【写真家たちの目線】 vol.2 川島小鳥
photo and words:
kotori kawashima
今、あなたが見ている明日はどんな景色ですか? のアンサーとなる1枚を、それに紐づく言葉とともに寄せてもらう本企画。この自粛期間中、写真家たちは自身のアーカイブを整理したり、写真集を作ったり、新しい日常/街の非日常を記録したり、パソコン越しで新たなシューティングのスタイルを模索する、など、いろんなアングルから写真と向き合い、これから先のことについて考えている。
本連載は、写真家が写真家に繋ぐリレー形式でお届けする。記念すべき第1回を飾った中野道が紹介してくれたのは、今年4月に最新写真集『おはようもしもしあいしてる』をリリースした川島小鳥。作家が8歳より住む東京を主な舞台に20年間にわたって撮影してきた身近な日常風景をまとめた一冊だ。これまで透明感あふれるポートレートで広く知られる川島の新たな境地がうかがえる珠玉の写真集となっている。
中野道は以下の紹介文を寄せている。
「5月の頭、立会で訪れた印刷所の応接間に、小鳥さんの写真集『おはようもしもしあいしてる』がありました。何気なく開いたその本に僕は夢中になりました。東京は緊急事態宣言の真っ只中。その本のページをめくっている間は、外で起こっていることなんて全部無かったかのような、優しくて温かい時間の中に僕はいることができた。小鳥さんとは共通の知人を介して一度お会いしただけの間柄ですが、このバトンを受けて頂けたこと嬉しく思います。」
【写真家たちの目線】 vol.2 川島小鳥
家は駅から離れているのに、電車の走る音が聞こえる、ことに気づいた
カラスの鳴く声、車の走る音、どこかの家の風鈴、
耳がどんどん良くなっている?
音はどんな仕組みで届くのか
気にしない音と、ものすごく不愉快に感じる音の違いは。
感覚的なものか、潜在的記憶に由来するのか
気にしすぎと言われた
ベランダのプランタに植えたトマトが雨風にもかかわらず
だらりと垂れた枝にたくさんなっているのを見た
半分は苺を植えたけれど、収穫期はまだ先の冬だった
(文・川島小鳥)