今週のTFP的おすすめ映画
TFP的
おすすめ映画
「今、観るべき」「今からでも観れる」映画を月替わりでご紹介。東京都心で公開中の映画を中心に、
The Fashion Post (ザ・ファッションポスト) 編集部おすすめの作品を、大型シネコンからミニシアターまでセレクト (毎週火曜更新)。
11/2025
『Ryuichi Sakamoto: Diaries』
©“Ryuichi Sakamoto: Diaries” Film Partners
2023年3月に他界した世界的音楽家・坂本龍一の最後の三年半の軌跡を辿ったドキュメンタリー映画が誕生。2024年に NHK で放送され大きな反響を呼んだドキュメンタリー番組『Last Days 坂本龍一 最期の日々』をベースに、未完成の音楽や秘蔵映像など、本作でしか見れない新たな要素が追加された。日本を代表する作曲家・編曲家・ピアニスト・音楽プロデューサーである坂本龍一は、音楽のみならずアート・映像・文学などさまざまなカルチャーに触れ、多彩な表現活動を続けてきた。そんな彼が、目にしたものや耳にした音をさまざまな形式で記録し続けた日記を軸に、貴重なプライベート映像やポートレートなども公開。ガンに罹患して亡くなるまでの闘病生活と、その中で行われた創作活動を振り返る。本作では、日々の何気ないつぶやき、自身の死に対する苦悩や葛藤、音楽を深く思考する言葉の数々が記された日記を通じて、希代の音楽家・坂本龍一が人生とどのように向き合い、何を残そうとしたのかに迫る。日記の朗読には、坂本龍一と親交の深かったダンサー・俳優の田中泯が担当。人生をかけて追い求めてきた理想の音を生み出すべく情熱を注いだ最後の日々を、晩年の彼が感銘を受けた美しい自然の音や風景と共にスクリーンに映し出す。死してなお、坂本龍一という存在が大きな影響を与え、私たちの耳と心の奥で生き続けるだろう。
公開日:11月28日(金)
監督: 大森健生
出演: 坂本龍一
HP: ryuichisakamoto-diaries
『クリスマス・イブ・イン・ミラーズ・ポイント』
©2024 Millers Point Film LLC. All rights reserved.
ロサンゼルスを拠点とする新世代の映画制作者集団「Omnes Films (オムネス・フィルムズ)」に所属し、『ハム・オン・ライ』『ハッパーズ・コメット』で高く評価された Tyler Taormina (タイラー・タオルミーナ) が、独自の映像感覚で撮りあげたクリスマス映画。同じ家族でも年齢、性別の異なるさまざまな境遇を持つ登場人物たちが織りなす断片的なエピソードを、詩情豊かな映像表現で描いた。物語の舞台となるのはクリスマスイブの夜。小さな町のとある家に、バルサーノ家の4世代の人々が集まった。陽気に飲み語らう大人たちから、賑やかな祝宴に夢中になる子供たち。その中で、エミリーとミシェルはこっそり家を抜けだし、郊外の雪景色を自分たちの反抗の舞台に変えていく。出演は『スコット・ピルグリム VS. 邪悪な元カレ軍団』の Michael Cera (マイケル・セラ) や、子役の頃から活躍している Elsie Fisher (エルシー・フィッシャー)。さらに、名匠 Steven Spielberg (スティーブン・スピルバーグ) の息子 Sawyer Spielberg (ソーヤー・スピルバーグ) などの個性豊かな俳優が登場する。この冬を鮮やかに彩る型破りなホリデームービーを、ぜひスクリーンで味わってほしい。
公開日:11月21日(金)
監督: Tyler Taormina
出演: Matilda Fleming (マチルダ・フレミング)、Maria Dizzia (マリア・ディッツィア)、Ben Shenkman (ベン・シェンクマン)
HP: christmas-eve-in-millers-point
『ジェイ・ケリー』
『フランシス・ハ』『マリッジ・ストーリー』などの監督作に加え、『バービー』の脚本を手がけたことでも知られる Noah Baumbach (ノア・バームバック) が、映画業界で活躍する俳優とマネージャーの苦悩や葛藤を、ユーモアを交えて描いたコメディドラマ。有名な映画俳優ジェイ・ケリーと、献身的なマネージャーのロン。2人はヨーロッパを巡る旅の中で、それぞれの人生を振り返る奥深い旅路になっていく。彼らは、自らが下してきた数々の決断や、大切な人々との関係、そして自分たちが残していく遺産と向き合うことになる。本作は、監督や俳優、プロデューサーなど多岐にわたって活躍する George Clooney (ジョージ・クルーニー) がジェイ・ケリー役を務め、ロン役を Adam Sandler (アダム・サンドラー) が演じた。彼らが抱く苦悩や葛藤を笑いに昇華しつつも、自分と向き合うきっかけにもなる作品。ぜひ劇場に足を運び、彼らの旅路がもたらす余韻を体感してみては。
公開日:11月21日(金)
監督: Noah Baumbach
出演: George Clooney、Adam Sandler、Laura Dern
HP: jaykellyfilm
『レッツ・ゲット・ロスト』
©1988-little bear films, inc. all rights reserved.
ウエスト・コースト・ジャズの代表的存在として知られる伝説のジャズミュージシャンChet Baker (チェット・ベイカー) の晩年の姿をとらえたドキュメンタリー映画。Chet Baker は、ジャズミュージシャン Charles Parker (チャーリー・パーカー) や Gerry Mulligan (ジェリー・マリガン) との共演で注目を集め、クールなトランペット・プレイと甘い歌声、端正なルックスで人気を博した。本作では、多くの女性との関係や三度の結婚、さらにはドラッグに溺れて逮捕・服役を繰り返した実像など、彼の死を含む私生活までも赤裸々に描かれた。監督を務めるのは、Calvin Klein (カルバン・クライン) や RALPH LAUREN (ラルフ・ローレン) の広告写真を手がけた写真家 Bruce Weber (ブルース・ウェバー)。1950年代から心を奪われてきたという憧れのスターを、ロマンティックな少年の視線で映し出す。ファッション界に革新をもたらした Bruce Weber ならではの美学が、Chet Baker という永遠のアイコンに新たな光を当てている。4Kレストア版にてリバイバル上映される本作は、Chet Baker という孤高のミュージシャンの魅力と哀しみを、美しい映像で鮮やかに蘇らせる。
公開日:11月21日(金)
監督: Bruce Weber
出演: Chet Baker、Cherry Vanilla (チェリー・バニラ)、Lisa Marie (リサ・マリー)
HP: letsgetlost4k
『落下の王国 4Kデジタルリマスター』
©2006 Googly Films, LLC. All Rights Reserved.
長編作『ザ・セル』で鮮烈なデビューを飾り注目を集めた Tarsem Singh (ターセム・シン) 監督が、2006年に製作した長編第2作。構想に26年、撮影期間に4年をかけて完成させたオリジナル作品で、CGに頼らず、13の世界遺産と24カ国以上のロケーションを巡って撮影された。壮麗な映像と独創的な世界観が話題を呼び、今回の4Kデジタルリマスター版では、オリジナルの劇場公開版ではカットされた新たなシーンが追加されている。本作は、映画の撮影中に橋から落ちて大怪我を負い、絶望の淵に立たされたスタントマンのロイと、木から落ちて腕を骨折し入院していた5歳の無垢な少女アレクサンドリアが出会い物語が始まる。ロイは動けない自分の代わりに、アレクサンドリアに薬剤室から自殺用の薬を持ってこさせようと考え、彼女の気を引くために即興の冒険物語を語り始める。それは、愛する者や誇りを失い、深い闇に沈んだ6人の勇者たちが力を合わせて悪に立ち向かう壮大な物語だった。Tarsem Singh が私財を投じて挑んだ自主製作映画である本作は、米国出身の映画監督 David Finche (デビッド・フィンチャー) と Spike Jonze (スパイク・ジョーンズ) が製作をサポート。さらに、『ドラキュラ』でアカデミー衣装デザイン賞を受賞し、『ザ・セル』でも共演した世界的デザイナーの石岡瑛子がコスチュームデザインを担当した。Tarsem Singh の夢と情熱が結晶した幻想的な世界を、4Kで新たに体験できる。
公開日:11月21日(金)
監督: Tarsem Singh
出演: Lee Pace (リー・ペイス)、Catinca Untaru (カティンカ・アンタルー)、Justine Waddellu (ジャスティン・ワデル)
HP:rakkanooukoku4k
『石炭の値打ち』
©Journeyman Pictures
『夜空に星のあるように』で映画監督デビューしたイギリスの名匠 Ken Loach (ケン・ローチ) が、1977年にBBCのドラマ枠『プレイ・フォー・トゥデイ』のために制作した2部構成の社会派ドラマ。当時の英国社会を象徴する存在であった炭鉱という労働現場を舞台に、そこに生きる人々の暮らしと人生を描いた、未配信・未ソフト化の幻の作品が上映される。本作は、1969年に上映された代表作『ケス』に引き続き、イギリス出身の作家 Barry Hines (バリー・ハインズ) が脚本を手掛けた。第1部『炭鉱の人々 (Meet the People)』では、イギリス皇太子の視察訪問を控えた炭鉱町の人々が、世間体のためだけに清掃や修繕に取り組む様子を、ユーモアとアイロニーを交えながら映し出していく。第2部『現実との直面 (Back to Reality)』では、一転してハードでシリアスな作風となり、労働者への人権軽視と管理体制のずさんさが引き起こす事故の悲劇を切実に描写。死と隣り合わせのなかで働く炭鉱夫たちと、その悲劇に直面した家族たちの現実をリアルに表現する。彼が一貫して描く労働者階級や第三世界からの移民たちの日常生活をリアリズムの眼差しで描き出した本作は、時代を超えて労働と人間の尊厳を問いかける。
公開日:11月14日(金)
監督: Ken Loach
出演: Bobby Knutt (ボビー・ナット)、Rita May (リタ・メイ)
HP: sumomo-inc.com
『フレッシュ・デリ』
©2003 M&M De Grønne Slagtere ApS.
デンマークの俳優 Mads Mikkelsen (マッツ・ミケルセン) が主演を飾り、精肉店で客に人肉を提供する羽目になった男たちの奮闘を描いたデンマーク製ブラックコメディ。本作は、精肉店を開業したスヴェンとビャンを中心に異常喜劇が繰り広げられていく。冷凍庫に閉じ込められていた電気工の死体を発見したところから、スヴェンは死体の肉でマリネを作り客に提供し、なんとそのメニューが大人気となってしまう。店の評判を失いたくないという一心で、材料を調達するべく次々と人間を手にかけていく狂気の軌跡が映し出される。町の嫌われ者スヴェンを Mads Mikkelsen が独特のヘアスタイルで怪演し、「特捜部Q」シリーズの Nikolaj Lie Kaas (ニコライ・リー・カース) が相棒ビャンを演じた。監督・脚本は、『アダムズ・アップル』など、Mads Mikkelsen と由縁のある Anders Thomas Jensen (アナス・トマス・イェンセン) が務める。Mads Mikkelsen の生誕60周年という節目に、日本劇場初公開となるこの名作を、ぜひその目に収めてほしい。
公開日:11月14日(金)
監督: Anders Thomas Jensen
出演: Nikolaj Lie Kaas、Mads Mikkelsen、Line Kruse (リーネ・クルーセ)、Ole Thestrup (オーレ・テストラップ)
HP: mads60thanniv
『天使のたまご 4Kリマスター』
©押井守・天野喜孝・徳間書店・徳間ジャパンコミュニケーションズ
『機動警察パトレイバー the Movie』『イノセンス』で知られる、日本が誇るアニメーション監督である押井守が、天野喜孝をアートディレクターに迎えて描いたファンタジー作品。公開40周年を迎えた本作は、押井監督の監修のもとで4Kリマスター化された。物語の主人公となるのは、ある2人の少年と少女。廃墟の町できれいなガラスのビンを集めながら暮らしていた大きなたまごを抱えた少女のもとにやって来たのは、大きな銃を抱えた少年。いつかたまごから天使がかえると信じる少女と、夢で見た「鳥」を探す少年の2人は、行動を共にしていく中で、互いに心を通わせ始めたかの様に見えた2人だった。だが、ある晩、少年が少女のたまごを砕いてしまい少しづつ変化していく物語。たまごの中に何が入っているのか、アニメーションの世界に徐々に惹き込まれていく。W主演を務めるのは、少年の声を担当した根津甚八と、少女の声を演じる兵藤まこ。押井守が原案・脚本・監督を務めたオリジナル作品が、40年の時を経て現代のスクリーンに放たれる。
公開日:11月14日(金)
監督: 押井守
出演: 根津甚八、兵藤まこ
HP: angelsegg-anime.com
『旅と日々』
©︎2025「旅と日々」製作委員会
『夜明けのすべて』『ケイコ 目を澄ませて』で知られ、日本映画界に強い存在感を放つ三宅唱監督が、漫画家・つげ義春の「海辺の叙景」「ほんやら洞のべんさん」を実写映画化。初版から50年以上を経た作品を見事な手腕で現代的にアップデートし、アメリカ、フランス、東アジアやポルトガル、ギリシャでの配給も決定するなど、世界からも高い注目が集まっている。行き詰まった脚本家・李は、つげ義春の短編漫画「海辺の叙景」を原作に、夏の海を舞台にした脚本を書く。その映画が大学の授業の一環として上映され、落ち込んだ彼女は旅に出る。一面が銀世界の町に降り立ち、無計画な旅路でやっと見つけたおんぼろ宿には、ものぐさな宿主・べん造が住んでいた。そしてある夜、べん造は李を雪の原に連れ出すのだった。美しい自然を背景に、心の回復を丁寧に紡いだ本作が、観る者の心をそっと包み込む。
公開日: 11月7日(金)
監督: 三宅唱
原作: つげ義春「海辺の叙景」「ほんやら洞のべんさん」
出演: シム・ウンギョン、堤真一、河合優実、髙田万作
HP: bitters.co.jp/tabitohibi
『ぼくらの居場所』
©︎2021 2647287 Ontario Inc. for Compy Films Inc.
さまざまな環境下で暮らす子どもたちが教育センターで出会い、絆を育んでいく様子を描いたドラマ作品。メガホンをとったのは、ドキュメンタリーの名手である Shasha Nakhai (シャシャ・ナカイ) と Rich Williamson (リッチ・ウィリアムソン)。カナダ人作家の Catherine Hernandez (キャサリン・エルナンデス) が実体験をもとにしたデビュー作『Scarborough』を自ら脚本化し、2人に持ち込んだことから本作が誕生した。物語の舞台となるのは、多様な文化を持つ人々が多く暮らす、カナダ・トロント東部スカボロー。そこには、精神疾患を抱えた父親の暴力から逃げるように引っ越してきたフィリピン人のビン、家族4人でシェルターに暮らす先住民の血を引くシルヴィー、そしてネグレクトされ両親に翻弄され続けるローラが暮らしていた。彼らは唯一の居場所である地域の教育センターで、徐々に互いに心を通わせていく。主役に抜擢された3人は、いずれも本作でスクリーンデビューを果たした子どもたち。驚くほど自然で純真な演技が、観る者の心に強く訴えかける。現代社会が抱える問題を提起しながらも、人々の希望やコミュニティの温かさ、美しさを表現した本作は、未来を優しく照らしてくれるはず。
公開日: 11月7日(金)
監督: Shasha Nakhai、Rich Williamson
出演: Liam Diaz (リアム・ディアス)、Essence Fox (エッセンス・フォックス)、Anna Claire Beitel (アンナ・クレア・ベイテル)
HP: culturallife.co.jp/bokuranoibasho
『ボンヘッファー ヒトラーを暗殺しようとした牧師』
©︎2024 Crow’s Nest Productions Limited
第二次世界大戦下、ヒトラーが猛威を振るうナチスで、スパイ活動に身を投じた牧師がいた。ドイツ人牧師ディートリヒ・ボンヘッファーの殉教から80年が経った今、その壮絶な人生が明らかになる。1933年、ヒトラーが最初にドイツ国内で掌握したのは教会だったという。独裁者を神のように崇拝する聖職者が続々と現れ、ボンヘッファーは危機感を抱く。彼は教会という聖域を守るためスパイとなり、ユダヤ人の大虐殺を行うナチス政権を崩壊させるためのスパイになることを決意。信仰と信念を貫き、命をかけて闘うボンヘッファーに、究極の運命が待ち受けていた。「20世紀を代表するキリスト教神学者の一人」と呼ばれる彼は、いかにしてヒトラー暗殺の共謀者へと生まれ変わったのだろうか。勤勉なキリスト教徒であり、そして抵抗運動の闘士として生きたボンヘッファーの39年間という濃い生き様を通して、英雄の知られざる人生を浮かび上がらせていく。自らの命を犠牲にし、多くの命を救った彼の姿を、スクリーンで見届けてほしい。
公開日: 11月7日(金)
監督: Todd Komarnicki (トッド・コマーニキ)
出演: Jonas Dassler (ヨナス・ダスラー)、August Diehl (アウグスト・ディール)、Moritz Bleibtreu (モーリッツ・ブライブトロイ)
HP: hark3.com/bonhoeffer
『ハッパーズ・コメット』
ロサンゼルスを拠点に活動する若手クリエイター集団「オムネス・フィルムズ」の重要人物である Tyler Taormina (タイラー・タオルミーナ) 監督。最新作のリリースに先駆けて、監督の長編2作を上映する特集がスタートする。『ハッパーズ・コメット』は、2020年、新型コロナウイルスのパンデミックによる断続的なロックダウン期間中に撮影された作品。製作スタッフは監督と撮影監督を務めたジェシー・スパーリングのわずか2名のみ。キャストはタオルミーナの地元コミュニティの人々で構成され、ほとんどが自宅で自身をモデルにした役を演じたという。パンデミックという状況から生まれたユニークなプロセスで制作された本作が写し出すのは、郊外の町に漂う孤独感。深夜、それぞれのひとときを過ごす住民たちを覗き見ると、静かにローラーブレードで夜の闇へと抜け出していく人々の姿が浮かび上がるのだった。コロナ禍の町の静けさや真夜中の冷ややかさを見事に表現した本作をぜひ体感してほしい。
公開日: 11月7日(金)
監督: Tyler Taormina
出演: グレース・ベルリーノ、Michael Guglielmo (マイケル・グリエルモ)、Jax Terry (ジャックス・テリー)
HP: tyler-taormina2025











