With four pairs of shoes I can travel the world
Gabriel Chanel (ガブリエル・シャネル) が他の誰よりも優れていた天賦の才、それはスタイルを生みだすこと。それまで喪服にしか用いられることのなかった黒という色を初めてファッションとして表現したリトル ブラックドレス。男性用のスーツの実用性を女性に向けて提案したツイードスーツ。パリの女性の手元から華美なミノディエールを消したキルティング バッグ。
従来の常識を覆しながらも、本質的な女性の欲求を的確に捉えたこれらの “発明” は、後にアイコンと呼ばれるようになり、Chanel (シャネル) という伝説を語る上で欠かせない登場人物となった。
知人であったダンサーのセルジュリファールとの1937年の一枚。彼の足元は、20年後に Chanel がデザインするバイカラーシューズのインスピレーションとなった。 | ©Brigitte Moral
そして1957年、また彼女が新たなアイコンを世に送り出した。ベージュとブラックのコントラストにしなやかなスリングバック、バイカラーシューズの誕生だ。
世界中のセレブリティがこぞって着用したバイカラーシューズ。その人気は女優の Romy Schneider (ロミー・シュナイダー) を捉えた1962年の写真からも伺える。| © Rue des Archives RDA2
デザインのインスピレーションとなったのは、18世紀から男性靴の定番とされていたバイカラーのダービーやオックスフォードシューズ。女性が履く靴といえば、洋服に合わせた一色使いとされていた当時。脚を長く魅せるベージュに合わせられたブラックのトウは、つま先を小さく見せてくれるという効果に加え、活動的な女性のライフスタイルに向け、靴の先端がすり減ることを避けるために考案されたという。歩きにくいスティレットヒールは5センチのスクエアヒールへとチェンジ。更なる実用性を見込んで、かかとの部分には伸縮性のあるバックストラップが取り入れられた。
こうして生まれたバイカラーシューズを、マドモアゼル自身は「エレガンスの真骨頂」と表現し、また世間は「新しいシンデレラのガラスの靴」と称することで新たなエレガンスの定義を礼賛したのだ。
「ベージュとブラックは、朝出かけるときから、ランチタイ ム、カクテルパーティに出席するときまで、一日のどの場面にもマッチするのです」と 1957 年に語ったガブリエル シャネル。そのフィロソフィーは、現在アーティスティックディレクターである Karl Lagerfeld (カール・ラガーフェルド) へと引き継がれ、今日まで様々なバリエーションで女性たちの足元を彩ってきた。
今回、『The Fashion Post (ザ・ファッションポスト)』では Chanel の膨大なアーカイブの中からバイカラーシューズの歴史を紐解く貴重な写真を入手。Karl Lagerfeld のデビューとなった1983年から現在に至るまでの貴重な資料、そしてセレブリティたちのスナップとともに、バイカラーシューズの遍歴を辿ってみよう。
Karl Lagerfeld のデビューコレクションとなった1983-84年秋冬プレタポルテコレクション。Helmut Newton (ヘルムート・ニュートン) によるキャンペーンには、カーフレザーのバイカラーシューズが捉えられている。| © Chanel – Helmut Newton
1986-87年秋冬オートクチュールコレクションでは、バイカラーのバレエシューズが登場。 | © Chanel
1995年春夏プレタポルテ広告キャンペーン。モデルは当時栄華を極めたスーパーモデルを象徴する Helena Christensen (ヘレナ・クリステンセン)。 | © Chanel – Karl Lagerfeld
2005-6年秋冬プレタポルテキャンペーン。トップモデル Daria Werbowy (ダリア・ウェーボィ) を起用し、ニューヨークのストリートで撮影されたビジュアルでは、ブラックとホワイトを反転させたバイカラーシューズが登場。 | © Chanel – Karl Lagerfeld
2009-10年秋冬オートクチュールコレクションでは、ツイードとパテントを用いた異素材使いのバイカラーシューズが発表された。| © Chanel
2011-12年パリ-ボンベイ メティエダールコレクションより、ホワイトのサイハイブーツにブラックのトウを取り入れたバイカラーブーツ。 | © Chanel
ビニール素材とサテンという、全く異なる質感のマテリアルを融合させたバイカラーシューズ。2013年春夏プレタポルテ広告キャンペーンより。 | © Chanel – Karl Lagerfeld
2013年春夏オートクチュールコレクションより、レースを用いたロマンティックなサイハイブーツ。| © Chanel – Karl Lagerfeld
2013年春夏オートクチュールコレクションより、レースを用いたロマンティックなサイハイブーツ。| © Chanel – Karl Lagerfeld
ドバイで開催された2013年クルーズコレクション。| © Chanel
ドバイで開催された2013年クルーズコレクション。| © Chanel
キャンバスとレザーを組み合わせたバイカラーシューズ。2013-14年クルーズキャンペーンより。| © Chanel
2014年春夏プレタポルテコレクションでは、ソックスと一体型となったトロンプイユシューズが登場。モデルは Lindsey Wixson (リンゼイ・ウィクソン)。 | © Chanel – Karl Lagerfeld
2015年春夏ポレタポルテコレクションでは、ゴールドでアレンジしたバイカラーシューズが登場。| © Chanel
2015年春夏ポレタポルテコレクションでは、ゴールドでアレンジしたバイカラーシューズが登場。| © Chanel
2014-15年パリ – ザルツブルグ メティエダールコレクションのランウェイを彩った、ローデンとレザーのジョッキーブーツのつま先にも、バイカラー。| © Chanel
2014-15年パリ – ザルツブルグ メティエダールコレクションのランウェイを彩った、ローデンとレザーのジョッキーブーツのつま先にも、バイカラー。| © Chanel
2015-16年秋冬プレタポルテコレクションで発表されたスクエアヒールのバイカラーシューズは、スリムカットのレザーパンツにスリーピーススーツ、イヴニングに至るまで、全てのルックに合わせられた。 | © Chanel
2015-16年秋冬プレタポルテコレクションで発表されたスクエアヒールのバイカラーシューズは、スリムカットのレザーパンツにスリーピーススーツ、イヴニングに至るまで、全てのルックに合わせられた。 | © Chanel
Karl Lagerfeld が「最も現代的なシューズで、脚を美しく見せる効果がある」と語る、スクエアヒールのバイカラーシューズ。 | © Chanel – Karl Lagerfeld
2015-16年秋冬キャンペーン。 | © Chanel – Karl Lagerfeld
韓国版『Vogue (ヴォーグ)』にて、Tilda Swinton (ティルダ・スウィントン) | © Chanel
韓国版『Vogue (ヴォーグ)』にて、Tilda Swinton (ティルダ・スウィントン) | © Chanel
Vanessa Paradis (ヴァネッサ・パラディ) | © Chanel
Lily Rose Depp (リリー=ローズ・デップ) | © Chanel
Poppy Delevingne (ポピー・デルヴィーニュ) | © Chanel
Alexa Chung (アレクサ・チャン) | © Chanel
Emma Stone (エマ・ストーン) | © Chanel
Mary Olsen (メアリー・オルセン) と Ashley Olsen (アシュリー・オルセン) | © Chanel
Ana Girardot (アナ・ジラルド) | © Chanel
Hannah Herzsprung (ハンナー・ヘルツシュプルング) | © Chanel
Gwei Lun Mei (グイ・ルンメイ) | © Chanel
Miroslava Duma (ミラスラヴァ・デュマ) | © Chanel
Spp Joo Park (パク・スジュ) | © Chanel
Jamie Bechert (ジェイミー・ボシェール) | © Chanel
かつて「4足のシューズがあれば、世界中を旅できる」と語ったマドモアゼル。その言葉通り、時代を超えて愛され続けるバイカラーシューズは、それと同時に Karl Lagerfeld のクリエイティビティにより絶えず進化を続けてきた。
ハイヒール、バレエシューズ、ブーツ、スニーカ ー、エスパドリーユ…幾多に及ぶバリエーションが目を引くが、中でもベーシックなスリングバックはマストハブだろう。それ以外の “3足” にどのスタイルを選ぶか、ここが個性の見せ所だ。
問い合わせ先/シャネル (ファッション) 0120-525-195
HP: www.chanel.com