AKRIS
with tomoe shinohara
The Fashion Post
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篠原ともえとアクリス。4つのアイコニックなアイテムが語る、知性と本質的な美 vol.4

スイスを代表するブランド、 AKRIS (アクリス) が2026年春夏コレクションで共鳴したのは、アメリカの抽象画家 Leon Polk Smith (レオン・ポーク・スミス) の美学だった。彼がかつて語った「自分の作品はミニマルの対極にある」という言葉。それは、単に要素を削ぎ落とす引き算ではなく、色や線が持つ生命力を最大限に引き出すという意志の現れだ。その思想は、フォルムと素材を通じ、着る人自身の存在を鮮烈に際立たせる AKRIS (アクリス) のクリエイションと深く重なる。

今季、そのフィロソフィーを体現するミューズに迎えたのは篠原ともえだ。デザイナー、アーティストとして領域を横断し、自立した表現を貫くその姿は、ブランドが描く女性像「Woman with Purpose (目的を持つ女性) 」と鮮やかに響き合う。彼女が体現するのは、AKRIS が追い求めてきた本質的な美。ブランドを象徴する4つのアイテムを軸に、ブランドが紡いできた伝統とその現在地を紐解いていく (最終回/全4回)。

AKRIS
with tomoe shinohara

model: tomoe shinohara
photography: takemi yabuki
videography: Rei Takaji
styling: lisa sato
hair & make up: masayoshi okudaira
text: asuka furukata
edit: natsume horikoshi & asuka furukata

ブラウス ¥174,900、パンツ ¥199,100、シューズ*参考商品/ AKRIS (アクリス)

Embroidery

エプロンから始まった、メゾンの物語

AKRIS の百年を超える物語。その最初の一頁に記されているのは、一枚の刺繍入りエプロンだ。1922年、創業者の Alice Kriemler-Schoch (アリス・クリームラー=ショッホ) が仕立てた精緻な一着。その記憶こそがメゾンの原点となり、いまも本拠地スイスのザンクト・ガレンの伝統とともに息づいている。最高品質の刺繍文化を育んできたこの地の矜持は、専門メーカーとの協働を通じ、AKRIS の服のなかに深く根付いている。2026年春夏コレクションにおいて実現させたのは、メゾンの頭文字“A”を表す「トラぺゾイド(台形)」を繋ぎ合わせた新作のエンブロイダリーだ。レーザーカットされたオーガンザの縁に繊細な刺繍を施し、幾何学的なシェイプをコラージュのように繋ぐことで、軽やかさと構築的なシルエットを両立。自らも針を動かし、素材の背景を大切にする篠原。彼女が伝統に向ける静かな好奇心は、守り抜かれた技術の重みを現代の日常へと繋ぐ。