橋本愛と中川大志。心地いい空気が満ちるふたりの場合は〈後編〉

—撮影は1年前だったとお伺いしましたが、おふたりは初共演とのことで、最初のお互いの印象を教えてください。

ふたり：(笑)。

中川：……ありますか？

橋本：最初はバイアスのない状態で接したかったので、むしろ「こういう人だろうな」と想像しないようにしていました。フラットな気持ちで、本読みの時に初めてお会いしたのですが、その時にはもうすでに中川さんが演じる長津田が立ち上がっていたことを覚えています。念入りに、時間をかけて準備されたことが伝わってきて、とても嬉しくなりました。「こういう人だからカナコは好きになって、振り回されたんだろうな」と、すぐに感じられましたね。

中川：なかなか橋本さんとご一緒する機会がなかったのですが、いつか共演できたらいいなと勝手に思っていたので、この作品のお話をいただいたときは「ぜひやりたいです」とすぐにお返事しました。俳優同士で普段、準備の仕方を共有することはあまりないと思いますが、橋本さんの台本をちらっと覗いたら、びっしり書き込みがされていて、「真っ黒じゃん！」と驚きました(笑)。同じ志を共有できていることがわかって、心強かったです。

—作品内では、登場人物の気持ちが指輪や手帳といった“モノ”によって象徴されているのが印象的でした。臼田あさ美さん演じるカナコの上司・亜依子は、長年同じノートを使い続け、それに固執していましたね。おふたりにとって、こだわらずにはいられないモノ、どうしても捨てられないモノはありますか？

橋本：私はいつもお芝居の準備に Rollbahn (ロルバーン) のノートとフリクションを使っています。いろいろ試しましたが、Rollbahn はめくりやすくて、フリクションは何度も書き直せるので、一番使い勝手が良かったですね。

中川：僕はモノが捨てられないタイプなので、なるべく増やさないようにしています。人からもらったものも基本的に捨てられないので、どうしたらいいのか考えた結果、「もらわない」という結論にたどり着きました(笑)。それくらい、人からいただいたものは手放せない性格なんです。