトの先駆けとも言うべき Net-a-Porter 創業者の突然の辞任が、業界に大きな波乱を巻き起こすことは間違い無いだろう。

混迷を極めるラグジュアリー eコマース界。現状10月に予定されている Yoox Net-a-Porter の統合、そして大本命と目される Condé Nast (コンデナスト) による Style.com (スタイルドットコム) のローンチ前に、今年入ってきたニュースを中心に簡単に状況をおさらいをしてみよう。

Image via www.yoox.com

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 まず Net-a-Porter と Yoox の統合が発表されたのが今年の3月。『Style.com』が eコマースサイトへと再編されることが発表される1ヶ月前だ。元よりラグジュアリーファッションの世界で圧倒的な知名度を誇っていた Net-a-Porter の大幅な方向転換、そしてウェブメディア界の一大勢力から突如明かされた eコマース参入のニュースは、業界内に大きな衝撃を与えた。

それとほぼ時を同じくして、Net-a-Porter にて Chanel (シャネル) のファインジュエリーコレクション「Coco Crush (ココ・クラッシュ)」のデジタルポップアップが公開された。言わずと知れたトップ・オブ・ザ・トップであり、これまで頑なに eコマースとの距離を保ってきたフレンチメゾンによる初の試みは、ラグジュアリーファッションシーンにおいて eコマースが着実に浸透していることを強く印象付けたはずだ。このことがあってか定かでは無いが、同じくウェブ嫌いとして知られるデザイナーの Tom Ford (トム・フォード) は今年の6月、ブランド史上初となるレディ・トゥ・ウェアのオンライン展開を Net-a-Porter にて開始している。

www.luckyshops.com

www.luckyshops.com

Condé Nast による『Style.com』の発表と同時期に、同じく Condé Nast 傘下のファッション誌『Lucky (ラッキー)』マガジンの編集長である Eva Chen (エヴァ・チェン) の辞任が発表された4月30日。Eva による『Lucky』マガジンは、昨年8月に eコマースのスタートアップである Beachmint (ビーチミント) のジョイントベンチャーとして生まれ変わり、雑誌とウェブサイト、そして eコマースを連携させた次世代のメディアとして注目を集めていた。

『Lucky』マガジン然り、3Dエクスペリエンスとデジタルテクノロジーを通していかに効果的にコミュニケーションを図れるかがラグジュアリー eコマースにおいて要と言えるだろう。そのことは、Farfetch (ファーフェッチ) の José Neves (ジョゼ・ネヴェス) がインタビューで語っている通り。そして Farfetch は、5月にロンドンの老舗セレクトショップの Browns (ブラウンズ) を買収し、オムニチャネル戦略に注力することを明確に打ち出している。この発表の1週間前に、アメリカの有名デパートであり、近年 eコマースをはじめとするウェブストラテジーにおいて成功を収めている Nordstrom (ノードストローム) が新たに創業者一族の3兄弟が共同経営者に指名されたことは偶然だろうか。

Net-a-Porter のメンズ版として知られる MR PORTER (ミスター・ポーター) のファウンダーの Jeremy Langmead (ジェレミー・ラングミード) が、2014年にチーフ・コンテンツ・オフィサーとして移籍した Christie’s (クリスティーズ) から出戻りし、今年の6月に再びコンテンツ・ディレクターに就任している。

そんな中、 5月に入ると先の『Lucky』マガジンの周囲が騒々しくなる。まず沈黙を破ったのは、Eva Chen の前任の編集長である Brandon Holley (ブランドン・ホーレイ)。『Lucky』を辞任した後、テクノロジーフィールドの起業家と共同出資し、モバイルコマースアプリ Everywear (エブリウェア) をローンチ。同月には、Net-a-Porter によるモバイルコマースアプリ The Netset (ネットセット) がローンチしているほか、Instagram (インスタグラム) にて投稿されたアイテムをそのままモバイルで購入できるアプリ LikeToKnow.It (ライクトゥノウイット) が、Moda Operandi (モーダ・オペランディ)、Selfridges (セルフリッジ)、MyTheresa (マイテレサ) と提携したことが発表された。

 

それとは直接的に関係無いものの、『Lucky』マガジンは、雑誌の発行部数を4分の1に削減することを表明。兼ねてよりウェブへの完全移行を示唆していた同誌は、そのわずか2ヶ月後の7月には雑誌を廃刊することを決定している。そして雑誌の廃止が発表された翌日、Eva Chen が Instagram への移籍を発表。これにより『Lucky』マガジンを巡る騒動がようやく一時収束を迎えた。

 

同時期、海を越えてロンドンでは有名ラグジュアリーセレクトショップで、近年オンラインストアで大きな成功を収めている『MatchesFashion (マッチス・ファッション)』創業者である Tom Chapman (トム・チャップマン) と Ruth Chapman (ルース・チャップマン) の2人が、電化製品をメインとするフランスのオンラインストア Pixmania (ピックスマニア) の元CEOである Ulric Jerome (ウルリック・ジェローム) を CEO に登用し、今後4~5年以内に上場する計画を『Telegraph (テレグラフ)』のインタビューにて明かしている。

Image via www.vogue.com

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そして8月、ついに新生 Style.com のチーム編成が明らかとなった。アメリカに本拠を置く Condé Nast、そしてイギリスに本拠を置く Condé Nast International (コンデナスト・インターナショナル) 2社によるジョイントベンチャーとして新たに設立された eコマース部門の子会社の代表取締役に指名されたのは、元 Galeries Lafayette (ギャラリー・ラファイエット) の eコマース部門を統括していた Franck Zayan (フランク・ゼイン)。彼に続いて発表された新人事には、同じく Galeries Lafayette にてチーフマーケティングオフィサーの Olivier Breton (オリヴィエ・ブレトン)、元イギリス版『Elle (エル)』のエディターの Melissa Dick (メリッサ・ディック)、元 Net-a-Porter グループ傘下の eコマースサイト、The Outnet (アウトネット) の手がけた Mo White (モー・ホワイト)、Anya Hindmarch (アニヤ・ハインドマーチ) の eコマース部門にて経験を積んだ Natalie Varma (ナタリー・ヴァルマ) など精鋭が揃う。ロンドンに構えられたオフィスでは既に新チームでのプロジェクトが進められており、サイトのローンチは来年の上旬を予定している。

 

僅か1年の間に大きな変革を迎えたラグジュアリー eコマース市場だが、一つ確かなのはオンラインリテーリングが間違いなくメインストリームになりつつあるということだ。加えて、ラグジュアリーブランドが自社のオンラインストアをローンチするといった傾向も目に付くようになっている。群雄割拠のデジタル世代、その行く末やいかに。