自然が奏でるオーケストラに耳を傾けて、カルティエ現代美術財団にて「ザ グレート アニマル オーケストラ」が開幕
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自然が奏でるオーケストラに耳を傾けて、カルティエ現代美術財団にて「ザ グレート アニマル オーケストラ」が開幕
Discover The Great Animal Orchestra Exhibition Ongoing At Foundation Cartier
パリのカルティエ現代美術財団にて「ザ グレート アニマル オーケストラ」が開幕した。その名の通り動物をテーマにした本展は、アメリカ人音楽家であり、自然界に存在する音について40年以上にわたり研究してきた生態音響学者である Bernie Krause (バーニー・クラウス) の活動、そして彼の著書である『The Great Animal Orchestra』に着想を得たもの。
パリのカルティエ現代美術財団にて「ザ グレート アニマル オーケストラ」が開幕した。その名の通り動物をテーマにした本展は、アメリカ人音楽家であり、自然界に存在する音について40年以上にわたり研究してきた生態音響学者である Bernie Krause (バーニー・クラウス) の活動、そして彼の著書である『The Great Animal Orchestra』に着想を得たもの。近代世界において絶滅の危機にさらされている動物の王国を視覚と聴覚で感じ取ることの出来る展示作品には、中国のアーティスト蔡國強 (ツァイ・グオチャン) や日本人作家の杉本博司をはじめ様々な手法でアート界を牽引するアーティストたちが名を連ねている。
入り口左手の展示スペースで待ち受けているのは、蔡國強が今回のために特別製作した全幅18mにも及ぶ絵画。一つの水たまりにあつまる野生動物たちの光景をテーマにした作品は、キャンバスに火薬で焦げ跡をつけることでアウトラインを描いた力強いタッチが特徴的だ。
1階奥にて展示されているのは、日本のアーティスト宮崎学が手がけた写真作品群。特殊な撮影方法を用い、定点観測で捕らえられた野生動物たちの姿からは、無為自然な中にどこか剥製のような静謐な佇まいが感じられる。
生きている動物を剥製のように捉えるのが宮崎の作品だとすれば、剥製に生き生きとした表情を見出すのは日本が誇る巨匠杉本博司だ。ジオラマとCGを用い作り出されたイメージは、浮世離れした幻想的な世界観が作り出されている。それらと対比するように、エネルギッシュな色彩で動物たちの生態を描き出すのは、ブラジルのアーティスト Adriana Varejão (アドリアーナ・ヴァレジャオ)、ベナンのアーティスト Cyprien Tokoudagba (シプリアン・トクダグバ)、コンゴの画家 Pierre Bodo (ピエール・ボド)、JP Mika (JP ミカ)、Moke (モケ) たちだ。
視覚で動物たちの様々な表情を観察した後には、地下の展示スペースでは視覚と聴覚を同時に刺激してくれるユニークな作品たちが待ち受けている。イギリスのコレクティヴ・ユナイテッド・ヴィジュアル・アーティスト (UVA) は、Bernie Krause が録音し再編した動物たちのオーケストラを、サウンドスケープで視覚的に翻訳した3Dの電子インスタレーションを制作。もう一方の部屋では、フランス国立科学研究センター (CNRS) のディレクターであり、タラ海洋プロジェクトの創始者の一人でもある Christian Sardet (クリスチャン・サルデ) が撮影した写真を使ったインスタレーションを公開。
ビデオグラファーでアーティストの高谷史郎がによる特殊装置、そして日本の作曲家坂本龍一による音楽が三位一体となったインスタレーションでは、プランクトンたちの知られざる生態について迫る。
動物たちが奏でる、力強くも儚い孤高のオーケストラ。これまで数々の現代美術展を手がけてきたカルティエ現代美術館ならではのユニークな作品群の音色に耳を傾けてみれば、これまで知らなかった自然の新たな一面に触れられるかもしれない。
展覧会情報 | |
展覧会名 | 「ザ グレート アニマル オーケストラ」 |
会期 | 7月2日~2017年1月8 日 |
休館日 | 月曜 |
開館時間 | 午前11 時~午後8 時 ※火曜日は午後10 時まで |
会場 | カルティエ現代美術財団 |
住所 | 261, boulevard Raspail 75014 Paris |
HP | fondation.cartier.com |