'JANIS:LITTLE GIRL BLUE' To Launch In Japan From September 10

27歳でこの世を去った伝説の女性シンガー、ジャニス・ジョプリンの素顔に迫るドキュメンタリー映画『ジャニス:リトル・ガール・ブルー』が公開

'JANIS:LITTLE GIRL BLUE' To Launch In Japan From September 10
'JANIS:LITTLE GIRL BLUE' To Launch In Japan From September 10
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27歳でこの世を去った伝説の女性シンガー、ジャニス・ジョプリンの素顔に迫るドキュメンタリー映画『ジャニス:リトル・ガール・ブルー』が公開

'JANIS:LITTLE GIRL BLUE' To Launch In Japan From September 10

“音楽史上最高の女性スター” と称される伝説のシンガー Janis Joplin (ジャニス・ジョプリン)。27歳の若さでこの世を去った彼女の素顔に迫るドキュメンタリー映画『ジャニス:リトル・ガール・ブルー』が 2016年9月10日から公開される。

5th April 1969: Rock singer Janis Joplin (1943 - 1970). (Photo by Evening Standard/Getty Images)

© 2015 by JANIS PRODUCTIONS LLC & THIRTEEN PRODUCTIONS LLC. All rights reserved.

“音楽史上最高の女性スター” と称される伝説のシンガー Janis Joplin (ジャニス・ジョプリン)。27歳の若さでこの世を去った彼女の素顔に迫るドキュメンタリー映画『ジャニス:リトル・ガール・ブルー』が 2016年9月10日から公開される。

ベトナム戦争や公民権運動、ウーマンリブといった反体制の波がアメリカを揺らし、アート、ファッション、文学などあらゆるカルチャーが花開いた混沌と変革の時代。1960年代後半に急速に発展したロックの世界が生んだ最初の女性のスーパースター Janis  Joplin。音楽だけでなく、サンフランシスコを拠点に派手なボヘミアン・ファッションを身にまとい、ヒッピーのアイコンとしても多大な影響を与えた彼女。臆面もなく「私だけを愛して!」としゃがれた声で高らかに歌う彼女の奔放な生き様は、自分らしく生きたいと願うあらゆる世代の女性に勇気を与え、Madonna (マドンナ)、PINK (ピンク)、Cyndi Lauper (シンディ・ローパー)、Amy Winehouse (エイミー・ワインハウス) など、後の女性アーティストにも強烈な影響を及ぼした。そんな華やかに時代を飾った彼女は一方で、容姿をからかわれる辛い少女時代を送った過去を持つ。そんな10代から抱えていたトラウマや不安は成功した歌手となっても決して消えず、容姿に対するコンプレックス、女性差別、有名になるほど大きくなるプレッシャーなどから押しつぶされそうになっていた。そんな二面性を持つ彼女は、常に自分の居場所を求めて孤独と向き合い、やがて酒やドラッグが常に欠かせぬ友となり、最終的に命を奪うことになった。

 

本作を監督したのは、気鋭の女性監督 Amy Berg (エイミー・バーグ)。また、製作は、公開中の『ミスタ ー・ダイナマイト:ファンクの帝王ジェームス・ブラウン』を監督した、 Alex Gibney (アレックス・ギブニー) が務めている。6年もの年月をかけ、コンサートからテレビ出演、スタジオ風景までの映像をふんだんに使い、バンドのメンバーとクルー、音楽仲間、友人知人まで、関わりのあったほとんどの人たちの証言をはさみ、遺族の全面協力のもと、家族や恋人に宛てたパーソナルな手紙の数々を開封するなど、Janis のドキュメンタリー映画の決定版とも言える本作を手がけた2人。以下、その2人が Janis への強い思いと、本作について語ったインタビューをノーカットでお届けする。

 

American singer-songwriter Janis Joplin (1943 - 1970) with her 1965 Porsche 356C Cabriolet, circa 1969. The car features a psychedelic paint job by Joplin's roadie, Dave Richards. (Photo by RB/Redferns)

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Janis Joplin のどこに惹かれたのですか?

Amy Berg(以下、Amy) : Janis のさまざまな側面に魅力を感じましたが、特に、自己承認欲求、成功へのあくなき欲望、そして失敗することへの強い恐怖心といった内面的な部分に強く惹かれました。1940~50年代のアメリカの南部というのは、今とは比べものにならないほど、保守的な環境でした。家族が彼女に求めることと、彼女自身が求めていることの間には大きな溝があり、幼いころの彼女はその間でひき裂かれていたのでした。 両親は、Janis の個性を尊重して育てようとしていましたが、彼らは Janis がいったい何を考えているのか、何をしたいのか、実はよく分かっていませんでした。そうした環境の中で、普通の南部の女の子として生きていくか、それとも壁を打ち破って自分の道を突き進んでいくべきなのか、Janis は常に葛藤していました。高校の同窓会に出席したときの映像をみると、過去から何かを取り戻そうとやっきになっているJanis の姿が映っています。 しかし、同時にまた、Janis は自分の人生を思い切り謳歌したということも事実です。サンフランシスコで、自分の居場所を見つけ出せたことは、彼女にとって本当に幸せなことだったと思います。

Alex Gibney(以下、Alex ): 昔から、私は Janis のファンでした。映画『フェスティバル・エクスプレス』を観た時に、Janis のパフォーマンスから受けた衝撃は今でも忘れられません。もし誰かが Janis についての映画を撮ったとして、果たしてそれは良い作品となるのだろうか、と、いつも心の中で考えていました。 かつて、『GONZO〜ならず者ジャーナリスト、ハンター・S・トンプソンのすべて〜』という作品で、Janis の曲を使いました。シカゴの暴動のシーンで、Janis の「心のカケラ(Piece of My Heart)」をかけたのです。ハンターにとって、それは大きな出来事であり、状況が変わり始めた瞬間でした。それは正しい選曲だったと思っています。彼女の叫び声が完璧にマッチしていました。

企画を考え始めたときから、家族への取材を始めたのですか?

Amy : そうですね、2008年にはじめてポート・アーサーを訪れたときから、撮影を始めていました。まだそこに住んでいた人すべてに話を聞き、幼かったころの Janis の写真を手に入れました。しかしそこで、故郷に残っているひとたちと、その街を去った親友と呼べるひとたちとで Janis への印象や記憶が、異なっていることが明らかになってきました。今はオースティンに住んでいるジャニスの高校からの親友に、最初のインタビューを敢行し、おぼろげなら10代のころのJanis の輪郭がつかめてきました。それからというもの、可能な限りジャニスに関する情報を逃さないようにし、ニューヨークを訪れたときには、すかさず、Dick Cavett (ディック・キャベット) にコンタクトをとりました。 しかし、家族への取材は、後にとっておくようにしたのです。Janis の家族に会ってお話聞く前にを前に、大人になってからのJanis の情報をすべて入手しておいた方が良いと思ったからです。 手紙は、この映画にとって特に重要でした。手紙は、家族や友だちとの関係を知るヒントをくれるだけでなく、Janis は手紙の中ではいつも自分自身に正直であろうとしていたです。 ビッグブラザー時代のバンド仲間への取材を通して、輝きに満ちた目をしながら、一方で恐れを抱きながらテキサスを逃げ出し、カウンター・カルチャーが吹き荒れるサンフランシスコに飛び込んでいった Janis の心のうちが徐々にみえてきました。Janis がバンドをすぐに解散させたことは彼らにとって大きなショックでしたが、それでも、彼女が葛藤や苦悩は、彼らがいちばんよく分かっていたのかもしれません。

撮影を通して、Janis について新たに発見したことはありますか?

Alex: 大事なのは、Janis の人生の中にどんな物語がひそんでいるのかということでした。ステージ上では、あんなに大胆で、厚かましく、そして好き放題暴れまわっていますが、素顔の Janis は、常に愛情や承認を強く求めていて、とてもシャイで、か弱い女性でした。皆が同じように生きることをのぞまれるような土地で、周囲の人間とは違う考え方をもち、何者かになりたいと思っていた彼女は、自分でも思い悩み、周囲からもいじめを受けました。思春期に深い傷を受けたのです。

Amy: 彼女がいかに繊細な性格の持ち主だったか、そして、失敗することへの恐れがいかに彼女の心を覆っていたかを知り、驚きました。 彼女はとてもパワフルでしたが、少しでも失敗したらすぐさま全てのことを失ってしまうのではないか、といつも不安を抱えていました。 彼女は自身に、女性として、またアーティストとして、いつもプレッシャーをかけていました。名声を手にしたスターとしての目まぐるしい日々と自分が心から望んでいる生活の間の溝をうめようともがいていたのです。しかし、それは、結局うまくいきませんでした。友人らが何度も語っているように、ステージから降り、ひとりで家に帰っていくときの彼女は孤独でした。

Janis Joplin in the dressing room at the Singer Bowl, Flushing, New York, 1968. Copyright 2001 Thomas Monaster. ONE TIME USE ONLY. SEE MORE PHOTOS AT WWW.MONASTERPHOTO.COM

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— Janis の手紙について教えてください。未公開のものもたくさんありますね。その中で、使おうとした手紙の決め手というのはなんだったのでしょうか?

Amy : なによりもまず、Janis 自身に、人生を物語ってほしいと思っていました。Janis が残した幾千もの手紙や日記を丁寧に読みこんでいくと、その中で同じテーマが繰り返し綴られていることが分かります。それはつまり、「ポートアーサーのJanis」と「サンフランシスコの Janis」との間での葛藤です。なので、家族に連絡を取っているときと内省的になっているときの手紙を中心に構成しようと決めました。Janis が切実に、心情を吐露している手紙を使い、彼女の素顔にできるだけ近づければと思って決めました。

Alex:日記や手紙といった内面的なものと、その他の資料のバランスをとることに苦労していたようにみえました。そして、誰にこの手紙を読ませるのか、といいうことにも。Amy が選んだ Cat Power (キャット・パワー) は、力強さだけでなく、シャイネスを兼ね備えています。それがうまくはまったのだと思います。個人的にも彼女のことは大好きで、自分の作品のなかでもかなり、彼女の音楽を使っています。彼女の声には、傷ついた詩人が詠んでいるかのような独特の美しい響きがあります。それに、彼女は Janis と同じ南部の出身でした。彼女の声色は聞くというよりも「感じる」というものです。撮影時、彼女は、Janis の精神に同化していたと思います。完璧な選択だったと思います。

どうして Janis の手紙に Cat Power  の声を選んだのですか?

Amy : インターネットでインタビューを聞いたときにピンときました。たとえ Janis のことをよく知らなかったとしても、通ずるものがたくさんあると思いました。彼女なら十分に Janis のことを理解できるだろうと思ったのです。彼女は女優ではなく、歌手です。彼女自身、南部からやってきた歌手として、多くの苦労をしましたし、同じ女性としてJanis に強い共感を示してくれました。

— Alex に聞きます。あなたはこの作品制作に携わりましたか?それとも、プロダクション側にとどまっていたのですか?

Alex : Amy は冒険家でした。彼女は Janis の手紙や日記の奥深くまで、どんどん掘りさげ、Janis のパーソナルな部分に触れようとしており、私はとても感心しました。私は多かれ少なかれ利用される立場の人間です。私は Amy を信頼し、彼女が納得のいくまで没頭できるよう、サポートすることにベストを尽くすことを心掛けました。

『ジャニス:リトル・ガール・ブルー』sub1

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アルバム『パール』を製作しているときのジャニスを観ていると、声の限りに叫んでいるデビュー当初からはずいぶん変わった印象を受けました。

Amy : 彼女は、ヘロインを絶ったときに人生の転換期をむかえたのだと思います。人生の終盤になってやっと、自分がアーティストとしてやっていけるという自信を持つことができました。最も悲劇的なのは、彼女が歌手としての手ごたえをつかんだ矢先に逝ってしまったことです。以前のように、無鉄砲に声を張り上げることはなくなり、美しく抒情豊かに歌う術を習得しはじめてたのです。 取材していく過程で、彼女のことを良く知る全ての人たちの目の中に、罪悪感と後悔の念がみてとれました。もし彼女に対して何か違うことがしてあげられたら、彼女を救ってあげることが出来たのではないかと、彼らは自問していたのです。

Alex : フェスティバル・エクスプレス・トレインで、Janis がギターを抱えて仲間たちと「ミー・アンド・ボビー・マギー」を歌った映像には感動しました。偉大なミュージシャンたちに囲まれて楽しそうに歌っている姿を観ていると、自分の歌に自信を持っていること、それは紆余曲折を経た彼女の歌手としての完成形を見せてくれているように見えます。 このシーンには心が震えました。もうすぐ終わる運命にある自分の人生を、彼女が悟っているのではないかと私には思えたのです。音楽的にはこれ以上ないほどに素晴らしい瞬間でしたが、ひとりの女性との人生としてみると、このシーンは悲劇的です。輝かしい未来が目の前に広がっていたのに、彼女は逝ってしまった。

映画を作るなかで、なにがいちばん大変でしたか?

Amy:物語を紡いでいくのが難しかった。本音を言えば、Janis の音楽に浸っていたかったけれど、彼女の少女時代の体験を語らないことには、Janis の真実の姿に近づくことはできないと思いました。もっと詩的に、抽象的に Janis の人生を綴りたいとい気持ちもあったのですが、Janis を決定づけたともいえるテキサスで過ごした日々のことは描く必要があると感じていました。 彼女が世に出て有名になってからの資料はたくさん素晴らしいものがありますが、サンフランシスコへ出ていく16歳までのものはほとんど残っていませんでした。その大事な期間をどう語ればいいのか?オースティンで、写真やフライヤーなどは数点見つけることは出来たのですが、それだけでは全然足りませんでした。その他の記録や写真、映像、資料もなくなったり、壊れたりしていて、ライブのほとんどはシングルカメラで撮られ、フィルムに残っているものにいいものはあまり残っていませんでした。もっとパーソナルな肖像を描き出すため、編集には力をいれました。資料とにらめっこし、編集者と何度も相談しながら、ひとつずつ丁寧に積み重ねていきました。

『ジャニス:リトル・ガール・ブルー』sub4

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Alex : Amy は当初、自分に自信を持っていなかった。無意味に思えるようなフィルムの山に飛び込んでは、頭を抱えていました。しかし、彼女は諦めなかった。 写真や音源といった資料を掘り起こし続け、ついに彼女は驚くべき材料を見つけることができたのです。D・A・ペネベイカーが撮った「サマータイム」のスタジオでのレコーディング風景です。これには非常に驚きました。このリハーサル映像を観ていると、実際に彼女と一緒に演奏しているような感覚を味わえ、感動しました。

Amy : あのシーンには私もびっくりしました!Janis の声はいつも、彼女の人生を象徴的に表現しているように思います。声をきけば、そのときの彼女がどんなだったかというのを感じることが出来るのです。あのシーンで、Janis の声はどんどん大きくなり、叫びは激しさを増し、ただひたすらすべての事をステージ上で吐き出しているかのようで、それは、コントロール不能になった彼女の人生を象徴しているように見えました。Janis の声は、彼女の人生がどのくらいの速さで動いているかを、いつも完璧に表現していた、と私は思います。

作品情報
映画タイトル ジャニス:リトル・ガール・ブルー
原題 JANIS:LITTLE GIRL BLUE
監督 Amy Berg (エイミー・バーグ)
製作 Alex Gibney (アレックス・ギブニー)
ナレーション Cat Power (キャット・パワー)
出演 Sam Andrew (サム・アンドリュー)、 Peter Albin (ピーター・アルビン)、 Dave Getz (デイブ・ゲッツ)、Kris Kristofferson ( クリス・クリストファーソン)、 Country Joe McDonald (カントリー・ジョー・マクドナルド)、Bob Weir (ボブ・ウィアー)、David Dalton (デヴィッド・ドルトン)、 Clive  Davis (クライヴ・ディヴィス)、Dick Cavett (ディック・キャヴェット)、 Rola Joplin (ローラ・ジョプリン:妹)、Michael Joplin (マイケル・ジョプリン:弟) ほか
日本語字幕 和田絵理
字幕監修 五十嵐正
サウンドトラック盤 ソニー・ミュージックジャパンインターナショナル
配給・宣伝 ザジフィルムズ
HP www.janis-movie.com
2015年/アメリカ/カラー/ビスタ/DCP/103分
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2016年9月10日 (土) より、シアター・イメージフォーラム他全国順次ロードショー