新世代のオフィスウェアをパンキッシュに。クレージュが2023年秋冬メンズコレクション、ウィメンズプレコレクションを発表
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新世代のオフィスウェアをパンキッシュに。クレージュが2023年秋冬メンズコレクション、ウィメンズプレコレクションを発表
courrèges
pre fall 2023 collection
Nicolas Di Felice (ニコラス・デ・フェリーチェ) による Courrèges (クレージュ) が、2023年秋冬プレコレクションを発表。スマートフォンのスクロール、毎日の通勤、朝の空など、現代生活の静寂の中で光るモノクロームをデザインに落とし込んだ。
会場に設置されたセットは、フランス人アーティスト Rémy Brière (レミ・ブリエール) によるデザイン。電話のアンテナを模した金属の筒状の彫刻を真っ白な壁に隠れるように配置し、旗の群れが歌うコーラスラインに合わせ、スマートフォンを片手に持ったモデルが登場した。
今シーズン、Nicolas Di Felice は Courrèges のワードローブを幾重にも進化させ、ブランドの本質的なコードに対するポストモダン的なアプローチを仕掛け、平凡な日常に対する反抗心を持った人々のための複合的なユニフォームをデザインした。テーラリングの構造は、ストリートウェアの精巧なディテールの輪郭を描き、鋭いシェイプの中にさまざまな衝動を取り入れるという、Nicolas Di Felice の理想を表現している。
肘に大きなスリットが入り、ジッパーを開けると腕の上に覆い被さるデザインのジャケットにはフーディーやスキントップスを忍ばせ、ミニスカートと融合したパリッとしたシネ素材のスラックスには腿部分に大きなカッティングを施すなど、フォーマルなテーラードにエキセントリックなエッセンスを加えた。ユニセックスのジャージ素材のセパレーツには、「全てを見通す」眼が宿っており、未来へと導くサインのように私たちを見つめている。ネオカモフラージュや大胆なシルクスクリーンプリントは、新時代のオフィスウェアの定番となることだろう。
クレープ織りにはパンキッシュなウールキャビアを合わせ、アーカイブのパターンからテクニカルなランジェリーを覗かせるなど、ブランドの特徴である幾何学模様は異素材の重なりによってその伝統を覆した。さらに、今シーズンのコレクションで多く見られたワンショルダートップスや、腿の高さまであるストレッチレザーのコンバットブーツは、ジェンダーの境界を曖昧にしている。ルックは、クラシックなケースバッグを再構築したミニマルな「クラウドバッグ」と組み合わされ、柔らかさを醸し出しながらも、指に光るナックルアーマーや印象的な「衛星放送受信アンテナ」イヤリングで反体制の雰囲気を高めた。
今回のコレクションは、宇宙の中ではなく、単調な日常にこそ広がっているアヴァンギャルドでユニークなアイディア、そして「今、ここで、一緒に」消えゆく日々の不安から現在を取り戻そうとする共同体の新たな精神が反映されている。