ミューズの肖像。鈴木親が撮る小松菜奈 vol.4
いつの時代も、銀幕には有無を言わさぬ吸引力を持って、大衆を魅了するミューズの姿があった。 Audrey Hepburn (オードリー・ヘップバーン)、Grace Kelly (グレース・ケリー)、Anna Karina (アンナ・カリーナ)……名前を挙げ出せばきりがないが、彼女たちを収めた写真たちは、今もなお色褪せることのない魅力を証明する。
現代における、そうしたミューズのひとりに間違いなく数えられるのは、小松菜奈だろう。初の長編映画となった『渇き。』で多数の新人賞を受賞し、Martin Scorsese (マーティン・スコセッシ) の『沈黙-サイレンス-』でハリウッドデビュー、『糸』で日本アカデミー賞優秀主演女優賞に輝き、一歩一歩着実に進みながらも、時にはダイナミックに階段を駆け上がる彼女が再び、写真家の鈴木親とタッグを組む。
今回、披露するのは最新のファッションに囲まれながら、古着をこよなく愛する彼女だからこそ着こなすことのできるミックススタイリング。常に変化し続ける東京の街にあっても、道ゆく人々が変わらず木々や花に目をとめるように。時代を超えても変わることのない美しさ、そこに宿る真価を捉える(最終回/全4回)。
nana komatsu
model: nana komatsu
photography & videography: chikashi suzuki
styling: hisato tasaka
hair: tsubasa
make up: kie kiyohara
edit & text: manaha hosoda
今回のお題は、どこまで自由にミックスを楽しめるか。小松がアンバサダーを務める CHANEL (シャネル) の2024/25年秋冬コレクションからは、メゾンを象徴するジャージ素材を用いたジャケットとロマンティックなブラウスをセレクト。フランスのリゾート地であるドーヴィルの映画のような風景を詩的に解釈し、海辺らしい開放的なムードが漂う今シーズン。縦ではなく横織りにしたウールジャージがやわらかなシルエットを描き、その中性的な風情が小松によく似合う。フェミニンにも、マスキュリンにもこだわらず、どちらともとれる絶妙なバランス感が、自身の可能性をさらにおしひろげる。