今週のTFP的おすすめ映画
TFP的
おすすめ映画
「今、観るべき」「今からでも観れる」映画を月替わりでご紹介。東京都心で公開中の映画を中心に、
The Fashion Post (ザ・ファッションポスト) 編集部おすすめの作品を、大型シネコンからミニシアターまでセレクト (毎週火曜更新)。
11/2025
『旅と日々』
©︎2025「旅と日々」製作委員会
『夜明けのすべて』『ケイコ 目を澄ませて』で知られ、日本映画界に強い存在感を放つ三宅唱監督が、漫画家・つげ義春の「海辺の叙景」「ほんやら洞のべんさん」を実写映画化。初版から50年以上を経た作品を見事な手腕で現代的にアップデートし、アメリカ、フランス、東アジアやポルトガル、ギリシャでの配給も決定するなど、世界からも高い注目が集まっている。行き詰まった脚本家・李は、つげ義春の短編漫画「海辺の叙景」を原作に、夏の海を舞台にした脚本を書く。その映画が大学の授業の一環として上映され、落ち込んだ彼女は旅に出る。一面が銀世界の町に降り立ち、無計画な旅路でやっと見つけたおんぼろ宿には、ものぐさな宿主・べん造が住んでいた。そしてある夜、べん造は李を雪の原に連れ出すのだった。美しい自然を背景に、心の回復を丁寧に紡いだ本作が、観る者の心をそっと包み込む。
公開日: 11月7日(金)
監督: 三宅唱
原作: つげ義春「海辺の叙景」「ほんやら洞のべんさん」
出演: シム・ウンギョン、堤真一、河合優実、髙田万作
HP: bitters.co.jp/tabitohibi
『ぼくらの居場所』
©︎2021 2647287 Ontario Inc. for Compy Films Inc.
さまざまな環境下で暮らす子どもたちが教育センターで出会い、絆を育んでいく様子を描いたドラマ作品。メガホンをとったのは、ドキュメンタリーの名手である Shasha Nakhai (シャシャ・ナカイ) と Rich Williamson (リッチ・ウィリアムソン)。カナダ人作家の Catherine Hernandez (キャサリン・エルナンデス) が実体験をもとにしたデビュー作『Scarborough』を自ら脚本化し、2人に持ち込んだことから本作が誕生した。物語の舞台となるのは、多様な文化を持つ人々が多く暮らす、カナダ・トロント東部スカボロー。そこには、精神疾患を抱えた父親の暴力から逃げるように引っ越してきたフィリピン人のビン、家族4人でシェルターに暮らす先住民の血を引くシルヴィー、そしてネグレクトされ両親に翻弄され続けるローラが暮らしていた。彼らは唯一の居場所である地域の教育センターで、徐々に互いに心を通わせていく。主役に抜擢された3人は、いずれも本作でスクリーンデビューを果たした子どもたち。驚くほど自然で純真な演技が、観る者の心に強く訴えかける。現代社会が抱える問題を提起しながらも、人々の希望やコミュニティの温かさ、美しさを表現した本作は、未来を優しく照らしてくれるはず。
公開日: 11月7日(金)
監督: Shasha Nakhai、Rich Williamson
出演: Liam Diaz (リアム・ディアス)、Essence Fox (エッセンス・フォックス)、Anna Claire Beitel (アンナ・クレア・ベイテル)
HP: culturallife.co.jp/bokuranoibasho
『ボンヘッファー ヒトラーを暗殺しようとした牧師』
©︎2024 Crow’s Nest Productions Limited
第二次世界大戦下、ヒトラーが猛威を振るうナチスで、スパイ活動に身を投じた牧師がいた。ドイツ人牧師ディートリヒ・ボンヘッファーの殉教から80年が経った今、その壮絶な人生が明らかになる。1933年、ヒトラーが最初にドイツ国内で掌握したのは教会だったという。独裁者を神のように崇拝する聖職者が続々と現れ、ボンヘッファーは危機感を抱く。彼は教会という聖域を守るためスパイとなり、ユダヤ人の大虐殺を行うナチス政権を崩壊させるためのスパイになることを決意。信仰と信念を貫き、命をかけて闘うボンヘッファーに、究極の運命が待ち受けていた。「20世紀を代表するキリスト教神学者の一人」と呼ばれる彼は、いかにしてヒトラー暗殺の共謀者へと生まれ変わったのだろうか。勤勉なキリスト教徒であり、そして抵抗運動の闘士として生きたボンヘッファーの39年間という濃い生き様を通して、英雄の知られざる人生を浮かび上がらせていく。自らの命を犠牲にし、多くの命を救った彼の姿を、スクリーンで見届けてほしい。
公開日: 11月7日(金)
監督: Todd Komarnicki (トッド・コマーニキ)
出演: Jonas Dassler (ヨナス・ダスラー)、August Diehl (アウグスト・ディール)、Moritz Bleibtreu (モーリッツ・ブライブトロイ)
HP: hark3.com/bonhoeffer
『ハッパーズ・コメット』
ロサンゼルスを拠点に活動する若手クリエイター集団「オムネス・フィルムズ」の重要人物である Tyler Taormina (タイラー・タオルミーナ) 監督。最新作のリリースに先駆けて、監督の長編2作を上映する特集がスタートする。『ハッパーズ・コメット』は、2020年、新型コロナウイルスのパンデミックによる断続的なロックダウン期間中に撮影された作品。製作スタッフは監督と撮影監督を務めたジェシー・スパーリングのわずか2名のみ。キャストはタオルミーナの地元コミュニティの人々で構成され、ほとんどが自宅で自身をモデルにした役を演じたという。パンデミックという状況から生まれたユニークなプロセスで制作された本作が写し出すのは、郊外の町に漂う孤独感。深夜、それぞれのひとときを過ごす住民たちを覗き見ると、静かにローラーブレードで夜の闇へと抜け出していく人々の姿が浮かび上がるのだった。コロナ禍の町の静けさや真夜中の冷ややかさを見事に表現した本作をぜひ体感してほしい。
公開日: 11月7日(金)
監督: Tyler Taormina
出演: グレース・ベルリーノ、Michael Guglielmo (マイケル・グリエルモ)、Jax Terry (ジャックス・テリー)
HP: tyler-taormina2025











