古田新太が見つめる闇。『パラサイト』vol.2
arata furuta
model: arata furuta
photography: tomoaki shimoyama
styling: keisuke watanabe
hair & make up: natsuki tanaka
edit: manaha hosoda
text: miku oyama
カンヌ国際映画祭パルム・ドール受賞、米アカデミー賞4冠を達成するなど、アジア映画として初の快挙を成し遂げ、世界を席巻した映画『パラサイト 半地下の家族』。この度、鄭義信を演出に迎え、日本にて舞台化が決定した。
キャストには、若手からベテランまで、実力を兼ね備えた俳優が名を連ね、より一層注目が高まっている。物語の中心を担い、高台に住む裕福な一家に寄生していく半地下の家族、金田家の大黒柱である父の文平を演じるのは、強烈な個性と存在感を放ち、コミカルな役からシリアスな役まで幅広く演じる個性派俳優、古田新太。一家の長男の純平を演じるのは、知的な眼差しに爽やかな笑顔が魅力的な俳優、宮沢氷魚。物腰柔らかな雰囲気を漂わせながらも、難しい役どころを難なくこなし、ますます存在感が増している。
Yohji Yamamoto POUR HOMME (ヨウジ ヤマモト プール オム) のブラックのニットとパンツの上に、ブルーの落書き風シャツを身にまとった古田は、力強い眼差しをカメラに向ける。大きな社会問題をテーマとしたこの作品で、彼は何を感じ、今何を思うのか。
古田新太が見つめる闇。『パラサイト』vol.2
古田さんにとっての『パラサイト』という作品自体の魅力を教えていただきたいです。
この作品は、2組の家族が登場しますよね。企んでいる側と寄生されてしまう側。それぞれの人間模様や悲惨な結末を詳細に描いているところが面白いなと思いました。オイラも映画を観た時、舞台化しないかなと思っていたので、今回はとても楽しみです。舞台はやっぱり生だから、映画よりもより臨場感のある作品をお届けできるのではないかな。お客さんにもそこを感じ取って楽しんでほしいです。
実際に役を演じるにあたって、ご自身の経験と重ねていったりということはありますか。古田さんは、日本のソン・ガンホと呼ばれているとあったので。そういったところも意識されていますか。
ソン・ガンホは元々ファンだったんです。ただ、自分の経験を役作りに乗っけるということはまったくしないですね。だからどんな役でもやります。これは自分に合わないというのがないです。演出家や作家が描いた世界観の中で、監督がこうやってくれと言ったことを演じるのみです。
『パラサイト』は家族ものということもありますし、若手の俳優、女優さんとご一緒する機会が多いと思うんですけれども、その点についてどのようにお考えですか。
初共演が大好きなんです。若手の子達と飲みに行ったりするぐらい、そこに垣根はないですね。これはよく言っているんですけど、オイラは日本一敷居の低い役者なので。だから若手とご飯行ったりするのも全然平気です。もちろん仕事をするのも。若手とお仕事するのは刺激になるし、すごく好きです。考え方も世代で違うものがあったりと、聞いているのも面白いですね。
舞台は90年代の関西のとある下町。堤防の下にある、暗いトタン屋根の家に住む金田一家が、高台の豪邸に住む永井一家に寄生していく。まったく異なる家族が交わった先に待ち受ける衝撃の光景、先の見えないもう一つの「半地下の家族」の物語が、ここに誕生する。2019年に公開され、大きな注目を集めた、ポン・ジュノ監督による映画『パラサイト 半地下の家族』が遂に日本で舞台化。台本・演出を手がけるのは、映画『愛を乞う人』、『焼肉ドラゴン』、舞台『泣くロミオと怒るジュリエット』などで知られる鄭義信。古田、宮沢をはじめとし、伊藤沙莉、江口のりこ、真木よう子など、個性豊かな顔ぶれが登場する。2023年6月5日(月)より、THEATER MILANO-Za にて東京公演、7月7日(金)より、大阪・新歌舞伎座にて大阪公演がスタート。