『セラフィーヌの庭』の監督がフランス人女性作家の半生を描く映画『ヴィオレット－ある作家の肖像－』

© TS PRODUCTIONS – 2013

映画『ヴィオレット－ある作家の肖像－』が、12月19日 (土) より岩波ホールほか全国で公開中だ。

今年の6月にフランス映画祭で上映された本作は、セザール賞で7部門受賞の『セラフィーヌの庭』を手掛けた Martin Provost (マルタン・プロヴォ) 監督が実在のフランス人女性作家 Violette Leduc (ヴィオレット・ルデュック) の半生を描いたもの。

ヴィオレットの小説は、日本では「私生児」や「ボーヴォワールの女友達」などが出版されただけなので知る人は少なく、本国フランスでも忘れられた作家だった。しかし、『ヴィオレット－ある作家の肖像－』の公開を機に全集が出版され、フランスで再び大きな注目を集めた。「第二の性」を執筆したフランスの哲学者 Simone de Beauvoir (シモーヌ・ド・ボーヴォワール) と同じように、時代を変えた作家として再評価されているという。

主役のヴィオレットを演じるのは、『そして僕は恋をする』など Arnaud Desplechin (アルノー・デプレシャン) 監督作品にたびたび出演し、セザール賞ノミネート5回、2度の受賞に輝く名女優 Emmanuelle Devos (エマニュエル・ドゥヴォス)。ドゥヴォスは、鼻にコンプレックスを持っていたヴィオレットを演じるために「付け鼻」をつけて演じているという。ボーヴォワールを演じるのは、『屋根裏部屋のマリアたち』の Sandrine Kiberlain (サンドリーヌ・キベルラン)。ヴィオレットを援助する香水メーカー「Guerlain (ゲラン)」の経営者ジャックを演じるのは、Jean-Pierre (ジャン=ピエール) & Luc Dardenne (リュック･ダルデンヌ) の映画でおなじみの Olivier Gourmet (オリヴィエ・グルメ)。

また、現代フランスを代表する劇作家で演出家の Olivier Py (オリヴィエ・ピィ) が、ヴィオレットに小説を書くきっかけを与える同性愛者の作家 Maurice Sachs (モーリス・サックス) を演じている点や、Leos Carax (レオス・カラックス) の『ホーリー・モーターズ』で知られる名カメラマン Yves Cape (イヴ・カープ) の映像も見逃せない。

さらに、ヴィオレットが生きた1940年代から1960年代の新しい文化が花開こうとしている時代のパリの風景と共に、Pierre Niney (ピエール・ニネ) 主演『イヴ・サンローラン』の衣装を担当した Madeline Fontaine (マドリーヌ・フォンテーヌ) によるファッションも見どころになっている。

＜ストーリー＞
1907年、私生児として生まれたヴィオレット。ボーヴォワールと出会い、才能を認められて1946年に処女作「窒息」を出版。女性として初めて自分自身の性を赤裸々に書き、ボーヴォワールをはじめ、Albert Camus (アルベール・カミュ)、Jean-Paul Sartre (ジャン＝ポール・サルトル)、Jean Genet (ジャン・ジュネ)ら錚々たる作家に絶賛されたものの当時の社会には受け入れらなかった。傷ついたヴィオレットはパリを離れてプロヴァンスに移り、自身の集大成ともいえる新作「私生児」の執筆にとりかかりはじめるが……。

＜作品情報＞
『ヴィオレット－ある作家の肖像－』
原題: Violette
監督・脚本: マルタン・プロヴォ『セラフィーヌの庭』
撮影: イヴ・カープ『ホーリー・モーターズ』
衣裳: マドリーヌ・フォンテーヌ『イヴ・サンローラン』
出演: エマニュエル・ドゥヴォス、サンドリーヌ・キベルラン、オリヴィエ・グルメ、
ジャック・ボナフェ、オリヴィエ・ピィ
配給: ムヴィオラ
フランス映画／2013年／フランス語／カラー／1:1.85／5.1ch／139分／DCP／PG12
© TS PRODUCTIONS – 2013
URL: http://www.moviola.jp/violette/
2015年12月19日 (土) より、岩波ホールほか全国順次公開