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古田新太と宮沢氷魚。ふたりが見つめる闇『パラサイト』vol.3
arata furuta & hio miyazawa
model: arata furuta & hio miyazawa
photography: tomoaki shimoyama
styling: keisuke watanabe (arata) & masashi sho (hio)
hair & make up: natsuki tanaka (arata) & taro yoshida (hio)
edit: manaha hosoda
text: miku oyama
カンヌ国際映画祭パルム・ドール受賞、米アカデミー賞4冠を達成するなど、アジア映画として初の快挙を成し遂げ、世界を席巻した映画『パラサイト 半地下の家族』。この度、鄭義信を演出に迎え、日本にて舞台化が決定した。
キャストには、若手からベテランまで、実力を兼ね備えた俳優が名を連ね、より一層注目が高まっている。物語の中心を担い、高台に住む裕福な一家に寄生していく半地下の家族、金田家の大黒柱である父の文平を演じるのは、強烈な個性と存在感を放ち、コミカルな役からシリアスな役まで幅広く演じる個性派俳優、古田新太。一家の長男の純平を演じるのは、知的な眼差しに爽やかな笑顔が魅力的な俳優、宮沢氷魚。物腰柔らかな雰囲気を漂わせながらも、難しい役どころを難なくこなし、ますます存在感が増している。
古田は、Yohji Yamamoto POUR HOMME (ヨウジ ヤマモト プール オム) のブラックジャケットとハットでシックにまとめながらも、チラリとのぞくプリントシャツで遊び心をプラスした。一方宮沢は、Ferragamo (フェラガモ) のトレンチコートに身を包み、同色のシャツとネクタイを合わせてモダンな印象に。大きな社会問題をテーマとしたこの作品で、彼らは何を感じ、今何を思うのか。
古田新太と宮沢氷魚。ふたりが見つめる闇『パラサイト』vol.3
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Hio:コート ¥517,000、スーツ ¥627,000、シャツ ¥79,200、ネクタイ ¥27,500、ブーツ ¥198,000/すべて FERRAGAMO (フェラガモ)
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Arata:ジャケット ¥118,800、シャツ ¥103,400、パンツ ¥63,800、ハット ¥33,000、/すべて Yohji Yamamoto POUR HOMME (ヨウジヤマモト プール オム)
古田さんと宮沢さんは今回が初共演ということですが、お互いが持っている印象などをお伺いできますか。
古田: 氷魚くんの作品を見ていて、真面目で綺麗な人だなというイメージを持っていました。でも、一緒に過ごしていく中で、意外と気さくにフランクに話す人なんだなと。この舞台のキャストもうるさい人たちがいっぱいいるけど、けっこう楽しくやれるんじゃないかな。できれば今回の座組の中でふざける喜びを知ってほしいです。
宮沢:僕は勝手なイメージですけど、古田さんのお芝居を見ていて、いろんな球を投げるタイプだと思っていました。芝居の舵を切っているのは古田さんなんだろうなと。でも、いろいろとお話を聞いていて、野球に例えるのであれば、古田さんはキャッチャーであって、いろんな人が投げてくる球を受け止めてくれる方なんだなということに気づきました。それがワンバンであっても、ちょっと高めに浮いたボールであっても、なんでも受け止めてあげるよと、そういうスタンスであるとおっしゃっていたので、僕にとって新しい発見でした。僕が何を投げてもしっかり受け止めてくださるんだという気持ちになれたので、安心感というか、どんどん思ったこと、伝えたいことを芝居の中で投げてみようかなと思いました。
これから稽古とのことですが、どのような気持ちで取り組んでいますか。
古田:今、稽古場で一番楽しみなのは、みんなが本読みの時にどういうトーンで来るのかを見ることですね。初めてご一緒する方もいらっしゃいますし、それぞれがどういう気持ちで、意気込みで来るのか、それは蓋を開けてのお楽しみというか。そこから見えてくる世界観から僕は芝居を作っていきますので。
宮沢:今までは、稽古に入る前にけっこう自分なりに役について考えて、セリフも覚えていってというタイプでした。でもそれを、良い意味で変えていきたいと思っていて。そんな時に今回の舞台のお話をいただきました。すごく信頼できる先輩方もいるし、みなさんかなり自由にやられているので、僕もこの機会に挑戦的なことをやっていこうと思っています。あとは稽古場とか初めてみんなとお会いした時に何か生まれるんじゃないかなと思っています。だから、気持ちだけはそっちに持っていって、あとは稽古場でできたものをやろうと決めています。
最後にメッセージをお願いします。
古田: 映画『パラサイト 半地下の家族』が大好きな人も多いと思います。暗い話なんだけど、鄭さんもメンバーも楽しく面白い舞台にしようとしていますので、まったく別物の日本版『パラサイト』を、ファンの方もそうでない方もぜひ楽しみに劇場に観に来ていただきたいと思います。
宮沢:暗いテーマではありますが、鄭さんが書いた台本は笑える、そして前向きになれるかと思います。観たときになんか面白かったねとか、観てよかったねとかと言ってもらえる作品だと思うので、ぜひ一人でも多くの人に観ていただきたいです。
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舞台は90年代の関西のとある下町。堤防の下にある、暗いトタン屋根の家に住む金田一家が、高台の豪邸に住む永井一家に寄生していく。まったく異なる家族が交わった先に待ち受ける衝撃の光景、先の見えないもう一つの「半地下の家族」の物語が、ここに誕生する。2019年に公開され、大きな注目を集めた、ポン・ジュノ監督による映画『パラサイト 半地下の家族』が遂に日本で舞台化。台本・演出を手がけるのは、映画『愛を乞う人』、『焼肉ドラゴン』、舞台『泣くロミオと怒るジュリエット』などで知られる鄭義信。古田、宮沢をはじめとし、伊藤沙莉、江口のりこ、真木よう子など、個性豊かな顔ぶれが登場する。2023年6月5日(月)より、THEATER MILANO-Za にて東京公演、7月7日(金)より、大阪・新歌舞伎座にて大阪公演がスタート。