M/M Paris
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クリエイティブ・ユニット M/M Paris (エムエムパリス) インタビュー

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ファッション、そしてアート界にその名を轟かせるクリエイティブ・ユニット、M/M Paris (エムエムパリ)。Mathias Augustyniak (マティアス・オグスティニアック) とMichael Amzalag (ミカエル・アムザラグ) の2人はこれまでに、Björk (ビョーク) や Madonna (マドンナ) をはじめとするトップアーティストのアルバムジャケット、Louis Vuitton (ルイ・ヴィトン) や Givenchy (ジバンシィ)、Dior (ディオール) をはじめとする名だたるラグジュアリーメゾンのキャンペーン、そして『Vogue』や『W』をはじめとするモード誌など、ファッションとアートを自在に行き来し独自の世界観を確立してきた。今回2014年秋冬シーズンに引き続き2015年春夏キャンペーンを手がけた彼らは、現在同じく渋谷の PARCO Museum (パルコ ミュージアム) にてポスター展「M/M(Paris) SUGOROKU DE L’ OIE」を開催している。

クリエイティブ・ユニット M/M Paris (エムエムパリス) インタビュー

インタビュー: 岡部 駿佑、写真: 岩野一真

ファッション、そしてアート界にその名を轟かせるクリエイティブ・ユニット、M/M Paris (エムエムパリ)。Mathias Augustyniak (マティアス・オグスティニアック) とMichael Amzalag (ミカエル・アムザラグ) の2人はこれまでに、Björk (ビョーク) や Madonna (マドンナ) をはじめとするトップアーティストのアルバムジャケット、Louis Vuitton (ルイ・ヴィトン) や Givenchy (ジバンシィ)、Dior (ディオール) をはじめとする名だたるラグジュアリーメゾンのキャンペーン、そして『Vogue』や『W』をはじめとするモード誌など、ファッションとアートを自在に行き来し独自の世界観を確立してきた。今回2014年秋冬シーズンに引き続き2015年春夏キャンペーンを手がけた彼らは、現在同じく渋谷の PARCO Museum (パルコ ミュージアム) にてポスター展「M/M(Paris) SUGOROKU DE L’ OIE」を開催している。

展覧会の開催にあたり来日を果たした Mathias Augustyniak にインタビューをするため足を運んだのは、めくるめく色彩の世界が繰り広げられる展示会場のメインスペース。意気揚々と登場した Mathias は、頻りに手持ちのライカのファインダーを覗き込んでいる。少年のような仕草が魅力的な彼だが、それと同時にやはりその心は生粋のアーティストであり、目に入るもの全てに興味を示してしまうようだ。

 

– 今回手がけられた PARCO のキャンペーンについてお伺い出来ますか?今回のビジュアルでは、季節から季節、そしてモデルである Lily Mcmenamy (リリー・マクメナニー) という女性が少女から大人へと変化する“トランジション”を描いていると聞いています。

その通り。ファッションと季節は切っても切れない関係であることは皆知っているよね。季節が変わることで、ファッションも変わる。それは単なるトレンドとしてだけではなく、女性にとってもこの変化は大きな意味のあるものだと感じたんだ。この“変わること”をテーマにしたのが、今回のビジュアルだね。このインスピレーションを具現化するにあたり、欠かせないのがモデルの存在だった。Lily Mcmenamy は、とても若くてフレッシュなモデルでありながら、少女らしらと大人の女性の魅力が共存した、まさに理想の女性だと感じたよ。彼女の内なるパーソナリティは、ファッションやその美学、そして女性という生き物のあらゆる側面を余すところ無く体現しているんだ。さまざまなデザイナーのショップが立ち並ぶ PARCO のイメージを表現するという点においても、彼女の存在は欠かせないね。

 

– ファッションと女性像の変化を対比する傍らで、ビジュアル表現としては先シーズンの2014年秋冬から今季2015年春夏へと一貫したアプローチを継続していますね。

その通り、一貫したビジュアルイメージをシーズン問わず提案する中に変化を感じてほしいと思っているんだ。

 

– プロップとして使われた黄金の仏像、もしくはヴィーナス像のような仮面は何のメタファーなのでしょう?

テーマである、一人の女性が変化していく様を今回のビジュアルではプロップを用いて表現しているんだ。その中の一つ、黄金のマスクは残念ながら仏像では無く、Lily Mcmenamy 彼女自身なんだ。もう一つのカラフルな顔のモチーフも彼女をイメージしたもの。つまり彼女の顔というアイコニックなモチーフを、本人を含め3つの“ミューテーション (変化)”で描写したんだ。

 

– キャンペーンビジュアルに続き、現在 PARCO MUSEUM で開催中のポスター展「M/M(Paris) SUGOROKU DE L’ OIE」では、フランスの伝統的なボードゲーム「Le jeu de l’oie」と、日本の双六 (すごろく) をテーマにした遊び心溢れるゲーム感覚の展示を披露していますね。

展覧会の名前からも分かる通り、「SUGOROKU DE L’ OIE」はフランス語と日本語の造語なんだ。英語でフランス語と日本語のミックスという意味の“Frenchapan”という単語があるんだけど、その感覚と言えば分かりやすいかな。実は僕自身フランス人でありながら日本の文化に大きく影響をされている、ある種の“Frenchapan-ese”だと思ってるんだ。

 

– 日本の文化のどんなところに興味を惹かれたのでしょう?

14か15か、とにかく凄く若い頃から日本の文化には惹かれるものを感じていたんだ。他の国には無い独特のビジュアルプレゼンテーションに夢中だった。日本語の文字も素敵に思えて仕方なかったね。異なる意味を持つパーツが組み合わさって一つの漢字というモチーフを完成させる。初めてその概念を知った時には目から鱗だったよ。小さな頃自転車に乗る時にヘルメットを付けていたんだけど、白いヘルメットに赤い丸を書いて日の丸みたいにしたこともあったよ。

 

– 日の丸のヘルメットとはなかなかの強者ですね (笑)

そうだね (笑)。もう少し大人になってからは、映画監督の小津 安二郎の作品に影響を受けていたね。彼の描く日本の田舎の風景を見て、いつか訪れてみたいとずっと思っていたんだ。日本語はさっぱり分からなかったけど、何か強く共感すると同時に未知の存在として日本の文化に傾倒していったんだ。

 

– そうして日本とフランスの文化を折衷した結果出来上がったのが、「M/M(Paris) SUGOROKU DE L’ OIE」ということですね。今回の展示では、これまでに制作したポスター作品の中から選りすぐられた63点を出展しているとのことですが、中でも特に思い入れのある作品を選ぶとしたらどれを選ばれますか?

2010年に『V』マガジンのために制作した、モノクロのコラージュが好きかな。写真、ハンドドローイング、グラフィックなどあらゆる手法を駆使した多角的なアプローチをこれまで手がけてきたけど、その世界観を最も顕著に示したのがこのシリーズだね。加えて今回の展覧会では、ボードゲームを象徴するサイコロをモチーフにしたオブジェも並列して展示している。言わば展覧会のメインディッシュといったところかな。このスペースが好きだね。

 

– M/M Paris のクリエイションは、どこか白昼夢のようなドリーミーな印象を受けます。このビジョンは、普段夜寝ている時に見る夢とシンクロしているのでしょうか?

面白い質問だね。僕が夜見る夢についてだけど、2種類あるうちの1つはここでは話せないような内容なんだけど、たまにビビッドな夢を見るんだ。恐らくこの夢を見ている時のビジョンは、僕のクリエイションに影響を与えていると言えるんじゃないかな。

 

– コラージュやハンドドローイングを駆使した多角的なアプローチは M/M Paris のシグネチャーでもありますが、それと同時に時代に即して少しずつ作風も変化しているように見えます。

そうだね、自分たちのスタイルを確立するのと同時に、より多くの人に自分たちの作品を見て共感してもらうためには、その時の時代感というものを反映させなければいけないと感じてるんだ。僕たちは普段、さまざまな国の文化から影響を受けているから、その時々によって作品も少しずつ変わっている。そして作品制作をするにあたり、共に携わるクリエイターの世界観と自分たちのスタイルが衝突することにより新たな発見があることも大きいね。例えば今回のキャンペーンビジュアルで言えば、フォトグラファーに気鋭アートフォトグラファーの Viviane Sassen (ヴィヴィアン・サッセン) が参加しているんだけど、彼女は少し浮世離れした感覚を持っていて、彼女の世界観との対話のもと今回のビジュアルが制作されたんだ。

 

– 最後に、今回の展覧会に合わせて PARCO のビジュアルを使ったスペシャルカレンダーが制作されていますが、そこで収録されている2015年から2036年という年号にはどういった意味があるのでしょう?

今回のキャンペーンのテーマである変化を表すフレーズとして「Solstice to solstice (夏至から夏至へ)」という言葉を選んでいるんだけど、その周期を表す象徴的な数字が21なんだ。今年が2015年で、その21年後が2036年。あとはモデルの Lily Mcmenamy の年齢という隠れたメッセージも込められている。

 

– あのカレンダーが役割を終えたとき、2036年には M/M Paris は何をしていると思いますか?

変わらずクリエイションを続けていたいね。もちろん、今とはまた違うアプローチでね。そしてまた PARCO のキャンペーンで声をかけてもらえたら最高かな (笑)

<展覧会情報>
M/M (Paris)「SUGOROKU DE L’OIE」
会期: 4月3日 (金) ~ 4月20日 (月)
時間: 10:00~21:00 (入場は閉場の30分前まで / 最終日は18:00閉場)
会場: パルコミュージアム (渋谷パルコパート1・3F)
住所: 東京都渋谷区宇田川町15-1
TEL: 03-3477-5873
入場料: 一般500円・学生400円・小学生以下無料
主 催: パルコ
企画制作:M/M(PARIS)/RCKT/Rocket Company*
協 力: TOKYO FM
協 賛: 東京リスマチック/大洋印刷
特別協力 :東京タイプディレクターズクラブ

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