篠原ともえとアクリス。4つのアイコニックなアイテムが語る、知性と本質的な美 vol.3
スイスを代表するブランド、 AKRIS (アクリス) が2026年春夏コレクションで共鳴したのは、アメリカの抽象画家 Leon Polk Smith (レオン・ポーク・スミス) の美学だった。彼がかつて語った「自分の作品はミニマルの対極にある」という言葉。それは、単に要素を削ぎ落とす引き算ではなく、色や線が持つ生命力を最大限に引き出すという意志の現れだ。その思想は、フォルムと素材を通じ、着る人自身の存在を鮮烈に際立たせる AKRIS (アクリス) のクリエイションと深く重なる。
今季、そのフィロソフィーを体現するミューズに迎えたのは篠原ともえだ。デザイナー、アーティストとして領域を横断し、自立した表現を貫くその姿は、ブランドが描く女性像「Woman with Purpose (目的を持つ女性) 」と鮮やかに響き合う。彼女が体現するのは、AKRIS が追い求めてきた本質的な美。ブランドを象徴する4つのアイテムを軸に、ブランドが紡いできた伝統とその現在地を紐解いていく (第3回/全4回)。
AKRIS
with tomoe shinohara
model: tomoe shinohara
photography: takemi yabuki
styling: lisa sato
hair & make up: masayoshi okudaira
text: asuka furukata
edit: natsume horikoshi & asuka furukata
アクリス アリス ミニトップハンドル ¥595,100 ショルダーチェーン付き H12×W18×D7.5、ブラウス ¥255,200、スカート ¥510,400/AKRIS (アクリス) 、シューズ スタイリスト私物
アクリス アリス ミニトップハンドル 各 ¥595,100 ショルダーチェーン付き H12×W18×D7.5
Horsehair
歳月と伝統が紡ぐ、サステナブルな光沢
AKRIS の真髄を語るうえで欠かせない素材、ホースヘア。シルクのように軽く、レザーのように丈夫なこの稀少な素材は、モンゴルの高原を駆ける馬の尻尾をカットして採取される。動物を傷つけることのないアニマルフレンドリーな手法は、遊牧民の生活を支えるサステナブルな背景を持ち、自然との共存を何よりも大切にしている。英国の専門工房において1800年代から続く旧式織機を用い、一日にわずか2.5メートルという驚異的な丁寧さで織り上げられるホースヘア。今季は、創業者の名を冠した「Akris Alice(アクリス アリス)」の新作として新たな息吹を吹き込まれた。自らもクリエイションに携わる篠原ともえの視線は、200年以上のときを超えて受け継がれる伝統の成り立ちを、静かに見つめる。











