takashi sorimachi & kazuya kamenashi
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『北方謙三 水滸伝』にたぎる熱。その正体を、反町隆史と亀梨和也が語る

takashi sorimachi & kazuya kamenashi

photography: yuji watanabe
interview & text: hiroaki nagahata
styling (takashi sorimachi): tsuyoshi nimura
styling (kazuya kamenashi): mihoko sato
hair make up (takashi sorimachi): INOMATA
hair & make up (kazuya kamenashi): koichi toyofuku

Journal/

北方謙三の原作をもとに、国内ドラマとしては異次元のスケールで映像化された『北方謙三 水滸伝』。主演の織田裕二を軸に、反町隆史、亀梨和也、満島真之介、波瑠、玉山鉄二、松雪泰子、佐藤浩市ら豪華キャストが、12世紀初頭の中国・北宋末期を舞台にした物語を力強く、彩豊かに立ち上げる。圧巻の戦闘シーンはもちろん、歩く、書く、話すといった一つひとつの所作にまで熱が宿り、そこに映るのは人間の根源的な魅力そのものだ。

国の退廃を憂い、正義を信じて立ち上がる下級役人・宋江(織田裕二)。彼が記した“世直し”の書『替天行道』をもとに、戦う理由は違えど同じ志を抱く者たちが集結し、物語は大きく動き出す。今回は、宋江と並ぶ梁山泊の頭領・晁蓋を演じた反町隆史と、槍の名手・林冲を演じた亀梨和也の両氏に、本作の現場にたぎる熱と、それぞれが見出した『水滸伝』の魅力について聞いた。

『北方謙三 水滸伝』にたぎる熱。その正体を、反町隆史と亀梨和也が語る

—「水滸伝」のように、今とまったく違う時代、しかも今回は日本ではなく中国を舞台にした人物像を演じるとなると、自分の記憶から手繰り寄せるというより、ゼロから構築していく必要があると思います。お二人がキャラクター像を作り上げていくうえで、よりどころになったこと、あるいは監督との間で探り合ったバランスがあれば、まずそこからお伺いできますか。

反町隆史(以下、反町):今回プロデューサーの方から、「晁蓋は僕にやってほしい」とすごく熱烈なオファーをいただきました。そこで相手役の宋江を誰がやるのかと伺ったら、織田裕二さんだと。僕と織田さんはプライベートでもゴルフや釣りに行く仲なので、芝居についてあまり言葉で熱く語らなくても、自然と画面ににじみ出るものが作れるんじゃないかと感じていました。それと若松節朗監督が撮るということも大きかった。監督は織田さんと何度もご一緒されているので、その世界観に晁蓋として入っていくのは面白いだろうなと思ったんです。

—「どうしても反町さんじゃなきゃいけない」という理由は聞かれましたか。

反町:はっきりとは聞いていませんが、これまでも、NHK大河ドラマ『利家とまつ〜加賀百万石物語〜』(02)で織田信長役を演じてきたことなどもあって、通じるイメージがあったのかなとは思いました。

— 亀梨さんはいかがですか。

亀梨和也(以下、亀梨):台本をもとに自分なりのプランは持っていきました。ただ、この作品はプロデューサーの大原康明さんの強い思いから始まっていると聞いていましたし、現場でもその熱量をひしひしと感じながらの撮影だったので、そのプランを持ち出すことはなかったように思います。監督とすり合わせをしつつ、ポイントごとにプロデューサーの方々とコミュニケーションを取りながらヒントをいただいていました。あとは本当に、求められているものを理解してどう表現できるかという体当たりの感覚でした。

—序盤から捕らえられ、かなり厳しい状況に置かれる役ですが、芝居のテンションや温度感はどのように考えていましたか。

亀梨:現場で感じた空気や熱量にかなり追い込んでもらった感覚があります。演じているのか体験しているのか曖昧になるくらい……演じ切ったというよりは、そこに“いた”という感覚です。なんとか生き切った、という体感だけが残っていますね。

—そう思わせてくれる現場は、何が違うのでしょうか。撮り方なのか、時間の流れなのか、この作品がどういう現場から生まれたのかを伺いたいです。

反町:僕らというより、彼らは全て合わせると、約25,000キロもの距離を移動しながら、まるで巡業のように撮影を続けていました。我々は一度東京に戻ることもありましたが、現場に入るとピリッと引き締まる感覚があったんです。

亀梨:僕も同感です。スタッフがどれだけ積み上げてこの現場を作ってきたかが、そこに入った瞬間に伝わりました。

—それぞれ立場は違いながらも、自分たちの力で何かを動かそうとする熱量がこの作品の根幹にあると感じました。現代は団結しづらく、どこか諦めのムードも漂う中で、個人が熱を発しづらい空気もあると思います。お二人が俳優として熱量を保ち続けるために意識していることはありますか。

反町:俳優の仕事にはいろんな現場があるので、その場所、その役、その作品に自分をどう落とし込むかが大事だと思っています。どういうテンションで立つのか、どういう人間性でいるのか。この作品ではスタッフが本当に大変な思いをしてくれている。僕は洞窟で5、6日間ずっと芝居をしていました。朝から夜まで寒い中で。その状況が自分のモチベーションや熱量につながっていく。現場から何を感じ取り、どう吸収して発せられるか。それは常に考え続けることだと思います。

亀梨:役としてもそうですが、「何かを思う」という志は大きかったです。国を思い、人を思うというテーマは、自分が普段大切にしていることでもあり、本作に挑む大きなモチベーションになりました。現場では先輩方がフラットな空気を作ってくださって、僕たちも委ねながら自由にトライできた。それぞれがそのシーンの責任者のような感覚で、駅伝のようにバトンをつないでいく感覚があったんですよね。

—「責任者」という言葉が印象的です。この作品は一人のヒーロー譚というより、それぞれの背景や思いが骨太に描かれている。薄味のシーンがなく、熱量や圧が強い作品だと感じました。脚本を最初に受け取った時、この物語の魅力や、ご自身が見出したテーマは何でしたか。

反町:人間性の魅力をどう表現するか。国を良くしようという大義はありますが、その中で人間性の魅力がどこにあるのか。晁蓋も林冲も、それぞれ違う思いを抱えている。その人間性をどうにじませるかがテーマでした。

亀梨:槍使いとしての強さは前提にありますが、その奥にある柔らかさが肝だと感じていました。これだけ異なる個性を持つ人間たちが一枚岩になるのは本当に難しい。だからこそ現代に訴えかけるものがある。それぞれが主役ではないけれど、自分の責任を全うして生きていく。その積み重ねが大きなものになるということを、素敵だと感じながら演じていました。