チャド・ムーアと東京回遊録 vol.3
gucci
× Chad moore
model: miu & lala takahashi
photography: chad moore
styling: riku oshima
hair & makeup: kouta
edit & text: manaha hosoda
“Tokyo is a cruel mistress.” 以前、何かの海外雑誌で見かけたフレーズを思い出す。ー東京は残酷なほど中毒性のある街ー ストレートな物言いに一瞬たじろぐが、今の東京を改めて見渡せば、言い得て妙だと納得もする。オリンピックを控え、日ごとに表情を変えている東京。毎日のようにどこかで何かが起こっていて、私たちはいっときも目が離すことができない。
そんな東京の街に魅せられた人間が、ここにもひとりいる。ニューヨークのアートシーンで次世代を担う写真家として注目を集める Chad Moore (チャド・ムーア) だ。もともとは BMX ライダーとして活動し、世界を飛び回っていた彼だが、いわずとしれたニューヨークの写真家 Ryan McGinley (ライアン・マッギンレー) のアシスタントになり、写真の道を歩みだしたのはすでに10年以上前のこと。昨年の春に日本初となる個展を成功させた彼にTFPはインタビューを敢行。彼から「東京で撮影をしたいんだ」という連絡を受け取ったのは、それから数ヶ月後のことだった。
「自分にとって写真とは世界と関わる手段」と語る Chad Moore は普段、自身が住むチャイナタウンやイーストビレッジでローカルな友達をカメラで記録している。「僕にとっては全ての瞬間が宝物。写真を、ダイアリーとしてドキュメントするような感覚で撮っているのかも」という彼に変わりゆく東京の街を心ゆくままに記録してもらうことにした。ゲストは、東京で活躍するアップカミングなモデルのふたり Miu と高橋ララ。彼のレンズに映った「言葉には表せないマジカルな魅力」をとくとご堪能あれ。
子供の頃に慣れ親しんだものの新しい魅力に、大人になってから気づいたりする。たとえば、昔夢中になって遊んだ公園も、その頃は見ることのなかった夜の表情にドキドキしたり。Alessandro Michele (アレッサンドロ・ミケーレ)の幼少期の思い出が詰まったカピトリーノ美術館で発表した Gucci (グッチ) のコレクションは、彼いわく「自由への讃歌」だという。つば広のフェルトハットをかぶったレディライクな70sルックが飛び出したかと思えば、ストリートなムードのジャンプスーツが続く。遊び心溢れる変幻自在なスタイルで、過去と未来をつないでいく Gucci には今シーズンも目が釘付けだ。
チャド・ムーアと東京回遊録 vol.3