香りで自分を整えて。季節の変わり目に迎えたい新作フレグランス
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香りで自分を整えて。季節の変わり目に迎えたい新作フレグランス
new cosmetics trend in may
the 10 best fragrance for spring 2024
text & edit: yuko igarashi & miku oyama
期待と緊張が入り混じる4月が終わり、夏へと移り変わる5月は、気温や気圧の変動も相まって、疲れが表面化しやすい時季。そんな何かと不調を感じやすい季節だからこそ、好きな香りを取り入れ、気分を高めてみてはいかが? 歴史ある香水を現代的に再解釈したものからリゾート地を表現したものまで。新作フレグランスを厳選してお届け。心地よい香りで、心身ともにリフレッシュを。
シャネルが愛したモチーフ「彗星」をイメージしたフレグランス
Gabrielle Chanel (ガブリエル シャネル) の歩みを導いたシンボルやメゾンの物語を体現した CHANEL (シャネル) 至高のフレグランスコレクション「レ ゼクスクルジフ ドゥ シャネル」に、新たな香りが仲間入り。本コレクションの19番目となる「コメット オードゥ パルファム」は、Gabrielle にとって大切なシンボルの一つであったコメット(彗星)を表現。繊細でフレッシュなチェリー ブロッサムにヘリオトロープやパウダリーなアイリス、官能的なムスクのノートを重ね、複雑でありながらも洗練された魅力を放つ宇宙のような香りに仕上げた。また、ラグジュアリーなコレクションの特別感を底上げするボトルデザインも魅力。香りそのものを引き立てるため、ボトルはミニマリズムを追求。ダブル C が刻まれた漆黒のキャップが CHANEL のタイムレスな魅力を際立たせる。さらに、「コメット オードゥ パルファム」のボックスには限定デザインを採用。サイドには1932年に発表されたコメットのネックレスをかたどり、キャップのトップにはシルバーのダブル C をオン。夜空に煌めく宝石のような彗星をイメージした。唯一無二の個性を放つ特別なフレグランスは、肌に寄り添うお守りのような存在になってくれるはず。
アクネ ストゥディオズから初の香水が誕生
Acne Studios (アクネ ストゥディオズ) から、Editions de Parfums Frédéric Malle (エディション ドゥ パルファム フレデリック マル) とのコラボレーションによるフレグランスがデビュー。ドイツのフレグランスブランド SYMRISE (シムライズ) の Suzy Le Helley (スージー・ル・ハレー) が調香を手がけ、Acne Studios の豊かな美学と精神を落とし込んだ。香りは、ピリッとした刺激をもたらすアルデヒドを中心に、ローズやオレンジブロッサムといったフローラルノートのやわらかさをプラス。フローラル・ブーケの中に徐々に現れるインセンスの香調が、アルデヒドの芳香を増幅させながらフレッシュさを表現する。そして、バニラやクリーミーなサンダルウッド、ピーチスキン、ホワイトムスクの優雅なノートが組み合わさり、モヘアセーターのような心地よいムードを演出。新鮮で創造的なアプローチをしながらも、タイムレスで洗練されたスタイルを落とし込む Acne Studios。そんな過去と未来が交差する豊かな美学を表現した「ネオクラシック」な香水に仕上がった。
メディチ家が愛した植物が由来。華やかなオードパルファムコレクション
フィレンツェにある世界で最も古い薬局 Santa Maria Novella (サンタ・マリア・ノヴェッラ) から、ブランド初となるオードパルファムコレクションが登場。ルネサンス期の栄華を極めたメディチ家に関連する4種の植物から着想を得て、花の都フィレンツェの華やかな歴史をフレグレンスに落とし込んだ。ラインナップは、1980年にメディチ家の庭園で再発見された稀有な柑橘系果実であるビッザリアをベースにした「ビッザリア」、1688年にゴアからの贈り物としてフィレンツェに持ち込まれ、大公コジモ3世デ・メディチが魅せられたジャスミンの一種、”ジェルソミーノ・デル・グランデューカ”の神秘的な芳香をイメージした「ジェルソミーノ」、1700年代にフィレンツェに伝わり、メディチ家の別荘の入り口を華やかに装飾したマグノリア グランディフローラの甘美な香りが広がる「マグノリア」、フィレンツェの紋章であるアイリスの貴重なエッセンスを使用した「アイリス」の4つの香り。また、パッケージはイタリアの伝統からインスパイアされた本型のデザインを採用し、外箱は19世紀後半に使われていたという Santa Maria Novella のカタログの装丁を再現。800年の歴史を誇る調剤薬局のこだわりが詰まっている。
メゾンの永遠の名香を現代的にアップデート
1947年に DIOR (ディオール) の創業とともに誕生したメゾンを代表する香水「ミス ディオール」が現代的に再解釈されて新発売。 Christian Dior (クリスチャン・ディオール) が愛したこのフレグランスに、ディオール パフューム クリエイション ディレクター Francis Kurkdjian (フランシス・クルジャン) の手によって、モダンなアクセントが加わった。キーとなるのは、1947年当時の抽出方法を用いて作られた、明るくフルーティーなジャスミンの香り。かつてのジャスミン エッセンスが持つストロベリー、ピーチ、アプリコットを思わせるフルーティーノートを再現した。Francis Kurkdjian は、オリジナルの「ミス ディオール」の特徴であるシプレー ノートを尊重し、甘さのあるワイルドストロベリーを組み合わせて現代的に昇華。そして、この軽やかなアコードを支えるのがセンシュアルなウッディ アンバーのベースであり、伝統的なシプレーの香調に奥行きを与えている。また、香りとともに新たな装いに生まれ変わったボトルにも注目したい。ボトルの底と側面にはアイコニックな千鳥格子模様を彫刻することで、一層洗練された印象に。さらに、キャップにはラメの銀糸で織られた「ダガー ボウ」をあしらい、DIOR らしいシックなスタイルを体現した。
昨年好評だった限定フレグランスが再販
フランス発フレグランスメゾン D’ORSAY (ドルセー) のクラシックラインに、東京ブティック3周年記念として作られた「唯美な破壊 W.T.」が待望の仲間入り。すべてが正反対の2人の予期せぬ出会いをイメージし、意欲的でありながらも謎めいた雰囲気をまとった多重構造のフレグランスだ。トップノートはフレッシュなミントが主役。弾けるようなピンクペッパーや懐かしさを感じるマンダリンを組み合わせ、恋が芽生えたときに感じる最初のトキメキをイメージした。ミドルノートを飾るのは華やかなジャスミンの香りとお香を思わせるフランキンセンス。官能的なジャスミンの香調がフランキンセンスの力強さを底上げし、魅惑的でスモーキーな芳香へと昇華する。それらをまとめ上げるのがベチバーやモスといったウッディノート。包み込むようなやわらかさを持つウッディ ベースは、いきいきとしたミントと静かなフランキンセンスといった相反する香料の出会いに静かなアクセントを加えている。真逆の香りを合わせることで驚くべきコントラストが生まれ、スリリングで心を掴まれる唯一無二のフレグランスに仕上がった。
第二の肌のように溶け込む香水
narciso rodriguez (ナルシソ ロドリゲス) のアイコンフレグランス「フォー ハー」シリーズより、「ありのままの女性の美しさ」をテーマに掲げた新作香水が登場。肌とシームレスに溶け合い身につける人特有の香りを引き立てる、フローラルムスキーの香りとなっている。トップには、オレンジブロッサムのシプレー ノートや太陽光を想起させるホワイトジャスミンなどのソフトなフローラルブーケを採用。ミドルノートでは、繊細なダマスクローズが本シリーズの中核であるムスクを包み込み、肌と一体化するようなやさしく官能的な印象をもたらす。ラストには、ウッディ ノートやパチョリ、トンカビーンなどのリッチなベースが肌をあたたかく包み込み、魅惑的な香りへと変化する。また、「フォーハー」シリーズの「ピュアムスク」とのレイヤリングもおすすめ。重ねることでそれぞれの香りが溶け合い、より神秘的でフローラルな魅力を引き出してくれる。
南国のビーチでのひとときを想起させるサマーフレグランス
Jo Malone London (ジョー マローン ロンドン) の毎年花をテーマに発表するコレクション「ブロッサムズ コレクション」から、南国のフルーツや魅惑的な花々をイメージした3種のコロンがお目見え。ラインナップは、太陽の光を浴びて輝く黄色いハイビスカスにローズ、ライムが加わり、ビーチでのエネルギッシュなひとときを演出する「イエロー ハイビスカス」、いきいきとしたシトラスに深みのあるシダーウッド、バルサムモミの清々しい香りが調和し、心地よい潮風がビーチに運ぶ夏の陽気をイメージした「ユズ ゼスト」、青々としたチェリモヤの上品な香調にジューシーな洋梨、ウッディなコパイバの樹脂とトンカビーンが温かみを添え、どこからともなく流れてくる音楽とそこに集まる人々の活気を表現した「サンリット チェリモヤ」の3種類。トロピカルビーチでの心地よい時間を演出してくれるエキゾチックなフレグランスは、この夏を豊かに彩ってくれるはず。
「合成香料」にフィーチャーしたオードパルファム
2015年にニューヨークで誕生し、世界的トレンドである天然香料ではなく化学的な芳香分子に焦点を当てたフレグランスブランド Nomenclature (ノーメンクレイチャー) が、今春ついに日本に上陸。注目は、合成香料を軸に添えたモダンでミニマルな「モレキュラー コレクション」。化学的に調香されたユニークな4種類がラインナップする。「アデレット」は、合成ムスクと呼ばれるヘルヴェトライドを中心にピンクペッパーやアイリスなどの洗練された香料で宇宙の香りを表現。「オービタル」は、ベルベットのような深みを与えるオービトンに透明感のあるイソイースーパー、スパイスやサンダルウッドを組み合わせたどこまでもウッディな香り。「サイクー」は、香水史上初めて使用された合成香料であるクマリンのパウダリーなノートにカルダモンやコーヒー、インセンスなどで、甘さの中にスパイシーでスモーキーなアクセントを追加。古典的なコロンを現代的に解釈した「シソー」は、ソフトでグリーンなグリコリエラールにシソやミント、バーベナなどのフレッシュグリーンを重ね、爽やかなアニスを編み込んだ芳香が特徴。革新的な香水にぜひチャレンジしてみては。
ダマスクローズが咲き誇る情熱的な香り
GIVENCHY (ジバンシイ) のプレミアムフレグランスコレクション『ラ コレクション パルティキュリエ』から、「愛」を象徴するローズをモダンに再解釈し、太陽の下で燃える情熱を表現した「ド ジバンシイ キュール フゥ」が登場。まず、ブラックカラントとバジル グランヴェールのアロマティックでフルーティーなトップノートからスタート。そこに、厳選された3種のダマスクローズのハーモニーが幾重にも重なり、鮮烈な印象を生む。ラストは、インドネシア産パチョリやモス アコードが深みと重厚感を与えてくれる。そのまま単体で使用することもできるが、同コレクションの「ド ジバンシイ アコール パルティキュリエ」とのレイヤードも可能。ローズの魅力を引き出しながら、ウッディでムスキーなニュアンスが加わることで、より洗練された華やかな香りに仕上がる。
日本の梅雨を表現したマインドリセットフレグランス
精油のみで香りを構築した THREE (スリー) のオードトワレ「エッセンシャルセンツ」から、「Rain」をテーマにした新作2種が発売。1つ目は、乾いた大地にしっとりと降り注ぐ雨をイメージした「05 AFTER THE RAIN」。グレープフルーツやユズなどのほろ苦さに、森林の香りを表現したウッディなシダーウッドが溶け込む。さらに、雨の恵みをたたえた土のほのかな薫香をベチバーで表現。スモーキーでアーシーなノートに、夏らしい柑橘系の清々しさが加わり、6月という季節のニュアンスを体現した。ニュートラルな香りなので、他の「エッセンシャルセンツ」と重ね付けすることもできる。2つ目は、スコールが開けた後の軽やかな夏の気配のような「06 TASTE THE AIR」。清涼感のあるユーカリとオレンジ、そしてシアーな甘みを持つゼラニウムで、雨上がりに訪れる爽快感のある風を表現。さらに、ティートゥリーやラベンダーの力強い香調で、時間の経過とともに湧き上がってくる内なるポジティビティを引き出してくれる。また、この2種を重ね付けすることによって、シダーウッドとフランキンセンスのノートがレイヤード。心が浄化されるような清浄感のある香りを演出する。