Enrico Isamu Oyama
will hold a solo exhibition

大山エンリコイサムの個展「Epiphany」が Takuro Someya Contemporary Art で開催。

Bartolomé Esteban Murillo の絵画「葡萄とメロンを食べる少年たち」を用いた作品 | Enrico Isamu Oyama, FFIGURATI #406 – The Grape Eaters, 2022 | Acrylic on printed image | 23.3 x 15.8 cm, each / a set of 23 | Artwork ©︎Enrico Isamu Oyama | Courtesy of Takuro Someya Contemporary Art

Enrico Isamu Oyama will hold a solo exhibition
Enrico Isamu Oyama will hold a solo exhibition
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大山エンリコイサムの個展「Epiphany」が Takuro Someya Contemporary Art で開催。

Enrico Isamu Oyama
will hold a solo exhibition

美術家の大山エンリコイサムによる展覧会「Epiphany」が、ギャラリー「Takuro Someya Contemporary Art」にて開催。本展は大山が2012年の渡米後、まもなくして制作を始めた「Found Object」シリーズの23点組最新作を中心に展示する。会期は10月15日から11月12日まで。

Installation view, “Enrico Isamu Oyama | Noctilucent Cloud,” Kanagawa Prefectural Gallery, 2020. | Artwork ©Enrico Isamu Oyama | Photo by Shu Nakagawa | Courtesy of Kanagawa Prefectural Gallery and Takuro Someya Contemporary Art.

 

ニューヨークと出身地の東京を拠点に、美術家として制作を行うほか、主著『アゲインスト・リテラシー ―グラフィティ文化論』などの執筆でも知られる大山エンリコイサム。ストリートアーティストが、都市の壁などに名前を記すエアロゾル・ライティングから文字要素を取り除き、線の動きのみを反復・拡張させた「QTS (クイックターン・ストラクチャー)」は大山の代名詞として知られている。

 

同展のメインである「Found Object」シリーズ最新作のベースは、大山自身が英国オックスフォードの古道具屋で手にした、⻄洋美術史上の芸術家の作品イメージが刷られた版画。それらに自らの QTS を配置することで、独自のアプローチを行った。

本記事トップにある、スペインを代表する画家 Bartolomé Esteban Murillo (バルトロメ・エステバン・ムリーリョ) の絵画「葡萄とメロンを食べる少年たち」(版画上の表記名は「The Grape Eaters」) を用いた作品では、QTS を閃光のように右上から左下に挿入。そうすることで描かれたふたりの少年の間に交わされる視線、表情、しなやかな身体が強調され、画面に生き生きとした動きを与える。

また、本シリーズは、印刷物というオブジェクト自体に対する時間的な介在でもあるのも魅力。前述の絵画「葡萄とメロンを食べる少年たち」は17世紀にスペインで制作されたが、大山が使用したのは19世紀の英国で印刷されたもの。絵画自体の有名性に比べ、版画そのものは「歴史上有名な絵画作品を複製した無名の印刷物」というオブジェクトにすぎない。大山はこういった埋没したオブジェクトに光を当て、現代美術という活発な産業構造のなかで、新たな美学的かつ経済的価値をもたらそうとしている。

Enrico Isamu Oyama, FFIGURATI #407 – The Vision of St. Bernard, 2022 | Acrylic on printed image 23.3 x 15.8 cm, each / a set of 23 | Artwork ©Enrico Isamu Oyama | Courtesy of Takuro Someya Contemporary Art

大山は今回発表する最新作において、QTS の介在を「過去のモーメントとの共振」と表現。この「モーメント」とは、画家が絵画を生み出す際に「ひらめき」を授かった瞬間を指す。QTS による働きかけによって、芸術史上の絵画創作の起点と、現代の時間との融合を試みている。そのため、本展覧会は日常的には「ひらめき」や「気づき」と訳され、キリスト教の語彙としては「啓示」を意味する「Epiphany」と題された。

来場者は、これらの作品からどのような「啓示 (epiphany)」を受け取ることができるのか。大山エンリコイサムの思考に迫った、代表的な作品シリーズが並ぶ本展にぜひ足を運んでいただきたい。

Installation view, “Enrico Isamu Oyama | Noctilucent Cloud,” Kanagawa Prefectural Gallery, 2020. Artwork ©Enrico Isamu Oyama | Photo by Shu Nakagawa | Courtesy of Kanagawa Prefectural Gallery and Takuro Someya Contemporary Art.

 

Enrico Isamu Oyama in his Tokyo studio, 2022 | Photo ©Go Itami