【限定公開】桜田通が巡る高木由利子の世界。KYOTOGRAPHIE で開催中の個展「PARALLEL WORLD」にディオールが特別協力
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【限定公開】桜田通が巡る高木由利子の世界。KYOTOGRAPHIE で開催中の個展「PARALLEL WORLD」にディオールが特別協力
dori sakurada visits
kyotographie 2023 yuriko takagi exhibition
supported by dior
photography: wataru fukaya
videography: kazuto hoshino
京都の美しい街並みを舞台に繰り広げられる、世界的知名度を誇る写真祭「KYOTOGRAPHIE 2023」にて開催中の写真家・高木由利子の個展「PARALLEL WORLD」に、Dior (ディオール) が特別協力。建築家の田根剛が制作を手がけ、徳川家康が天皇の住む京都御所の守護のために築城したという二条城 二の丸御殿台所・御清所を会場に、高木が40年に渡って撮影してきた日常的に民族衣装をまとう人々を記録するプロジェクト「Threads of Beauty」とファッションの世界が交差する。会期は、2023年4月15日(土)から5月14日(日)まで。
高木といえば、東京都現代美術館で開催中の「クリスチャン・ディオール、夢のクチュリエ」展で歴代クリエイティブディレクターたちによるクリエーションを撮影した作品を展示、図録にも収録されていたことが記憶に新しいが、同展でその作品群に惚れ込んだと語るのは俳優の桜田通。京都で新たな個展が開催されると聞きつけ、遠路はるばるオープニングに駆けつけた。TFPでは、その模様をエクスクルーシヴにお届けする。
日本および海外の重要作品や貴重な写真コレクションを、趣のある歴史的建造物やモダンな近現代建築の空間に展開し、ときに伝統工芸職人や最先端テクノロジーとのコラボレーションも実現するなど、京都ならではの特徴ある写真祭「KYOTOGRAPHIE 2023」。高木作品との再会に心躍らせる桜田通を迎えるのは、巨大なサイズのモノクロ写真。繊細でありながら、その場の独特な空気感とともに深く潜む生命が圧倒的な強度で捉えられている。
アジアやアフリカ、南米、中近東に撮影旅行を続けながら、近年は軽井沢を拠点に活動する高木は、独自の視点からファッションや人体を通して「人の存在」を追い求めてきた。「クリスチャン・ディオール、夢のクチュリエ」展では、「由利子の8秒」と言われている8秒シャッターの技法を用いて、ドレスに息づく生命力を静と動で表現。今回の展示作品にも、Dior のために特別に撮り下ろしたアーカイブピースが含まれている。
本展のタイトル「PARALLEL WORLD」が意味するのは、 ファッションと写真という高木が長きにわたり行き来してきたふたつの世界。生活形式が変容していく中で、民族衣装を日常的にきている人々が急速に消えていることに焦りを感じ、1998年に急遽始動したプロジェクト「Threads of Beauty」。それと並行して、ファッションデザイナーやクリエイターたちがつくり出す新しい価値観の服たちを撮影してきた同氏は、「ファッションも写真も、夢を与えてくれると信じている」と語る。本展では、12ヵ国で撮影された同プロジェクトの作品に加え、80年代から現代までのファッション業界をけん引してきたデザイナーたちのクリエーションを収めた写真を展示。ふたつの世界の境界が溶け合う空間を通して、高木は服とは、写真とは、そして幸せとは何かという根源的な疑問を問いかける。
展示では、印画紙や和紙、コットン紙、漆喰など異なる素材にプリントされた作品が並び、様々な写真表現を楽しむことができる。デジタルが存在する前、モノクロ写真が主流であった時代から写真を始めた高木は、ある日カラー依頼の写真を受けたという。どうしてもカラー写真は好きになれなかった同氏は、写真はモノクロで撮るという自身のルールを曲げず、暗室の中でモノクロ写真に直接指で着色。そのアイディアと情熱に桜田も心打たれたという。
「美しいドレスを完成させるには、そのドレスが実際にどう動くのかを想像し、デザインに取り入れる必要があります」写真表現のみならず、アイディアを生み出すため常にイマジネーションを膨らませている高木は、パリの Dior チームとオートクチュールの撮影に臨む際、「I drew Flower Women」という Christian Dior (クリスチャン・ディオール) の言葉に出合い、「動き」、そして「花」を撮影テーマに選び、見事同氏のクリエイティビティを表現した。今回は、フランスで「ATTA – Atelier Tsuyoshi Tane Architects」を設立し、現在最も新進気鋭の建築家として注目を浴びる田根剛ともコラボレーション。場所の記憶から建築をつくる「Archaeology of the Future — 未来の記憶」をコンセプトに、世界各地で多数のプロジェクトを手がけ、芸術選奨文部科学大臣新人賞やフランス文化庁新進建築家賞など、多数の受賞経験を持つ。
歴史と記憶が調和した空間で、ふたつの世界に共通して流れる高木の情熱とイマジネーションを是非とも直感体感してほしい。