Raf Simons' Calvin Klein Makes A Debut At NYFW

徹底取材、ラフ・シモンズによるカルバン・クラインのデビューコレクション

Raf Simons' Calvin Klein Makes A Debut At NYFW
Raf Simons' Calvin Klein Makes A Debut At NYFW
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徹底取材、ラフ・シモンズによるカルバン・クラインのデビューコレクション

Raf Simons' Calvin Klein Makes A Debut At NYFW

2017-18年秋冬 NY ファッションウィーク3日目にあたる2月10日に発表された Raf Simons (ラフ・シモンズ) による Calvin Klein (カルバン・クライン) のデビューコレクション。コレクションのインスピレーションから会場の熱気、そして登場したモデルの一覧までまとめた総力編。

10日に NY にて発表された Raf Simons (ラフ・シモンズ) による Calvin Klein (カルバン・クライン)。会場は、タイムズスクエアからほど近い Calvin Klein 社の本社屋。前日に降り積もった雪に足を取られ、顔が強張るような冷たい風を受けながら入り口でドアのオープンを待っていると、見る見るうちに周りに人が集まってくる。どうやらゲストのセレブリティを一目見ようと集まったストリートフォトグラファーや一般人のファンらしい。

ほどなくしてドアが開けられ中に入ると、まず目を引くのが天井から乱雑に吊り下げられたデニム、切り刻まれた星条旗、フリンジ、何だかインダストリアルなシルバーの物体。会場演出を手掛けたのは、Raf Simons のシグネチャーレーベルでもコラボレーターとして多くのプロジェクトを手掛けてきたアメリカ人現代アーティストの Sterling Ruby (スターリング・ルビー)。極めてミニマルな室礼のショー会場は、どこか破壊的で、それでいてオプティミスティックな趣の空間へと作り変えられた。

大変な混雑を想像していた私は、ショーの開始時刻の30分前には会場入りしていたのだが、当然これほどの規模のショーとなればオンタイムで始まるはずもなく、その後40分ほどの時間、しかめっ面でスマホを見つめるエディターたちや、優雅に会場を練り歩くセレブリティたちを眺めて過ごした。おお、すごい、Julien Moore (ジュリアン・ムーア) がいる。あっちには、元祖 Calvin Klein モデルの Brooke Shields (ブルック・シールズ) や Lauren Hutton (ローレン・ハットン) も。そんなこんなで、照明は暗転。ショーが始まる。サウンドトラックは David Bowie (デヴィッド・ボウイ) の『This Is Not America』。ショーの音楽を手掛けたのは、Dior (ディオール) 時代に引き続き Michel Gaubert (ミシェル・ゴベール) だ。

迷路式に入り組んだランウェイに、ファーストルックで登場したのは、ブルーのジャケットに目の覚めるような赤のセンタープリーツトラウザー。首元には Calvin Klein の本社アドレスである「205」を刺繍であしらった白いトップスをレイヤーしている。ガゴシアン・ギャラリーで発表されたメンズコレクションに引き続き、今回のコレクションは、Raf と、彼の長年のビジネスパートナーでありクリエイティブ・ディレクターの Pieter Mulier (ピーター・ムーリエ) の思い描くアメリカン・ドリームへのノスタルジーをインスピレーションに構築されている。

(It reflects) the unique beauty and emotion of America

それは先の星条旗カラーのファーストルックであったり、大きめのショルダーラインが80年代風のアメトラのスーツであったり、アメフトのユニフォームのようなスポーツウェア調のニット使いであったり、ブランドの DNA であるデニムをテーラリングで仕立てたルックだったりから見て取れるわけだが、そのいずれも大胆な素材使いやユニークなシルエット、スタイリングによってフレッシュにアップデートされているのは言うまでもない。そして終盤には、先の「By Appointment」のキャンペーンビジュアルでも披露されたクチュール・ライクなドレスが登場。ミニマリズム、ポップアート、スポーツウェア、テーラリングなど多種多様なスタイルのワードローブが行き交うランウェイを、ひときわ優雅に横切るフェザーの “それ” は、さながらポップアートのオブジェようにクリアのビニール素材に包まれている。

Raf Simons 流オートクチュール「Calvin Klein by Appointment」のルック。オーガンザの上から無数のフェザーを縫い付け、クリアの PVC 素材をレイヤー。クラッチバッグはなんと総シルバー製。

Raf Simons 流オートクチュール「Calvin Klein by Appointment」のルック。オーガンザの上から無数のフェザーを縫い付け、クリアの PVC 素材をレイヤー。クラッチバッグはなんと総シルバー製。

「様々な背景の人たち、彼らのスタイル、そしてドレスコード。そこには未来的な要素があり、過去も混在している。アールデコであり、都市であり、西海岸であり、これら全て、またはそのいずれでもない要素を反映させているんだ。特定の時代とか物事、ルックとかじゃなくて。異なるキャラクターや人々が共存しているイメージ。これこそがアメリカだと僕は思うんだ。アメリカでしか生まれない美的感覚、そしてエモーションを表現したかった。」とコレクション後に語った Raf Simons。

これまで自身のブランドのほかに数々のメゾンでその手腕を遺憾なく発揮してきた稀代のアーティストは、新天地においてこれまで以上に成熟したフェーズに到達したように見える。そして彼の思い描く “ユートピア” は、サウンドトラックが消えかかり、鳴り止まぬ拍手が途絶えかけた会場に、譫妄にも似た熱狂的な余韻を残した。

 

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