ROSSO
VALENTINO

【History】 ヴァレンティノの「赤」

東京で開催された Valentino 2019年プレフォールコレクション

ROSSO VALENTINO
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【History】 ヴァレンティノの「赤」

ROSSO
VALENTINO

text: makiko awata
edit: miwa goroku

ブランドのルーツを知り、クリエイションの源に触れる連載 History。今回はイタリアを代表するラグジュアリーメゾン、VALENTINO (ヴァレンティノ) にフォーカス。ファッション界の巨匠と称されたクチュリエ、Valentino Garavani (ヴァレンティノ・ガラヴァーニ) が築き、現クリエイティブディレクター Pierpaolo Piccioli (ピエールパオロ・ピッチョーリ) に受け継がれている究極のエレガントスタイル。その優美で洗練された女性像を描く上で欠かせないのが、メゾンの代名詞でもある鮮烈な赤、通称 “Rosso Valentino – ロッソ ヴァレンティノ” である。

特別なレッドドレス

Jacqueline Kennedy Onassis (ジャクリーン・ケネディ・オナシス) 、Elizabeth Taylor (エリザベス・テイラー) から Nicole Kidman (ニコール・キッドマン)、Beyoncé (ビヨンセ)、Emma Watson (エマ・ワトソン)、Keira Knightley (キーラ・ナイトレイ) …… そうそうたる歴代のセレブリティたちが、レッドカーペットや世界的イベントで着用してきた VALENTINO のドレス。なかでもブランドを象徴する “レッドドレス” は、視線を惹き付けるその華やかさで、ここぞというときの勝負ドレスとして、目利きなセレブたちに選ばれ続けている。

上質な素材から生み出される洗練のエレガンス。メゾンヴァレンティノの美学を体現するクチュールドレスは、シンプルな中に優雅さと気品があり、タイムレスなフェミニニティで、女性を最上級に美しく引き立てる。

アーカイヴされる赤のコレクション

いつしか Rosso (赤) は、メゾンヴァレンティノのアイデンティティを構築する重要なアイコンとなった。歴代のショーを振り返ってみても、赤のアイテムは毎シーズン必ず RTW コレクションに登場している。とりわけ 2013年の上海でのストアオープンを記念して行われたショーは、ずばり赤にフォーカスしたコレクションを発表していて圧巻だ。

Valentino 上海コレクション (2013)

「発言のように明白、無色のようにニュートラル。タイムレス、大胆、繊細……」 Piccholi は、彼の作り出す赤に、さまざまな意味を込めている。Piccholi がソロになって初めて発表した2017年春夏コレクションでは、アクセサリーとして “ヴァレンティノロッソ” と名付けられた真っ赤なリップスティックが入った、ミラー付きのコンパクト “LOVEBLADE” を発表。2019年に東京で開催されたプレフォールコレクションで、ショーの半分が赤のルックで埋め尽くされたのも記憶に新しいだろう。

Valentino Garavani LOVEBLADE

2019年11月。イタリアンルネサンスと中国のアートの融合を描いた最新のクチュールショーでも、華やかなレッドドレスが多数披露された。シーズンを重ねるごとに新時代の気分を取り込みながら、“Rosso Valentino – ロッソ ヴァレンティノ” は唯一無二のアイコンとして、今なお進化を続けている。