世界最古の時計メーカー、Vacheron Constantinの名機が生まれ変わる。Watches & Wonders最新モデル
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世界最古の時計メーカー、Vacheron Constantinの名機が生まれ変わる。Watches & Wonders最新モデル
The Front Line Of World's Oldest Watch Manufacturer Vacheron Constantin
名だたるメゾンが名を連ねる世界最大級の高級機械式時計、そして宝飾品の見本市、Salon International Haute Horlogerie (SIHH、通称ジュネーブ サロン)。急速に進むデジタル化に逆らって、近年更なる注目を集めるウォッチ市場を象徴するかの如く、2013年からはジュネーヴ サロンのアジア版として Watches & Wonders (ウォッチズ&ワンダーズ) が香港にて開催。3年目となる本年度、これまで以上の来場者や出展ブランドが記録され、賑わいを見せた。
Editor – Shunsuke Okabe
名だたるメゾンが名を連ねる世界最大級の高級機械式時計、そして宝飾品の見本市、Salon International Haute Horlogerie (SIHH、通称ジュネーブ サロン)。急速に進むデジタル化に逆らって、近年更なる注目を集めるウォッチ市場を象徴するかの如く、2013年からはジュネーヴ サロンのアジア版として Watches & Wonders (ウォッチズ&ワンダーズ) が香港にて開催。3年目となる本年度、これまで以上の来場者や出展ブランドが記録され、賑わいを見せた。
Watches & Wonders 特集第1弾に続き、今回は世界最古のウォッチメイカーとして名高い Vacheron Constantin の最新コレクションにフォーカス。手のひらサイズほどの小さな機械が呼び起こす、太古へのロマンと人類の叡智。物事が簡略化される現代だからこそ、その価値を今一度再確認したい。
世界に数ある高級時計メーカーの中でも最も長い歴史を誇るマニュファクチュール、Vacheron Constantin (ヴァシュロン・コンスタンタン)。
1755年、スイスのジュネーヴにて Jean-Marc Vacheron (ジャン=マルク・ヴァシュロン) によって創業されてきた同ブランドは、260年という年月を経た今なお世界中のファンを魅了し続けている。
長い歴史の中で世に送り出された名作は数知れず。中でも “カウ・ホーン (牛の角)” の名で知られるクロノグラフウォッチは、大胆なデザインと厳格な技術が見事に融合された傑作として語り継がれている。
今回、香港にて開催された Watches & Wonders (ウォッチズ&ワンダーズ) ではこのアイコニックなタイムピースを復刻した限定モデル「ヒストリーク・コルヌ・ドゥ・ヴァッシュ 1955」が登場。プラチナ950で作られた直径38.5mm のケースに、手巻きムーブメント、キャリバー1142が収められたタイムレスな逸品は、ブランドの豊かな歴史的遺産を象徴する「ヒストリーク」コレクションの新作として迎えられている。
Vacheron Constantin を象徴するモデルの一つとしてよく知られた「マルタ」が誕生したのは、1912年のこと。優美な曲線を描くトノー型 (樽型) のフェイスが特徴的な同モデルは、懐中時計に使われてきた丸型ケースが主流であった当時において、ブランドの前衛的なスピリットを反映させたものとして高く評価されている。
今回、Watches & Wonders (ウォッチズ&ワンダーズ) で登場したのは、自社開発によるトゥールビヨン、そして目を覆わんばかりのバゲットダイヤモンドをあしらった「マルタ・トゥールビヨン・ハイジュエリー」だ。
計1170個、総計46.8カラットにも及ぶダイヤモンドの中心に輝く美麗なトゥールビヨンムーブメント。もちろん注目に価するのは装飾だけではない。2日間のパワーリザーブを備え、169個もの部品から成る天文学的な複雑さの手巻きムーブメントは「キャリバー2795」、そして丸みを帯びたベルサージュ仕上げのトゥールビヨンのブリッジに至るまで、ブランドが誇る最高峰の職人技が結集された「マルタ・トゥールビヨン・ハイジュエリー」は、機械式時計の技巧と装飾という双方において限界に挑戦した比類なき傑作といえる。
複雑機構の中でも、最も製造が困難なことで知られるのがリピーター・ウォッチだ。簡単に言えば決まった時間に鐘の音が鳴る仕組みを持つ時計だが、現在世界中でも限られた数しかないリピーター・ウォッチの製造メーカーの一つが Vacheron Constantin なのだ。
古くは1929年にエジプトの王ファードのために製作された時計や、その息子ファルーク王のために製作された1935年の名作など、歴史に残るリピーター・ウォッチを数多く発表してきた Vacheron Constantin。そして今回 Watches & Wonders で新たに発表された「パトリモニー・エクストラフラット・キャリバー 1731」では、その高度な技術を凝縮した「ミニット・リピーター」ウォッチを、8.1ミリという驚くべき薄さで実現させた。シンプリシティを極めた真円のプラチナ950のケースに搭載されるのは、2013年に発表された最新ムーブメント「キャリバー1731」。最高峰の技巧水準は、ムーブメント裏に輝く「ジュネーヴ・マーク」のお墨付きだ。
玄人好みの複雑技巧で知られる Vacheron Constantin だが、その卓越した美意識はウィメンズ向けのドレスウォッチにも取り入れられている。
アール・ヌーヴィー、アール・デコ、そしてミニマリズムとキュビズムの流れを汲む1970年代のデザインにインスパイアされたシリーズ作「ウール・クレアティブ」は、ダイヤモンドの眩い輝きをどこまでも引き立てるデザインとタイムレスかつ女性的なライン、そしていたずらっぽいユーモアのセンスが光るモデルが揃う。
まず曲線的なライン使いがエレガントな「ウール・クレアティブ・ウール・ロマンティック」は、20世紀初頭ヨーロッパにて勃興したアール・ヌーヴォーをイメージし、うねるようなフォルムや自然発生的な渦巻き、そして躍動的な唐草模様を表現している。
ベル・エポックの気風を感じさせるラウンドデザインに、更なる輝きを添えるのは惜しみなく装飾に取り入れられたダイヤモンド。中でも全面をラウンドカットダイヤモンドで覆い尽くしたモデルは、まるでこの世のものとは思えないタイムレスな存在感を放っている。
アール・ヌーヴォーが来たら、お次はアール・デコ。言わずと知れた狂乱の20年代を象徴する芸術風潮をイメージした Vacheron Constantin の新作は、直線を生かした幾何学的なフォルムと、ジャズエイジの装いを表現した装飾が目を引くモデルが揃い。
ボブヘアにフリンジのドレス、そしてフェザーやスパンコールを纏ったフラッパーガールのような奔放な「ウール・クレアティブ・ウール・ディスクレット」の扇状のカバーを開くと顔をのぞかせるのが、貞淑的なマザー・オブ・パールのフェイス。この予想外の二面性こそ、アール・デコの真髄だろう。
そしてこれらのアートムーブメントが発展したのが1970年代。60年代に世界中を巻き込んだウーマン・リブの気風を受け、女性の地位向上が声高に叫ばれた当時の女性たちは、少年のようなショートヘア、そしてタキシードなど男性の装いを取り入れるなど、およそ考えられるすべての自由を謳歌していた。
アンドロジナスなスタイル、クロスカルチャーな時代の幕開け。そして時を同じくして産声を上げたのが、ポップアートだ。
怒涛のような社会変革が世界中を取り巻いた当時のスタイルを表現した「ウール・クレアティブ」を見れば、その自由なスピリットは瞭然としている。
クラシカルなメンズウォッチを思わせるブラックサテンのベルトとコントラストを生む絢爛豪華なダイヤモンド。ミニマリズムを極めた文字盤に対して、高精度の機械式手巻きムーブメント「キャリバー1055」。機械式時計としてのプライドをかけた超絶技巧と革新的なデザイン性、これこそが Vacheron Constantin が世界で最も著名なマニュファクチュールと呼ばれる所以であることは疑う余地もない。
問い合わせ先/ヴァシュロン・コンスタンタン 0120-63-1755
HP: www.vacheron-constantin.com