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ミューズの肖像。鈴木親が撮る小松菜奈 vol.3
いつの時代も、銀幕には有無を言わさぬ吸引力を持って、大衆を魅了するミューズの姿があった。 Audrey Hepburn (オードリー・ヘップバーン)、Grace Kelly (グレース・ケリー)、Anna Karina (アンナ・カリーナ)……名前を挙げ出せばきりがないが、彼女たちを収めた写真たちは、今もなお色褪せることのない魅力を証明する。
現代における、そうしたミューズのひとりに間違いなく数えられるのは、小松菜奈だろう。初の長編映画となった『渇き。』で多数の新人賞を受賞し、Martin Scorsese (マーティン・スコセッシ) の『沈黙-サイレンス-』でハリウッドデビュー、『糸』で日本アカデミー賞優秀主演女優賞に輝き、一歩一歩着実に進みながらも、時にはダイナミックに階段を駆け上がる彼女が再び、写真家の鈴木親とタッグを組む。
今回、披露するのは最新のファッションに囲まれながら、古着をこよなく愛する彼女だからこそ着こなすことのできるミックススタイリング。常に変化し続ける東京の街にあっても、道ゆく人々が変わらず木々や花に目をとめるように。時代を超えても変わることのない美しさ、そこに宿る真価を捉える(第3回/全4回)。
nana komatsu
model: nana komatsu
photography & videography: chikashi suzuki
styling: hisato tasaka
hair: tsubasa
make up: kie kiyohara
edit & text: manaha hosoda
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ブルゾン、トップス/共にヴィンテージ(Martin Margiela)、中に着たドレス ¥1,980,800/rabanne (ラバンヌ)、チェーン/スタイリスト私物、(右手親指)リング ¥88,000、(右手人差し指)リング ¥121,000、(右手中指)リング ¥143,550、(右手薬指)リング ¥217,800、(左手人差し指)リング ¥140,800、(左手中指)リング ¥232,650、(左手薬指)リング ¥181,500/Shihara (シハラ)、ソックス/Falke (ファルケ)、シューズ ¥254,100/JOHN LOBB (ジョンロブ)
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今回のお題は、どこまで自由にミックスを楽しめるか。ウィメンズだけでなく、メンズウェアも織り交ぜて。これまでに数え切れないほどの洋服に身を包んできた小松だからこそ、どんなアイテムも自在に着こなす。デザインや素材、似合う似合わないももちろん大事だけれど、そこに宿った物語や歴史がファッションを特別にする。ヴィンテージというのは、誰かの記憶や瞬間が染み込み、今度は別の誰かの一部になる。時代を超えて受け継がれていくロマンに、胸をときめかさずにはいられない。1966年の伝説的なコレクション「12 Unwearable Dresses in Contemporary Materials」で特殊な素材を用いた実験的なドレスを発表した Paco Raabanne (パコ ラバンヌ) のメタルドレスは、現アーティスティック・ディレクター Julien Dossena (ジュリアン・ドッセーナ) によって現代においても進化を遂げている。1866年から続く JOHN LOBB (ジョンロブ) もまた、その150年以上におよぶ歴史の中でも、創業当初から変わらぬ美学を貫き、そのシューズは今もタイムレスな価値を放つ。